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おすすめの恋愛ミステリー小説【17作品】1000冊以上の中から僕が読んでもらいたい本!

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ミステリーと恋愛は相性が良い。

 

ミステリーの醍醐味は秘密を解き明かすことにあるのは言うまでもないが、相手の秘密を解き明かすために四苦八苦する様子はまさに恋愛のそれと酷似している。

 

また、ミステリーが与えてくれるドキドキ感はある種の”吊り橋効果”のような影響を与えてくれるので、恋愛描写を大いに盛り上げてくれている。ゆえに恋愛とミステリーがマッチングした作品はとても多い。

 

ただの恋愛小説ではない。ただのミステリーでもない。

 

2つのドキドキを同時に楽しむことが出来る贅沢な小説・・・それこそが『恋愛ミステリー』なのだ。今日は恋愛とミステリーが見事に融合を果たした『恋愛ミステリー』の作品をおすすめしていきたいと思う。

 

 

 

 

 

ルール

  • 実際に読んで面白かった作品をまとめとして紹介(ランキングではなく順番はランダム)
  • 参考までに恋愛とミステリーの割合も記載(独断と偏見)
  • 現在個別ページがない作品もいずれ個別ページを作成し、映画、ドラマ、漫画、アニメなど、他の媒体になっているなどの詳細情報はそちらに
  • 基本的にはおすすめしたい点をフォーカスする。気になった点は個別ページに書く。あらすじはamazonから引用させてもらう
  • ダラダラと長い記事なので目次を活用してもらえるとありがたい
  • 重大なネタバレはしないが、見たくなかったり長い記事読むのが面倒だったら目次で飛んで欲しい

 

 

 

完全恋愛 #牧薩次

完全恋愛 (小学館文庫)

【恋愛:ミステリー】4:6

他者にその存在さえ知られない罪を完全犯罪と呼ぶ。では、他者にその存在さえ知られない恋は完全恋愛と呼ばれるべきか?推理作家協会賞受賞の「トリックの名手」T・Mがあえて別名義で書き下した究極の恋愛小説+本格ミステリ1000枚。舞台は第二次大戦の末期、昭和20年。福島の温泉地で幕が開く。主人公は東京から疎開してきた中学二年の少年・本庄究(のちに日本を代表する画家となる)。この村で第一の殺人が起こる(被害者は駐留軍のアメリカ兵)。凶器が消えるという不可能犯罪。そして第二章は、昭和43年。福島の山村にあるはずのナイフが時空を超えて沖縄・西表島にいる女性の胸に突き刺さる、という大トリックが現実となる。そして第三章。ここでは東京にいるはずの犯人が同時に福島にも出現する、という究極のアリバイ工作。平成19年、最後に名探偵が登場する。全ての謎を結ぶのは究が生涯愛し続けた「小仏朋音」という女性だった。

「他者にその存在さえ知られない恋は完全恋愛と呼ばれるべきか?」という胸が躍るような魅力的な冒頭の一文から始まるので、小説の世界に入っていく段階ですでにワクワクできてしまう素晴らしい恋愛ミステリー。第二次大戦末期からの激動の時代を生き抜いてきた主人公・究の人生をかけた恋愛と、3つの殺人事件が絡み合うことで、大河のうねりを感じさせる奥行きのある物語になっている。作者が仕掛けた”完全恋愛”についての大きなトリックは気が付いてしまう人も多いかもしれないが、それを抜きにして一人の人間の人生を描いた物語として本当に面白いので読んでもらいたい一冊。

 

 

 

 

イニシエーション・ラブ #乾くるみ 

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

【恋愛:ミステリー】8:2

僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説―と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。

有名作品なのでいまさらではあるが、未読の方はそのまま普通の恋愛小説として楽しんでもらいたい恋愛ミステリー。文章全体に綻びのような違和感を感じるが、その綻びの正体については最後の文章を読むまで僕は気が付かなかった。女性とはいつの時代も恐ろしいものであると気が付くことが、男にとってある種の通過儀礼(イニシエーション)といえるのかもしれない。ただの恋愛小説としては決して面白い訳ではないので、根気よく読んでいく姿勢が大切だ。

