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【読書初心者用】読みやすいミステリー小説をまとめてオススメ!!【19作品】

2018年9月8日更新

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ミステリーを読んでみたいけど、難しくて楽しめなかったら嫌だという感覚・・・よくわかります。

 

そんな人たちのために、

読みやすいミステリー小説

というものも存在します。

 

読みやすいミステリー小説で慣れることで、本格ミステリーを読むための助走にもなるし、何よりもサクサク読めて楽しい気持ちになれる作品が多いので是非とも多くの方に読んでもらいたいところです。

ちなみに、アニメ絵のイラスト表紙のライトミステリーは多く発売されているけど、今回はライトノベル超え、本格ミステリー未満な作品を紹介する感じで書いてみたいと思う。

でもその境界なんてあやふやなんだけどね、笑。

 

 

 

 

ルール

  • 実際に読んで面白かった作品をまとめとして紹介(ランキングではなく順番はランダム)
  • 現在個別ページがない作品もいずれ個別ページを作成し、映画、ドラマ、漫画、アニメなど、他の媒体になっているなどの詳細情報はそちらに
  • 基本的にはおすすめしたい点をフォーカスする。気になった点は個別ページに書く。あらすじはamazonから引用させてもらう
  • ダラダラと長い記事なので目次を活用してもらえるとありがたい
  • 重大なネタバレはしないが、見たくなかったり長い記事読むのが面倒だったら目次で飛んで欲しい
  • ポイントは”読みやすいこと””ミステリーであること”の2点のみで、他は自由に紹介したいと思う

 

 

ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち #三上延

ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)

鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージに合わない若くきれいな女性だ。残念なのは、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者として心配になる女性だった。だが、古書の知識は並大低ではない。人に対してと真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも、彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。これは“古書と秘密”の物語。

いきなりラノベ風アニメ絵のイラスト表紙の作品だが、読みやすいミステリーを紹介するにあたり古書を題材にしたこのミステリー小説は外せない。古書店「ビブリア古書堂」を中心に古書にまつわる謎を解いていく作品で、読み心地はライトタッチなのに物語の要所で空気が引き締まるようなシリアスなミステリー展開が待っている。古書の知識がなくとも楽しめるように、知識のない大輔とともに本の説明を受けながら読めることもこの作品の魅力の一つで、本好きからすると嬉しくなるような古書店の雰囲気も柔らかく伝わってくるし、装丁の絵の綺麗さも物語の雰囲気を良く表現していて好印象。あと、ホームズ役の栞子さんがホント可愛い。シリーズは完結しているので続きを気にせずガンガン読めるのもメリットかもしれない。 

 

 

 

珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を #岡崎琢磨

珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

京都の小路の一角に、ひっそりと店を構える珈琲店「タレーラン」。恋人と喧嘩した主人公は、偶然に導かれて入ったこの店で、運命の出会いを果たす。長年追い求めた理想の珈琲と、魅惑的な女性バリスタ・切間美星だ。美星の聡明な頭脳は、店に持ち込まれる日常の謎を、鮮やかに解き明かしていく。だが美星には、秘められた過去があり―。
軽妙な会話とキャラが炸裂する鮮烈なデビュー作。

ビブリアと比較されがちな読みやすいコーヒーミステリー。あまりネタバレしたくないが、シリーズを通して叙述トリックが比較的多く用いられているシリーズなので、没頭して読んでいると鮮やかに逆転される”騙される快感”を味わえる。このデビュー作についてのみ語るなら、時系列が若干わかりにくい部分が見受けられるが、主人公の秘密が綺麗な伏線となって最終話に収束する様はなかなか面白いので、珈琲を飲みながらカフェで読んでると驚きと癒しを同時に味わえるミステリーといえる。ちなみに謎が解けた時にホームズ役の美星さんが言う「その謎、大変よく挽けました」というキメ台詞を読むと、ムズ痒くって恥ずかしい気持ちになる、笑。 

 

 

 

退出ゲーム #初野晴

退出ゲーム (角川文庫)

