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実際に読んで選んだ《有川浩作品》厳選のおすすめ小説ランキング【15作品】

初期作品は「ベタ甘系」と呼ばれる甘ったるい恋愛描写が多かった有川作品だが、年々その甘すぎる糖度が落ちついて上品な味になっている気がして個人的にはとても好きな”味付け”になっている。

以前の甘い作品も、最近の社会問題をテーマにした作品も、どちらも読みやすく要点が分かりやすい物語であること。そして、作品を読み終えた後に感じられる”読後感の良さ”有川作品の絶対的な特徴ともいえる。

同時に有川作品の灰汁(アク)とも呼べる”説教臭さ”についても書いていきたいと思う。作品は説教臭くない方がいい。

今回はそんな特徴を持った有川作品の中で、おすすめしたい作品をランキング形式で紹介したい。

また、どのような点がその作品の良い所なのかも書いていきたいと思う。

ルールとして

  • 実際に読んで面白かった作品をランキングで紹介する
  • さらにランキングには入らないがオススメしたいプラス1作品も紹介する
  • 売上げや受賞歴とは無関係で、あくまでも個人的な好き嫌いでランキングを作成している
  • 現在個別ページがない作品もいずれ個別ページを作成し、映画、ドラマ、漫画、アニメなど、他の媒体になっているなどの詳細情報はそちらに
  • あらすじ・ストーリーは基本amazonからの引用で読んだ時に最大に楽しめるように基本的に重大なネタバレなし
  • ダラダラと長い記事なので目次を活用してもらえるとありがたい
  • シリーズものに関しては、シリーズまとめて一つとしてカウントする

作家『有川浩』

(出典|有川浩<著者アーカイブ>|KADOKAWA)

1972年6月9日生まれ。受賞歴が華々しい訳ではないが、根強いファンを持つすばらしい作家。何と言っても読みやすくて楽しめる作品が多いのが良い。小説の世界を閉鎖的にせず、世間に対して裾野を広げてくれる存在だと僕は思っている。

第15位|ヒア・カムズ・ザ・サン

ヒア・カムズ・ザ・サン (新潮文庫)

編集者の古川真也は、特殊な能力を持っていた。手に触れた物に残る記憶が見えてしまうのだ。ある日、同僚のカオルが20年ぶりに父親と再会することに。彼は米国で脚本家として名声を得ているはずだったが、真也が見た真実は――。確かな愛情を描く表題作と演劇集団キャラメルボックスで上演された舞台に着想を得た「ヒア・カムズ・ザ・サン Parallel」を収録。有川浩が贈る物語新境地。

同じ設定、登場人物なのに関係性を変えたパラレルワールドを描いた二つの物語が一冊に集録されている珍しいタイプの本。サイコメトリーの能力を持った主人公が周囲にばれないように身近な小さな事件を解決する話で、読んでいて心地よい。ただ、別にこの話自体はサイコメトリーがなくてもほぼ成り立っている話のような気もする、笑。後半の「Parallel」は避けられない家族の話になっていて辛い気持ちになってしまうので、前半の方が読んでいて気持ちがいい。解説でも書かれていたが、有川作品の特徴は何と言っても読後感の良さだ。この作品も爽やかな結末だと思う。

第14位|ストーリー・セラー

ストーリー・セラー (幻冬舎文庫)

妻の病名は、致死性脳劣化症候群。複雑な思考をすればするほど脳が劣化し、やがて死に至る不治の病。生きたければ、作家という仕事を辞めるしかない。医師に宣告された夫は妻に言った。「どんなひどいことになっても俺がいる。だから家に帰ろう」。妻は小説を書かない人生を選べるのか。極限に追い詰められた夫婦を描く、心震えるストーリー。

病を患った小説家の妻とその夫のストーリー・・・と思いきや、その話は違う小説家の創作物で、その話も創作物で・・・と、作中作が連続してどこまでが本当の話なのかがわからなくなる技巧派な一冊。物語と構成は面白くとても感動できるのだが、クリエイティブな仕事をしている主人公の意見と、有川浩本人の意見が重なって見えるために読んでいてちょっと面倒くさくもある。主人公の夫が物凄くイケメンメンタルを持っていることと、女性側の感情描写は盛り上がりつつ読めるので、基本的には女性に強く薦めたい。作中に出てきた「ロマンチストなのに理屈っぽい」という一節は有川さんにも当てはまりそう。