 

 

ちなみに『セカンド・ラブ』というシリーズっぽい作品もあるのだが、内容はいまいち消化不良なので気が向いたら読めばいいと思う。

 

 

 

 

午前零時のサンドリヨン #相沢沙呼

午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫)

【恋愛:ミステリー】4:6

ポチこと須川くんが、高校入学後に一目惚れしたクラスメイト。不思議な雰囲気を持つ女の子・酉乃初は、実は凄腕のマジシャンだった。放課後にレストラン・バー『サンドリヨン』でマジックを披露する彼女は、須川くんたちが学校で巻き込まれた不思議な事件を、抜群のマジックテクニックを駆使して鮮やかに解決する。それなのに、なぜか人間関係には臆病で、心を閉ざしがちな初。はたして、須川くんの恋の行方は―。学園生活をセンシティブな筆致で描く、連作ミステリ。全選考委員が「うまい」と評した第十九回鮎川哲也賞受賞作。

相沢沙呼のデビュー作でマジックを駆使して日常の謎を解決するミステリー作品。主人公の須川くんがホームズ役の酉乃初へ思いを寄せていて、ヘタレなのに言い回しがキザなので読んでて少しイラついてしまうという欠点があるが、酉乃さんはとても素敵なヒロインで、ミステリーとしての出来も意外と侮れないものがある。文章や会話のポップさに比べ、結構ストーリーの内容が重かったりするので、キャッキャウフフなテンションで読める作品ではないので注意してほしいが、読後感は悪くないので安心して手に取ってもらいたい。

 

 

ちなみに続編として『ロートケプシェン、こっちにおいで』もある。続編の方が須川くんのキザな言い回しも軽くなっているので読みやすい。

 

 

 

 

珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を #岡崎琢磨

珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

【恋愛:ミステリー】3:7

京都の小路の一角に、ひっそりと店を構える珈琲店「タレーラン」。恋人と喧嘩した主人公は、偶然に導かれて入ったこの店で、運命の出会いを果たす。長年追い求めた理想の珈琲と、魅惑的な女性バリスタ・切間美星だ。美星の聡明な頭脳は、店に持ち込まれる日常の謎を、鮮やかに解き明かしていく。だが美星には、秘められた過去があり―。軽妙な会話とキャラが炸裂する鮮烈なデビュー作。

ビブリア古書堂の事件手帖』とよく比較される作品で、コーヒーにスポットを当てたライトミステリー。探偵役の美星さんの決め台詞は読むと気恥しく感じるものの、京都という立地から生まれる世界観とコーヒーの香りが漂ってくるような穏やかな時間が見事に混ざり合い、独自の雰囲気を醸し出している。なんとなく珈琲を飲みながらカフェで読んでると幸せな気持ちになれそうな本で、日常の謎がコーヒーの様にフワリと香ってくるので楽しめるはず。100%楽しんでもらいたいので、ネタバレは回避させてもらうが、鮮やかな逆転劇があるのは岡崎作品の特徴ともいえるかもしれない。

 

 

 

 

季節はうつる、メリーゴーランドのように #岡崎琢磨

季節はうつる、メリーゴーランドのように (角川文庫)

【恋愛:ミステリー】5:5 

奇妙な出来事に説明をつける、つまり、「キセツ」。夏樹と冬子は高校時代、「キセツ」を同じ趣味とする、唯一無二の存在だった。しかしそれは、夏樹の秘めた恋心の上に成り立つ、微妙な関係でもあった。天真爛漫で、ロマンチストで、頭は切れるのにちょっと鈍感な冬子。彼女への想いを封印したまま大人になった夏樹は、久々に冬子と再会する。冬の神戸。バレンタインのツリーを避けて記念写真に収まるカップルを見て、冬子は言った。「キセツ、しないとね」謎を乗せて、季節はめぐる。はじけるような日常の謎、決して解けない恋愛の謎。夏樹の想いの行方は…。「珈琲店タレーランの事件簿」の著者が描く、究極の片想いミステリ。