穂村チカ、高校一年生、廃部寸前の弱小吹奏楽部のフルート奏者。上条ハルタ、チカの幼なじみで同じく吹奏楽部のホルン奏者、完璧な外見と明晰な頭脳の持ち主。音楽教師・草壁信二郎先生の指導のもと、廃部の危機を回避すべく日々練習に励むチカとハルタだったが、変わり者の先輩や同級生のせいで、校内の難事件に次々と遭遇するはめに―。化学部から盗まれた劇薬の行方を追う「結晶泥棒」、六面全部が白いルービックキューブの謎に迫る「クロスキューブ」、演劇部と吹奏学部の即興劇対決「退出ゲーム」など、高校生ならではの謎と解決が冴える、爽やかな青春ミステリの決定版。

読みやすさという視点だと、この『ハルチカシリーズ』も外せない。チカ(女)もハルタ(男)も草壁信二先生(男)を愛している変わった三角関係と共に進む展開はライトノベルに限りなく近いかもしれないが、事件によってはシリアスさもあり、何よりも吹奏楽部の目標に向けて問題を解決しながら仲間を増やす感覚がとても面白い。問題はシリーズが進むにつれてミステリーよりも青春小説として優れてくるので、だんだんとミステリー要素が逆に少し邪魔に感じるところか、笑。ただ、それだけ爽やかで素敵な作品とも呼べるので是非どうぞ。 

 

  

 

道然寺さんの双子探偵 #岡崎琢磨

道然寺さんの双子探偵 (朝日文庫)

消えた香典の行方、水子供養に隠された秘密。道然寺の若和尚・窪山一海が巻き込まれる謎の数々を先に解決するのは、人を疑うレン?それとも人を信じるラン?生老病死―いつの世も人は苦悩を避けられない。捨て子だった双子探偵は、様々な出来事をどう受け止めるのか。

ほっこりする優しいお寺の日常の謎を描いたミステリー小説。上記した『タレーランシリーズ』でもそうだが、岡崎さんは作品全体の空気を形成するのがうまいので、この作品も独特の空気が全体を包み込んでいて心地いい。語り手がお坊さんという事もあり、落ち着いた展開で進んでいく物語だったので、読み終わった後も心の平穏が保たれている気がする。性善説のランと性悪説のレンが別の角度から事件を見るという構成が独自の色となって読者を楽しませてくれる。ただ、欲を言えば物語の序盤が説明的で世界観に入りにくかった印象を受けたのでそこが自然だったらな、とは思う。 

 

 

 

○○○○○○○○殺人事件 #早坂吝

○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)

アウトドアが趣味の公務員・沖らは、フリーライター・成瀬のブログで知り合い、仮面の男・黒沼が所有する孤島で毎年オフ会を行っていた。沖は、今年こそ大学院生・渚と両想いになりたいと思っていたが、成瀬が若い恋人を勝手に連れてくるなど波乱の予感。孤島に着いた翌朝、参加者の二人が失踪、続いて殺人事件が!さらには意図不明の密室が連続し…。果たして犯人は?そしてこの作品のタイトルとは?

メフィスト賞受賞作にして、盛大なくだらなさを楽しめるタイトル当て本格推理小説。「史上最もHな探偵」と呼ばれる上木らいちが孤島で起こる殺人事件を解決するいわゆるクローズドサークル作品で、サバサバした貞操観念を持つらいちが色んな男と身体の関係を持ちながら推理していく展開は新しい。全体を通した大トリックも存在していて、様々な要素が盛り込まれた不思議な作品なので、ぜひ肩の力を抜いて読んでもらいたい一冊。ただし、この下品な感じや脱力するような展開を楽しめない人もいると思うので、下ネタウエルカムな人にだけおすすめしたい。 

 

ちなみにこの『らいちシリーズ』は何冊か発売されているが、その中でも驚愕の密室トリックが書かれてる『双蛇密室』をおすすめしたい。そんなのアリ?!って感じのミステリーだ。 

 

 

 

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い #西尾維新

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)