第13位|県庁おもてなし課

県庁おもてなし課 (角川文庫)

地方には、光がある―物語が元気にする、町、人、恋。とある県庁に突如生まれた新部署“おもてなし課”。観光立県を目指すべく、若手職員の掛水は、振興企画の一環として、地元出身の人気作家に観光特使就任を打診するが…。「バカか、あんたらは」。いきなり浴びせかけられる言葉に掛水は思い悩む―いったい何がダメなんだ!?掛水とおもてなし課の、地方活性化にかける苦しくも輝かしい日々が始まった。

作者の出身地でもある高知県の県庁を題材にした地域貢献小説。民間意識の薄い県庁の職員が失敗を繰り返しながら地方活性化を目指し、観光課である”おもてなし課”で奮闘するのだが、有川作品の中でトップクラスに説教臭い作品になっている、笑。でも地方自治体の問題点や生かし方の現状把握とそれを自然な形で小説に丁寧に織り込んでいく力量には感心してしまうし、何よりもこの小説を読んだら、絶対に高知県に行きたくなる。これって見事な地元貢献だよね。

第12位|キャロリング

キャロリング (幻冬舎文庫)

クリスマスに倒産が決まった子供服メーカーの社員・大和俊介。同僚で元恋人の柊子に秘かな思いを残していた。そんな二人を頼ってきたのは、会社に併設された学童に通う小学生の航平。両親の離婚を止めたいという航平の願いを叶えるため、彼らは別居中の航平の父親を訪ねることに――。逆境でもたらされる、ささやかな奇跡の連鎖を描く感動の物語。

クリスマスに不幸の比べっこをする人々が自分を振り返って前に進んでいく話。物語の進み方が良い意味でバタバタしているところと、スピード感と続きが気になる話の展開が伊坂幸太郎『残り全部バケーション』に近い印象を受けたが、この話の方が優しい人たちが多いし、特に英代の愛情の深さと人間性には感動させられる。お互いを想いつつも相手に一歩踏み込んでいけなかった大和と柊子が、最後に後悔しないための選択を選んでいく様子もとても優しい。ちなみに航平の物語形式の日記が作品を彩る良いアクセントになっているのでそこをしっかりと読んでもらいたい

第11位|自衛隊三部作

【塩の街】

塩の街 (角川文庫)

塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女、秋庭と真奈。世界の片隅で生きる2人の前には、様々な人が現れ、消えていく。だが―「世界とか、救ってみたくない?」。ある日、そそのかすように囁く者が運命を連れてやってくる。『空の中』『海の底』と並ぶ3部作の第1作にして、有川浩のデビュー作!番外編も完全収録。

自衛隊三部作の1作目。塩害で壊滅寸前の世界を舞台にしたSF作品。デビュー作ということもあり珍しく暗い設定の物語なので、多くの有川作品を読んだ身としては逆に新鮮に感じてしまう。大義のためではなく身近な大切な人のために人間が突き動かされる様子が描かれており、作中で誕生する年齢差カップルから香り立つ”ベタ甘感”がいい感じ

【空の中】

空の中 (角川文庫)

200X年、謎の航空機事故が相次ぎ、メーカーの担当者と生き残った自衛隊パイロットは調査のために高空へ飛んだ。高度2万、事故に共通するその空域で彼らが見つけた秘密とは?一方地上では、子供たちが海辺で不思議な生物を拾う。大人と子供が見つけた2つの秘密が出会うとき、日本に、人類に降りかかる前代未聞の奇妙な危機とは―すべての本読みが胸躍らせる、未曾有のスペクタクルエンタテインメント。

自衛隊三部作の2作目。空に生まれた謎の物体とコミュニケーションを図っていくSF作品。言葉の定義を考えつつ話を進めていく会話が続くので、僕のように面倒くさい人間は楽しめると思う、笑。内容的には高巳という頭のやわらかい交渉人がいなければ人類は滅亡していたんじゃなかろうか、と悩み震える一冊。