同じく岡崎琢磨の本。タレーランよりもさらに恋愛を中心に描かれた印象のミステリー。「奇妙(キミョウ)な出来事に説明(セツメイ)をつける」で略して「キセツ」という引くほど強引な言葉遊びで始まるこの作品は、それぞれの小編とは別に作品全体を通してのどんでん返しがあるので実に岡崎作品らしい構成といえる。主人公の夏樹の冬子に対する恋愛とミステリーがマッチングした、まさに恋愛ミステリーと呼ぶにふさわしい作品・・・ではあるのだが、夏樹は素晴らしく聡明なのに周囲の女性達から全く好意を持たれていないので、よほど容姿が不細工なのかなと、余計な心配をしてしまったりする、笑。あと作品自体の読後感はあまり良くないのでウキウキワクワクしながら読まないように、ご注意を。

 

 

 

 

カラット探偵事務所の事件簿 1 #乾くるみ

カラット探偵事務所の事件簿 1 (PHP文芸文庫)

【恋愛:ミステリー】1:9

あなたの頭を悩ます謎を、カラッと解決いたします!高校の同級生・古谷(ふるや)が探偵事務所を開くことになった。体調を崩していた俺は、その誘いを受け新聞記者から転職して、古谷の探偵事務所に勤めることにした。探偵事務所といっても、浮気調査や信用調査などは苦手としているようだ。出不精の所長・古谷を除けば、実質的な調査員は俺だけになってしまうので、張り込みや尾行などといった業務もろくにこなせないのだ。ではいったい何ができるのかというと――実は≪謎解き≫なのだ。作家とファンのメールのやりとりの中から、隠された真実を明らかにしていく「卵消失事件」、屋敷に打ち込まれた矢の謎を解く「三本の矢」など、技巧の限りを尽くして描いた6つの事件を収録。

イニシエーション・ラブ』で有名な乾くるみの探偵小説の短編集。ハッキリ言って、乾くるみが生み出す謎解きは現実的に読解不可能なレベルの謎解きが多いので、頑張って解こうとする気概がそもそも生まれないことが難点で、この作品でも同じく無理無理無理と諦めるような謎解きが並んでいる。しかし、重要なポイントはそんな謎解きではなく、読み返すとニヤッとできるどんでん返しにある。途中まで読んでどこに恋愛要素があるんだ!と声を荒げたくなる人もいるかと思うが、最後まで読んでもらえれば、この小説がただの推理小説ではなく、とてもとてもひねくれた恋愛小説であることに納得してもらえると思う

 

 

ちなみに続編『カラット探偵事務所の事件簿2』でも桜色の物語は続いている。

 

 

 

 

ぼくは明日、昨日のきみとデートする #七月隆文

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

【恋愛:ミステリー】9:1 

京都の美大に通うぼくが一目惚れした女の子。高嶺の花に見えた彼女に意を決して声をかけ、交際にこぎつけた。気配り上手でさびしがりやな彼女には、ぼくが想像もできなかった大きな秘密が隠されていて―。「あなたの未来がわかるって言ったら、どうする?」奇跡の運命で結ばれた二人を描く、甘くせつない恋愛小説。彼女の秘密を知ったとき、きっと最初から読み返したくなる。

映画化もされた話題の作品なので知っている方も多いと思う恋愛小説。作品自体に大きな謎が隠されているので恋愛ミステリーとして紹介させてもらうが、おそらく多くの賢明なる読者の方は、かなり序盤でシステムというか時間のすれ違いについては見当がついてしまうはずだ。しかし、それでも納得と共にこのSFラブストーリーを楽しめるのは、同じ時間を共有しているようで共有できていないという感情のすれ違いがとても新鮮であることと、その秘密を自分に置き換えた時に味わう切なさが胸を打つからではないだろうか。お互いに相手に伝え合う「また会えるよ」という言葉は、感情移入して読むと涙が止めどなく流れてしまう。

 

 

 

 

陽だまりの彼女 #越谷オサム

陽だまりの彼女 (新潮文庫)