絶海の孤島に隠れ棲む財閥令嬢が“科学・絵画・料理・占術・工学”、五人の「天才」女性を招待した瞬間、“孤島×密室×首なし死体”の連鎖がスタートする。工学の天才美少女、「青色サヴァン」こと玖渚友とその冴えない友人、「戯言遣い」いーちゃんは、「天才」の凶行を“証明終了”できるのか?第23回メフィスト賞受賞作。

メフィスト賞を受賞した”戯言シリーズ”の一作目。天才が集められた孤島で首なし死体が発見され、天才・玖渚友の冴えない友人である”僕”がその謎を究明する。読んでいてちょっと気恥しくなってしまう部分はあるが、西尾維新が生み出す独特の節というか言い回しが読んでいると中毒になっていくので、ハマると次から次へとどんどん読んでしまいそうになる。クレバーな推理の雰囲気が面白かったのだが、シリーズが進むにつれて徐々に特殊能力バトルみたいな展開になっていくので、シリーズの中で純粋に推理小説として読めるのは初期のこの作品だけかもしれない。 

 

 

 

神様ゲーム #麻耶雄嵩

神様ゲーム (講談社文庫)

神降市に勃発した連続猫殺し事件。芳雄憧れの同級生ミチルの愛猫も殺された。町が騒然とするなか、謎の転校生・鈴木太郎が犯人を瞬時に言い当てる。鈴木は自称「神様」で、世の中のことは全てお見通しだというのだ。鈴木の予言通り起こる殺人事件。芳雄は転校生を信じるべきか、疑うべきか。神様シリーズ第一作。

麻耶雄嵩さんのミステリーランド作品。衝撃の展開からさらに衝撃の展開へ進む衝撃の物語。話の展開は読みやすいミステリーというほど軽いものではないが、レーベルの関係で読みやすさとブラックさがいい感じで混じり合った作品になっている。読者が神様である鈴木君の存在を信じるのか、ある種の論理性を重んじるのかによってエンディングが変わるリドルストーリーの側面を持つので、初心者だけでなくミステリーマニアにも好評な作品になっている。ちなみに僕は神様を信じるエンディングを選んだ。 

 

ちなみに続編にあたる『さよなら神様』は連作短編になっているが、同じレベルで面白いのでおすすめだ。 

 

 

 

アリス・ザ・ワンダーキラー #早坂吝

アリス・ザ・ワンダーキラー

名探偵の父親に憧れ、“不思議殺し”の名探偵を自称する少女アリス。父親からの誕生日プレゼント“仮想空間”で待ち受ける5つの奇妙な謎を、24時間以内に解くことはできるのか?!たたみ掛けるドンデン返しと、迫りくるロジックの快感!『○○○○○○○○殺人事件』の著者が贈る、新感覚パズルミステリ。

ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』をモチーフにしたVR空間でのミステリー。論理性と奇抜な展開がきれいに融合しているので、知名度は低いものの実はかなりレベルの高い作品。特に後半の怒濤の巻き返しの展開はまったく想像していなかったので驚きの連続で、この鮮やかなオチは是非読んで味わってもらいたいところだ。文章的に少し軽すぎるような印象を受けるかもしれないが、アリスの世界観をうまく使っているのも魅力的で、らいちシリーズ以外の早坂作品に積極的に手を伸ばしたくなる一冊となっている。 

 

 

 

午前零時のサンドリヨン #相沢沙呼

午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫)

ポチこと須川くんが、高校入学後に一目惚れしたクラスメイト。不思議な雰囲気を持つ女の子・酉乃初は、実は凄腕のマジシャンだった。放課後にレストラン・バー『サンドリヨン』でマジックを披露する彼女は、須川くんたちが学校で巻き込まれた不思議な事件を、抜群のマジックテクニックを駆使して鮮やかに解決する。それなのに、なぜか人間関係には臆病で、心を閉ざしがちな初。はたして、須川くんの恋の行方は―。学園生活をセンシティブな筆致で描く、連作ミステリ。全選考委員が「うまい」と評した第十九回鮎川哲也賞受賞作。