【海の底】

海の底 (角川文庫)

4月。桜祭りで開放された米軍横須賀基地。停泊中の海上自衛隊潜水艦『きりしお』の隊員が見た時、喧噪は悲鳴に変わっていた。巨大な赤い甲殻類の大群が基地を闊歩し、次々に人を「食べている!」自衛官は救出した子供たちと潜水艦へ立てこもるが、彼らはなぜか「歪んでいた」。一方、警察と自衛隊、米軍の駆け引きの中、機動隊は凄絶な戦いを強いられていく―ジャンルの垣根を飛び越えたスーパーエンタテインメント。

自衛隊三部作の3作目。巨大エビが大量発生し、閉鎖された潜水艦に閉じ込められる話。巨大エビと書くと、エビボクサーみたいで何となくコミカルになってしまうが被害の描写は意外とエグい。烏丸と明石のキャラが良かったり、夏木と望の今後が気になったりと楽しみは多いが、三部作の中では微妙に爽快感の薄い作品だ。

【クジラの彼】

クジラの彼 (角川文庫)

『元気ですか?浮上したら漁火がきれいだったので送ります』彼からの2ヶ月ぶりのメールはそれだけだった。聡子が出会った冬原は潜水艦乗り。いつ出かけてしまうか、いつ帰ってくるのかわからない。そんなクジラの彼とのレンアイには、いつも7つの海が横たわる…。表題作はじめ、『空の中』『海の底』の番外編も収録した、男前でかわいい彼女たちの6つの恋。有川浩がおくる制服ラブコメシリーズ第1弾。

自衛隊三部作の番外編が収録されている短編集。表題作の『クジラの彼』は冬原の話。『有能な彼女』は望のイメージがずいぶん変わっているので別の物語として楽しめる。ちなみに一番好きでおすすめしたいのは『ファイターパイロットの君』

第10位|空飛ぶ広報室

空飛ぶ広報室 (幻冬舎文庫)

不慮の事故でP免になった戦闘機パイロット空井大祐29歳が転勤した先は防衛省航空自衛隊航空幕僚監部広報室。待ち受けるのは、ミーハー室長の鷺坂(またの名を詐欺師鷺坂)をはじめ、尻を掻く紅一点のべらんめえ美人・柚木や、鷺坂ファンクラブ1号で「風紀委員by柚木」の槙博己、鷺坂ファンクラブ2号の気儘なオレ様・片山、ベテラン広報官で空井の指導役・比嘉など、ひと癖もふた癖もある先輩たちだった……。有川浩、渾身のドラマティック長篇小説。

ドラマ化もされている自衛隊広報を中心にした物語。自衛隊という普段触れる機会の少ない人たちが、たくさん登場するので読み終えると少しだけ身近に感じられるようになる。『県庁おもてなし課』もそうだが、有川浩が題材にするとその対象者の好感度がとても上がるので、この作品では自衛隊の好感度がとんでもなく効果的にアップしたと思う。二人のラブコメパートだけではなく、自衛隊のあり方を決めるのは自衛隊自身ではなく、国であり、政治家であり、国民であることを教えてくれる重要なメッセージ性も読み解きたいところ。

【ラブコメ今昔】

ラブコメ今昔 (角川文庫)

「自衛隊員の皆さんに恋愛や結婚の経験談を語ってもらいたいんです」。二等陸佐・今村和久の前に現れたのは、隊内紙の記者の元気娘・矢部千尋二等陸尉。訊けば、夫婦の馴れ初めを、コラムに掲載したいというのだが!?「みっともない」と逃げる今村、ねばる千尋。一歩もひかない攻防戦の顛末は―!?様々な思いが交錯する、自衛隊員の結婚を綴った表題作を含む、十人十色の恋模様6編を収録した、国を守る男女の本気印恋愛百景。