【恋愛:ミステリー】9:1

幼馴染みと十年ぶりに再会した僕。かつて「学年有数のバカ」と呼ばれ冴えないイジメられっ子だった彼女は、モテ系の出来る女へと驚異の大変身を遂げていた。でも彼女、僕には計り知れない過去を抱えているようで──その秘密を知ったとき、恋は前代未聞のハッピーエンドへと走りはじめる! 誰かを好きになる素敵な瞬間と、同じくらいの切なさも、すべてつまった完全無欠の恋愛小説。

同じく作品自体に大きな謎が隠されている恋愛ミステリーとして紹介したい作品がコチラ。軽く読みやすい文章でベタ甘系の恋愛小説が続いていると思ったら、急にフィアンセが失踪するという急展開をみせる。恋愛小説としてとても感動できることはもちろん、そういった謎にソワソワしながら読み進めていけるのも楽しめるポイントだ。SF的要素が多分に含まれていて論理的なミステリーという訳ではないが、大きな謎を含んだ恋愛描写は、読了後にもう一度読みかえしたくなるはずだ

 

 

 

 

泥棒猫ヒナコの事件簿 あなたの恋人、強奪します #永嶋恵美

泥棒猫ヒナコの事件簿 あなたの恋人、強奪します。 (徳間文庫)

【恋愛:ミステリー】6:4

このままじゃ、私殺される…!年下彼・英之のDVから逃げ回っていた梨沙は、ケータイに出ていたアヤシイ広告に飛びついた。「あなたの恋人、友だちのカレシ。強奪して差し上げます。」梨沙の依頼を受けた、“泥棒猫”こと皆実雛子が、英之の男心を“強奪”する方法は?そして、雛子の献身に、いつしか梨沙の心も癒されて…。恋のダークサイドを知ってしまった全女子必読のサスペンス。

作品タイトルにセンスはないが、とても面白い恋愛サスペンスミステリーといえばこの作品も外せない。DV男や監禁男などと付き合って別れられない女性から依頼を受け、そのバカ男たちを横取りして別れさせる謎の”別れさせ屋”の美女ヒナコの連作短編集。主人公のミナミヒナコが颯爽としていて格好良く、各ストーリーの心情描写や物語の構成もとても良かったので、やっていることは非現実的なのに同時にとても現実的な話にも感じられる不思議な作品。

 

 

ちなみに続編の『泥棒猫ヒナコの事件簿 別れの夜には猫がいる』も出ていて、救われる女性よりもヒナコにフォーカスした内容になっているので、今作を気に入った方はいっそう楽しめると思う。

 

 

 

 

ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち #三上延

ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)

【恋愛:ミステリー】2:8

鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージに合わない若くきれいな女性だ。残念なのは、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者として心配になる女性だった。だが、古書の知識は並大低ではない。人に対してと真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも、彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。これは“古書と秘密”の物語。

ミステリーに古書というエッセンスを加え、恋愛をふわりと絡ませたのがこのビブリアシリーズ。ブームにもなった有名作だが、内容も知名度に劣ることなくレベルが高く物語の要所で締め所があり面白い。古書にまつわるミステリーだが、知識がなくとも楽しめるようにワトソン役の大輔に栞子さんが説明をする形で解説をしてくれる。また、本好きからすると嬉しくなってしまうような古書店の雰囲気が文字を通して伝わってくるので読書好きにはたまらない作品になっている。ちなみに、この作品だけ読んでもそこまで恋愛ミステリーという気はしないかもしれないが、シリーズをすべて読めば恋愛とミステリーの割合はハーフハーフくらいだと思う

 

 

 

 

葉桜の季節に君を想うということ #歌野晶午

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

【恋愛:ミステリー】2:8

「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして―。あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です。

読み返したくなる本のランキングを作ったとしたら、必ず上位に名前が挙がるであろう歌野晶午の傑作ミステリー。私立探偵のハードボイルドな展開から、気が付くと恋愛感情が芽生えていくのだが、あまりにも想像の上をいくトリックに驚愕を覚えてしまった。物語の構成上、時系列がパラパラと章ごとに変わるので若干の読みにくさはあるが、我慢して読んでもらえれば全てがひっくり返る極上のカタルシスを味わうことが出来るはずだ。もちろん、そのネタバレを話すような無粋な真似はここではしない。

 

 

 

 

隻眼の少女 #麻耶雄嵩

隻眼の少女 (文春文庫) 