恋愛&ミステリー&マジックという3つの要素を織り交ぜた青春ミステリー。デビュー作ということもあり、須川くんの言い回しがたまにキザだったり、文章の読みやすさから想像できる展開よりも少し重めな展開が続くので違和感はあるものの、マジックがスマートな形で謎解きに絡んでくるのは新鮮だった。ヒロインにしてホームズ役の酉乃さんのクールで優しいキャラ設定も魅力的なので、キャラ小説としても十分に楽しめる1冊

 

 

あと続編の『ロートケプシェン、こっちにおいで』では須川くんがちょっとだけ男を見せる。 

 

 

 

万能鑑定士Qの事件簿 #松岡 圭祐

万能鑑定士Qの事件簿 I (角川文庫)

東京23区を侵食していく不気味な“力士シール”。誰が、何のために貼ったのか?謎を追う若き週刊誌記者・小笠原は、猫のように鋭く魅惑的な瞳を持つ美女と出会う。凛田莉子、23歳―一瞬時に万物の真価・真贋・真相を見破る「万能鑑定士」だ。信じられないほどの天然キャラで劣等生だった莉子は、いつどこで広範な専門知識と観察眼を身につけたのか。稀代の頭脳派ヒロインが日本を変える!書き下ろしシリーズ第1弾。

普通のミステリーというより”うんちくミステリー”といった印象の作品。この一巻に関してだけ言えば、三つの時系列が混在して進んでいく不思議なプロットが独特で面白い。また途中で一度シリアスな場面に切り替わることで、作品全体に緊張感が走るのも効果的な演出だと思う。物凄く長いシリーズで沢山の作品が発売されているが、どの作品もサックサク読めるのでまとめて買ってまとめて読むと読書習慣が付くと思う。 

 

姉妹シリーズとして『特等添乗員αの難事件』シリーズもあるし、一応書いておくが『水鏡推理』シリーズは、作者が取材したであろう内容を盛り込みすぎていて読みにくい。 

 

 

 

 

放課後はミステリーとともに #東川篤哉

放課後はミステリーとともに (実業之日本社文庫)

鯉ケ窪学園高校探偵部副部長・霧ケ峰涼の周辺には、なぜか事件が多い。校舎から消えた泥棒、クラスメ-トと毒入り珈琲一族との関わり、校外学習のUFO騒動――解決へ意気込む涼だが、ギャグが冴えるばかりで推理は発展途上。名推理を披露するのは探偵部副部長なのかそれとも? ユーモア学園推理の結末は?

『謎解きはディナーのあとで』で有名な東川篤哉の『鯉ヶ窪学園探偵部シリーズ』の番外編の作品。この本の全てを面白いと感じたわけではなかったが、ちょこちょこ書かれているユーモアがガチッとハマって面白い瞬間がある不思議なミステリー作品。ミステリー小説としてというよりもそのユーモアがリーダビリティーを高めてくれているように思う。でもこれは作者との相性の問題が大きいのかな?作品を通じてもう一つ大きなトリックがあれば嬉しかったかもしれないと個人的には思っているが、充分たのしめる作品であることは間違いない。 

 

 

 

氷菓 #米澤穂信

氷菓 (角川文庫)

いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実―。何事にも積極的には関わろうとしない“省エネ”少年・折木奉太郎は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリ登場!第五回角川学園小説大賞奨励賞受賞。

米澤穂信のデビュー作にして人気アニメ作品。柔らかいタッチのミステリーなので読んでいて疲れないし、学生が実際に体験するレベルの謎としては絶妙な題材で作られている。ちょっと気恥しさも残るが、登場するキャラも立っていて思わず続編を読みたくなるシリーズになっている。また、読んだ印象の軽さのわりに身体の芯に少しだけ残る重さも心地よいと思える作品だ。 

 

続編の中では『愚者のエンドロール』が苦々しくて名作だと思う。 

 

 

 

春期限定いちごタルト事件 #米澤穂信

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎を解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか?新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。

同じく米澤穂信の読みやすいミステリーである『小市民シリーズ』。タイトルにスイーツが入っているので男性はちょっと恥ずかしくて手に取りにくいかもしれないが、軽いタッチのミステリーで精神的に引っ張られる事がなくサクサク読める良作だ。謎についても日常に起こりうるリアルな謎だったので物語に入りやすく、「春期限定いちごタルト事件」を各章に断片的に入れ込む事で、作品全体に繋がりを持たせつつ綺麗にまとめあげている印象なので作品としての完成度も高い。続編として『夏季限定トロピカルパフェ事件』『秋季限定栗きんとん事件』がでていて、そちらも大変面白うございます。 