続編という訳ではないが、自衛隊の恋愛短編なのでセットでご紹介。ニヤニヤできる様々な小編が収録されており『ラブコメ今昔』の奥様が素敵だったり、とてもとてもラブコメらしい『広報官、走る!』などはずっと楽しい気持ちで読んでいられる。基本的にはニヤニヤできる作品が並んでいるが、小編の一つ『青い衝撃』だけは、けっこう精神的にダメージを負う作品なので気を付けて読んでもらいたい。あと、一番おすすめしたいのは『ダンディ・ライオン』。千尋がすこぶる可愛い。

第9位|フリーター、家を買う。

フリーター、家を買う。 (幻冬舎文庫)

就職先を3カ月で辞めて以来、自堕落気侭に親の臑を齧って暮らす“甘ったれ”25歳が、母親の病を機に一念発起。バイトに精を出し、職探しに、大切な人を救うために、奔走する。本当にやりたい仕事って?やり甲斐って?自問しながら主人公が成長する過程と、壊れかけた家族の再生を描く、愛と勇気と希望が結晶となったベストセラー長篇小説。

壊れかけた家族を修復するために一念発起していく主人公の話。前半に関しては、有川作品の中でもトップクラスに気が滅入るかもしれないが、後半に向けてどんどん爽やかになっていくので読後感は良い。可哀想に感じてしまうお母さんや、個人的に大嫌いな親父。あと、長女ってこうだよね?と思わず納得してしまうような家族のキャラ設定は見事だと思う。でもなぁ・・・新卒入社後3か月で辞めてダラッとフリーターをやっていた主人公が、いきなり優秀すぎる気がするので、そこには流石に違和感がある

第8位|シアター!

シアター! (メディアワークス文庫)

小劇団「シアターフラッグ」―ファンも多いが、解散の危機が迫っていた…そう、お金がないのだ!!その負債額なんと300万円!悩んだ主宰の春川巧は兄の司に泣きつく。司は巧にお金を貸す代わりに「2年間で劇団の収益からこの300万を返せ。できない場合は劇団を潰せ」と厳しい条件を出した。新星プロ声優・羽田千歳が加わり一癖も二癖もある劇団員は十名に。そして鉄血宰相・春川司も迎え入れ、新たな「シアターフラッグ」は旗揚げされるのだが…。

小劇団を舞台にした小説。アニメを見ているかのように目に浮かぶキャラクター達の生き生きとした姿や、小さな劇団の予算のやりくりなど、読んでいて楽しめる要素がたくさん詰まっている。登場人物達の会話のテンポが良すぎて少しチープに感じなくもないが、軽快な会話は疲れている時の読書には心地よい。空港みたいな名前の登場人物・羽田千歳のモデルとなったのは声優の沢城みゆきなのは有名な話だ。どことなく有川さん自身のエンターテイメントに対する考え方が反映されている作品にも思えるので色々な意味で興味深い一冊となっている。ちなみに続編に当たる『シアター!〈2〉』は恋愛要素が強めになっていて、噂では『シアター!〈3〉』は出ないらしい・・・残念無念。

【シアター!〈2〉】

「2年間で、劇団の収益から300万を返せ。できない場合は劇団を潰せ」―鉄血宰相・春川司が出した厳しい条件に向け、新メンバーで走り出した『シアターフラッグ』。社会的には駄目な人間の集まりだが、協力することで辛うじて乗り切る日々が続いていた。しかし、借金返済のため団結しかけていたメンバーにまさかの亀裂が!それぞれの悩みを発端として数々の問題が勃発。旧メンバーとの確執も加わり、新たな危機に直面する。そんな中、主宰・春川巧にも問題が…。どうなる『シアターフラッグ』!?書き下ろし。

第7位|キケン

キケン (新潮文庫)

成南電気工科大学機械制御研究部略称「機研」。彼らの巻き起こす、およそ人間の所行とは思えない数々の事件から、周りからは畏怖と慄きをもって、キケン=危険、と呼び恐れられていた。これは、その伝説的黄金時代を描いた物語である。