【恋愛:ミステリー】2:8

自殺する場所を求め寒村の温泉宿を訪れた大学生の種田静馬は、村の伝説の地で起こった少女の首切り事件に遭遇する。被害者は古から村を支配するスガル様の後継者で、九年後に起こると予言される大難事に備えるべく修行をしていた。犯人の罠により殺人犯と疑われた静馬を見事な推理で救った水干姿の十八歳の隻眼の少女の名は御陵みかげ。名探偵であった亡き母、御陵みかげの遺児で、母の名を継ぐべく、元刑事の父の手ほどきで各地で探偵としての修養を積んでいた最中だった。静馬は助手見習いとして、みかげと共に被害者の琴折屋敷へ向かうが、そこでは第二第三の殺人が待ち受けていた。三つ児の三姉妹、そして父を失いながらも難事件を解決したみかげ。だが、18年後に同じ現場で18年前を再現するような悪夢が……。絶品の超絶本格ミステリー。第64回日本推理作家協会賞、第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。

18年越しに前編と後編の二部に分かれた構成で緊迫感がある麻耶雄嵩の本格ミステリー小説。結末が全く読めないストーリーと種田とみかげの間の恋愛が混じり合い、今まで読んだことがない独自の物語が流れていく。一度読み終えてから再度読み返すと、うすら恐ろしくて気分の悪い物語だが、その気分の悪さも含めて麻耶雄嵩の作品を読んでいる幸せを感じられる一冊。大トリックには小さな矛盾を感じなくもないが、そんな矛盾が気にならないほどに衝撃の結末が待っていることを約束しよう。

 

 

 

 

○○○○○○○○殺人事件 #早坂吝

○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)

【恋愛:ミステリー】3:7 

アウトドアが趣味の公務員・沖らは、フリーライター・成瀬のブログで知り合い、仮面の男・黒沼が所有する孤島で毎年オフ会を行っていた。沖は、今年こそ大学院生・渚と両想いになりたいと思っていたが、成瀬が若い恋人を勝手に連れてくるなど波乱の予感。孤島に着いた翌朝、参加者の二人が失踪、続いて殺人事件が!さらには意図不明の密室が連続し…。果たして犯人は?そしてこの作品のタイトルとは?

メフィスト賞受賞作にして、盛大なくだらなさを楽しめるタイトル当て本格推理小説。恋愛感情のない身体の関係を恋愛と表現していいものか悩ましい所ではあるのだが、男女の仲が作品の中央に置かれている小説ではあるので恋愛ミステリーとして紹介しておきたい。ついつい苦笑いしてしまうようなド下ネタのトリックと、納得させられるような本格トリックが混ざり合い、このシリーズでしか味わえない独特の満足感を得られる作品になっている。ただ、この下品な感じとか、くだらなさとかを楽しめない人も多くいると思うので賛否ある作品でもあるので清廉潔白な読書家の方にはすすめる気はない。

 

 

 

 

パラレルワールド・ラブストーリー #東野圭吾

パラレルワールド・ラブストーリー (講談社文庫)

【恋愛:ミステリー】3:7

親友の恋人を手に入れるために、俺はいったい何をしたのだろうか。「本当の過去」を取り戻すため、「記憶」と「真実」のはざまを辿る敦賀崇史。錯綜する世界の向こうに潜む闇、一つの疑問が、さらなる謎を生む。精緻な伏線、意表をつく展開、ついに解き明かされる驚愕の真実とは!?傑作長編ミステリー。

東野圭吾の記憶と恋愛にかかわる長編ミステリー小説。親友の恋人が自分の恋人になっているという二つの記憶がごちゃ混ぜになり、主人公と共に読者もその混乱の渦の中に落ちていくように物語が進んでいく。個人的には岡嶋二人『クラインの壷』に近い読書感覚を得られる小説で、虚構と現実が混じり合っていくことで読者が軽いトランス状態になるような気さえしてくる不思議な作品。ただ、初期の東野作品にみられるプライドが高く自信過剰な人間が主人公なので、読んでいてあまり気持ちのいい作品ではないことと、タイトルにラブストーリーと入っている割には、あまりラブストーリーらしくないのが難点か、笑