 

 

 

青空の卵 #坂木司

青空の卵 (創元推理文庫)

僕、坂木司には一風変わった友人がいる。自称ひきこもりの鳥井真一だ。複雑な生い立ちから心を閉ざしがちな彼を外の世界に連れ出そうと、僕は日夜頑張っている。料理が趣味の鳥井の食卓で、僕は身近に起こった様々な謎を問いかける。鋭い観察眼を持つ鳥井は、どんな真実を描き出すのか。謎を解き、人と出会うことによってもたらされる二人の成長を描いた感動の著者デビュー作。

柔らかい雰囲気の日常の謎を描いた坂木司の『ひきこもり探偵シリーズ』。作者の同姓同名の坂木とひきこもりの探偵・鳥井の友情とミステリーが描かれている作品。なんとなく男性が書くにはナヨナヨした男性像が描かれているので、覆面作家である坂木司の性別は(少なくとも心は)女性だと思っている。名探偵がワトスンに依存する感じがとても新鮮に感じる。ちなみに作中で気に入った台詞は「心の中に棲む人と暮らせば、幸せも不幸せも、本物が手に入るぞ」。偽物を本物と勘違いしないように生きていきたい。 

 

 

 

先生と僕 #坂木司

先生と僕 (双葉文庫)

都会の猫は推理好き。田舎のネズミは…?―ひょんなことから大学の推理小説研究会に入ったこわがりな僕は、これまたひょんなことからミステリ大好きの先生と知り合う。そんな2人が、身のまわりにあるいろいろな「?」を解決すると同時に、古今東西のミステリ作品を紹介していく連作短編集。事件の真相に迫る名探偵は、あなたをミステリの世界に導く名案内人。巻末には仕掛けに満ちた素敵な「特別便」も収録。

坂木司さんの本によく出てくる優しいお人好しキャラが活躍する柔らかいライトミステリー。テイスト的に上記の『引きこもり探偵シリーズ』に近い作品に感じるが、この作品は他のミステリーとの橋渡しをしてくれる側面もあるので、これからミステリーを読みたい人には特におすすめしたい。個人的には、坂木さんの本では女の人が主人公の話のほうが肌に合うのだが・・・これはただの好みの問題だろう。 

 

補足としてミステリーではないが、同氏の作品『ホテルジューシー』『ワーキングホリデー』を読んでおくと、この作品をさらに楽しめることは書いておきたい。 

 

 

あと、続編として『僕と先生』という作品もあるので気に入ったら是非。 

 

 

 

病弱探偵 謎は彼女の特効薬 #岡崎琢磨

病弱探偵 謎は彼女の特効薬

高校1年生の貫地谷マイは年中体調不良で学校は欠席続き。ミステリー好きな彼女の唯一の慰めはベッドで謎を解くことである。一方、マイにひそかに想いを寄せている幼馴染みの同級生、山名井ゲンキはマイのために、学校で起こった不思議な事件を、今日もベッドサイドに送り届ける。6つの謎と2人の恋の行く末は?

年中病弱で体調を崩している時だけ探偵をする貫地谷マイと、いつも元気な山名井ゲンキが贈る病弱ミステリー短編集。ストーリーも非常にシンプルな上に、なんだか脱力してしまうオチが続くので、物語に没頭しまくるわけではないのだがヘラヘラと肩の力を抜きながら楽しめる。あまり嫌な思いをすることがない、ほっこりエンドなストーリーが続くので疲れた時に読む本としては最適だと思う。なんとなくアニメ化を狙って書かれた本のような気もするのだが、どうなのだろうか。 

 

 

 

吾輩はシャーロック・ホームズである #柳広司

吾輩はシャーロック・ホームズである (角川文庫)

