松岡圭祐『特等添乗員αの難事件』紹介と感想文:読んで楽しむ水平思考!エッセンスが追加されたライトミステリー!

  • 2022年7月13日

特等添乗員αの難事件

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どんな物語なのか?

松岡圭佑(まつおか・けいすけ)さんの『万能鑑定士Qシリーズ』の姉妹作品。

現在は5冊が発売されており人気がある。

・特等添乗員αの難事件Ⅰ~Ⅴ

万能鑑定士シリーズのように雑学が出てくるわけではないのだが、その代わり水平思考*1問題が出てくる。かなり強引に出てくる部分も多いので、始めは違和感があるが慣れてくると気にならなくなる。

頭の体操クイズ

むしろ『頭の体操の本』にストーリーが付いていて最高に読みやすい作品という感覚。物語も楽しく、頭も使える水平思考クイズ集としてダブルでお得な本として捉えるべきだ。

物語は主人公の浅倉絢奈が官僚の壱条那沖と出会うことから始まる。那沖は物事を論理的に考えられる優秀な人材なのだが、まっすぐな性格ゆえ騙しやトリックに弱い。そんな那沖が絢奈と出会い、閃きの才能の片鱗を見つけ教育していくことに決める。もともと持っていた閃きの才能を、見事なまでのラテラルシンキング(←あとで説明します)へと昇華させ、添乗員としての業務はもちろん、溢れんばかりの閃きの小悪魔の才能を活かして悪人たちを追い詰める!

とそんなお話。

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ホールケーキを3回切って8個に分ける?

この物語にはそんな水平思考問題が頻繁に出てくる。

普通に考えていくとホールケーキを縦に1回切ると半円のケーキが2個できる。もう一度切ると扇形のケーキが4個になり、もう一度どこかしらを切ろうとしても半端な大きさのケーキが6~7個出来るだけで8個にならない

ここで論理的思考がストップしてしまうのだが、主人公の絢奈は瞬間的に答えに辿り着きます。

正解はホールケーキを水平に一回切ってから垂直に十字に切ることで8個の扇型のケーキが出来る。というものだ。

普通、イチゴやデコレーションが乗っている上の部分が不平等になる切り方をしないという常識に捕らわれているとこの答えにたどり着けない。このようにロジカルに考えるとつい見落としてしまう問題に大きな強みを持つ思考法のことをラテラルシンキングと言う。

ラフテルシンキング=発想の飛躍

閃き。ズル。チート。あてずっぽう。自由な発想。色々な呼び方をされるものだ。つまり発想力豊かな子供はラテラルシンキングの天才という訳だ。ロジカルシンキング(論理的思考)と比べ、どちらが優れた思考方法なのかではなく、本来は両方をバランスよく持っていることで強みが発揮されるもののような気もする。

余談だが数学の世界に『ラングランズ・プログラム』という予想がある。先日NHKでその特集が組まれていた。

数論や調和解析などと呼ばれる、数学の様々な分野が実は“地続き”で、最終的には“統一”できるかもしれないという、いわば数学の大統一理論である。
もし、数学の全ての分野を互いにつなぎ合わせることが出来れば、数多くの難問が解決するかもしれないという数学者がいるほど非常に重要なものなのだ。

引用:NHK 数学ミステリー白熱教室

このラングランズプログラムの第一人者と呼ばれるカルフォルニア大学バークレー校 エドワード・フレンケル数学教授は、ロジカルな思考でも最終的な結論を導き出すときは飛躍が必要だと言っている。論理的な数学の世界でも新しい一歩を踏み出す時には発想の飛躍が必要なんですね。

そして、その飛躍こそがラテラルシンキングという発想なのだと僕は理解している。

エッセンスは<+チート

チート。なんて言われてもゲームなんかでお目にかかるくらいで、実際にあまり使われる言葉ではないかもしれないが、この物語ではよく出てくる。良く言えば効率的な閃き。悪く言えばズル。

主人公の絢奈は数々の閃きで犯人の行動を予想し捕らえていく。特に何かに行き当たった時に「なぜ」ではなく「何のために」と物事を捉えられるようになってからは、なおさら鋭い発想を展開させていく。

流石にちょっと無理がある部分も・・・

万能鑑定士と同じく、いくら発想力が豊かでもそこまで予想できたら超能力者では?という部分も多く、考え方がチートなのではなく、その発想が高確率で正解することこそがチートであると感じるので、現実的かと問われれば口を濁すしかない、笑。

まぁテンポが良く読みやすい作品なので、あまり細かいことを気にするべきではないのだと思う。ただ、流れで紹介しましたが、厳密に言うとあまりミステリーという感じではないんですよね、この作品て。

万能鑑定士シリーズと違いラブラブ

万能鑑定士の作品の2人は全く恋愛が進まないのに対して、あとから始まったこのシリーズでは主人公の絢奈那沖は、早々に付き合ったり婚約したりと男女間の展開が早い。新品未開封品のような凜田莉子と小笠原悠斗とは一味違い、なんだったらやる事はやってそうな雰囲気。

作品の度にすれ違って、仲直りして、きゃっきゃうふふのストーリーが展開されるので、リア充死ね派の方は注意が必要だ。

あと、僕の個人的感覚を追記しておくと、主人公の絢奈は本の背表紙で『閃きの小悪魔』なんて呼ばれ方をしているのだが、『閃きの小悪魔』って聞くとなんだか夜の方も閃きの小悪魔なんだろうなぁ…などとジンワリ思ってしまったりしている。

松岡圭祐さんの人気作品は他にも

松岡圭祐さんは他にもたくさんの人気作を発表している。

催眠シリーズ、千里眼シリーズなども有名だが、新刊が出ているという意味では『探偵の探偵』が有名ではないだろうか?

■探偵の探偵

北川景子さん主演でシリアスなドラマでしたね。北川景子さんは新しい役を演じる度に演技がうまくなっていっている気がします。それに比べて川口春菜さんは演技が大根でしたね。逆にそれも可愛らしかったですが、笑。

このドラマ「探偵の探偵」は、AKH(アクションが結構激しめ)なドラマでしたね。

ちなみに新刊として、探偵の鑑定Ⅱが4月15日に発売するようです。

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僕は未読ですが有名シリーズなのでIMT(一度目を通して)おきたいところです。

遅くなりましたが、DAIGOさんとのご結婚おめでとうございます。ウィッシュ。

*1:水平思考:問題解決のために既成の理論や概念にとらわれずアイデアを生み出す方法である。~wikipediaより~

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