 

 

 

 

扉は閉ざされたまま #石持浅海

扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)

【恋愛:ミステリー】1:9

大学の同窓会で七人の旧友が館に集まった。“あそこなら完璧な密室をつくることができる…”伏見亮輔は客室で事故を装って後輩の新山を殺害、外部からは入室できないよう現場を閉ざした。自殺説も浮上し、犯行は成功したかにみえた。しかし、碓氷優佳だけは疑問を抱く。開かない扉を前に、息詰まる頭脳戦が始まった…。

初めから犯人がわかっている倒叙物の殺人事件で、たった一枚の扉を開けるべきかどうかを議論する石持浅海の超論理的ミステリーの傑作。内容、推理展開、プロット、さらに話の落とし所も含めて本当に面白く、追い詰められる犯人の心情を読み手が共にドキドキしながら読んでいくことが出来る。主人公の優佳が探偵役として無慈悲に追い詰めてくるので、正しいはずの探偵が何故かダークヒーローのような雰囲気をまとっているのも作品の大きな魅力といえるかもしれない。ちなみに何故この作品が恋愛ミステリーなのかは結末まで読んで貰えればわかると思う。これほど恋愛ミステリーという言葉がピッタリな作品はないはずだ。

 

 

ちなみに、探偵役の碓氷優佳シリーズは他にも多数出版されているので、面白かった方は読んでみて欲しい。学生時代の優佳を描いたエピソード0的作品『わたしたちが少女と呼ばれていた頃』が個人的には特におすすめしたい作品だ。

 

 

 

 

レベル7 #宮部みゆき

レベル7(セブン) (新潮文庫)

【恋愛:ミステリー】2:8

レベル7まで行ったら戻れない――謎の言葉を残して失踪した女子高生。記憶を全て失って目覚めた若い男女の腕に浮かび上がった「Level7」の文字。少女の行方を探すカウンセラーと自分たちが何者なのかを調べる二人。二つの追跡行はやがて交錯し、思いもかけない凶悪な殺人事件へと導いていく。ツイストに次ぐツイスト、緊迫の四日間。ミステリー・サスペンスの最高峰、著者初期の傑作。

記憶喪失の男女がベットで意識を取り戻す場面から始まる宮部みゆきのミステリーサスペンス。初めて読んだときのドキドキが今でも忘れられないような緊迫した作品で、読み手が記憶喪失の主人公二人と共に一緒に事件の真相に迫っていく構成も素晴らしい。作品はサスペンス色が強いのでどうして恋愛ミステリーなのかわからないかもしれないが、読み終えた後に結末からストーリーを振り返ったら、これほど素敵な恋愛ミステリーはないかもしれない。

 

 

 

 

白夜行 #東野圭吾

白夜行 (集英社文庫)

【恋愛:ミステリー】1:9

1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂―暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んで行く。二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。だが、何も「証拠」はない。そして十九年…。息詰まる精緻な構成と、叙事詩的スケール。心を失った人間の悲劇を描く、傑作ミステリー長篇。

恋愛という言葉から連想される胸躍るような明るいイメージとはかけ離れた東野圭吾の傑作ミステリー作品。亮司と雪穂の二人が、遠く離れた共存関係(共犯関係?)を隠し続けながら送る壮絶な人生が描かれている。単に恋愛ミステリーという軽い言葉で片づけるのが忍びないほど重厚感と悲しみが詰まった物語で、じわりじわりと真相に近づいていく展開にハラハラさせられる。僕は二人に感情移入していた為に、どちらかというと焦りを感じながら読んでしまった。恋愛ミステリーというジャンルに関係なく、物語としてこの上なく面白いので多くの方に読んでもらいたい名作だ。

 

 

 

 

最後に

興味が少しでも沸いた作品があっただろうか?

 

どこまでが恋愛ミステリーなのかの線引きは難しく、この記事でも非常に悩んでしまった部分はあるのだが、恋愛がなければ物語が成立しない作品を恋愛ミステリーとして紹介することにした。


おすすめした作品の中で一つにでも興味をわいた作品があればうれしく思う。