ロンドン留学中の夏目漱石が心を病み、自分をシャーロック・ホームズだと思い込む。漱石が足繁く通っている教授の計らいで、当分の間、ベーカー街221Bにてワトスンと共同生活を送らせ、ホームズとして遇することになった。折しも、ヨーロッパで最も有名な霊媒師の降霊会がホテルで行われ、ワトスンと共に参加する漱石。だが、その最中、霊媒師が毒殺されて…。ユーモアとペーソスが横溢する第一級のエンターテインメント。

シャーロックホームズを題材にしたミステリー作品。本当はホームズシリーズを読んでいた方が楽しめると思うが、逆にこの作品を読むことでシャーロックホームズシリーズに興味を持つようになるかもしれない作品。漱石の時代の日本人から見たヨーロッパへのコンプレックスと、夏目漱石による文化としての日本文学への思い入れを折り込みつつ、実際のホームズシリーズの雰囲気も見事に表現した名作だ。ちなみに僕はシャーロキアンではないが、シリーズは読んでいたので、この作品の犯人には心の底から驚いた。 

 

 

 

友達以上探偵未満 #麻耶雄嵩

友達以上探偵未満

三重県立伊賀野高校の放送部に所属する伊賀ももと上野あおは大のミステリ好き。ある日、部活動で訪れた伊賀の里ミステリーツアーで事件に巻き込まれる。探偵に憧れる二人はこれ幸いと、ももの直感力とあおの論理力を活かし事件を解決していくが…?(「伊賀の里殺人事件」)。見立て殺人?お堀幽霊の謎?合宿中にも殺人事件…。勝てばホームズ。負ければワトソン。この世界に名探偵は二人も、いらない。女子高生探偵・ももとあおの絶対に負けられない推理勝負、開幕!

麻耶雄嵩のミステリーは平均的に読みやすいとは言えないが、キュートな表紙のこの作品は例外的にとても読みやすい。二人の女子高生ももあおが名探偵になるべく競い合いながら推理を展開する物語だが、そこはやはり麻耶雄嵩作品なので一筋縄ではいかない展開が待っている。個人的には第一話が中だるみする印象があるのが、後半に進むにつれて盛り上がっていく。読み終えてからタイトルの巧妙さに舌を巻きつつ、もう一度はじめからページをめくりたくなる・・・そんなミステリー作品になっている。 

 

 

 

崩れる脳を抱きしめて #知念実希人 

崩れる脳を抱きしめて

広島から神奈川の病院に実習に来た研修医の碓氷は、脳腫瘍を患う女性・ユカリと出会う。外の世界に怯えるユカリと、過去に苛まれる碓氷。心に傷をもつふたりは次第に心を通わせていく。実習を終え広島に帰った碓氷に、ユカリの死の知らせが届く。彼女はなぜ死んだのか?幻だったのか?ユカリの足跡を追い、碓氷は横浜山手を彷徨う。そして、明かされる衝撃の真実!?希代のトリックメーカーが描く、今世紀最高の恋愛ミステリー。

余命いくばくもないユカリと主治医の碓氷が出会うことで巻き起こる恋愛ミステリー。病院が舞台ということもあり、作品が纏うホスピスのような静かで落ち着いた読書感覚が心地よい。完全な本格ミステリーとして読むと中盤以降の病院の対応に無理を感じてしまうものの、第一章で感じた物語の印象と第二章で起きる出来事がズレていくような展開はとても意外で、物語の世界に大きく引き込まれるものだった。ミステリー慣れした人なら気付いてしまうかもしれないが、初期段階で読むには素晴らしい作品だと断言できる。

 

 

 

 

最後に

続きが気になり、あっと驚く逆転劇が繰り広げられるミステリー小説はエンターテイメント性に優れている。だからこれから本を読みたいと思っている人にとって、読みやすいミステリー小説というのは一番敷居が低いジャンルなのではないかと思う

 

読みやすいし、続きも気になるし、驚きもあるのだ。つまらない訳がない。

 

だから、この先もおすすめの作品を見つけたら随時更新をしていこうと思う。

紹介した本の中で1冊でも気に入って、さらに次の作品を手に取ろうと思ってもらえたら、これほど嬉しいことはない。

読んでくれた方に感謝を。