「機研(キケン)」と呼ばれる研究部の生徒たちが巻き起こすドタバタが描かれた青春物語。全体的に軽く読みやすい日常が描かれているので、このままポップに終わるのかと思いきや、章間に大人になった誰かのシリアスな話が挿入されることで、引き締まった物語に変えている構成は見事。青春時代を切り取った小説とも、昔を懐かしむ小説としても読め、さらに最後の章があることで10代でも30代でも読んでも満足できる懐の深い作品になっているネタバレは避けるが、黒板のページはマジで泣けちゃうから何も調べずに読んで見てもらいたい。

第6位|三匹のおっさん

三匹のおっさん (文春文庫)

「三匹のおっさん」とは…定年退職後、近所のゲーセンに再就職した剣道の達人キヨ。柔道家で居酒屋「酔いどれ鯨」の元亭主シゲ。機械をいじらせたら無敵の頭脳派、工場経営者ノリ。孫と娘の高校生コンビも手伝って、詐欺に痴漢に動物虐待…身近な悪を成敗。

やんちゃな幼馴染の三人組、キヨ、シゲ、ノリが定年後に身近な悪を成敗する現代版の痛快時代劇。読み始めは思いのほか初老のおっさんたちの立場が切なく、世知辛い世の中に感じてしまうが、三匹が揃ってからはハラハラドキドキというより、安心して楽しく読めてスッキリできる爽快な話。実は、三匹のおっさんたちよりも孫の祐希くんの存在がアクセントになっていて物語のバランスが美しく保たれているので、そういった視点でも楽しんでもらいたい。最後にはメチャクチャナイスガイになるからお楽しみに!

【三匹のおっさん ふたたび】

剣道の達人キヨ、武闘派の柔道家シゲ、危ない頭脳派ノリ。あの三人が帰ってきた! 書店での万引き、ゴミの不法投棄、連続する不審火……。ご町内の悪を正すため、ふたたび“三匹”が立ち上がる。清田家の嫁は金銭トラブルに巻き込まれ、シゲの息子はお祭り復活に奔走。ノリにはお見合い話が舞い込んで、おまけに“偽三匹”まで登場して大騒動! ますます快調、大人気シリーズ第二弾。

ちなみに続編の『三匹のおっさん ふたたび』の方が、事件の悪意が強くなっていたり、早苗が結構理不尽だったりするので、あまりスッキリとした読後感にはならないものの、「晴れの日じゃねぇか、男が小せえこと言うな」という最高の台詞と、北大路欣也さんの解説は心地よいので読む価値はあると思う

第5位|植物図鑑

植物図鑑 (幻冬舎文庫)

ある日、道ばたに落ちていた彼。「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか?咬みません。躾のできたよい子です」「―あらやだ。けっこういい男」楽しくて美味しい道草が、やがて二人の恋になる―。書き下ろし番外編に加え、イツキ特製“道草料理レシピ”も掲載。

ただ甘いだけの恋愛小説だと読んでいて恥ずかしくなってしまうが、草花や山菜が恋愛を包みこむオブラートになっている為に自然と四季が感じられ、時間の経過がとてもスムーズに伝わってくる素敵な作品。現実で自分の事を「躾のできたよい子です」なんて深夜に言ってくる奴がいたらドン引きを通り過ぎて恐怖だが、そこはあまり気にしないでエンタメとして読んで欲しい、笑。作品自体は山菜の料理描写が素晴らしく、単純に山菜を食べたくなるので、世の中の男子たちも、「※ただしイケメンに限るだろ」なんて言わずに、イツキのように格好いい草食の肉食系男子になってもらいたいところだ。

第4位|図書館戦争 シリーズ

図書館戦争シリーズ 文庫 全6巻完結セット (角川文庫)

【図書館戦争】

図書館戦争

2019年(正化31年)。公序良俗を乱す表現を取り締まる『メディア良化法』が成立して30年。高校時代に出会った、図書隊員を名乗る“王子様”の姿を追い求め、行き過ぎた検閲から本を守るための組織・図書隊に入隊した、一人の女の子がいた。名は笠原郁。不器用ながらも、愚直に頑張るその情熱が認められ、エリート部隊・図書特殊部隊に配属されることになったが…!?番外編も収録した本と恋の極上エンタテインメント、スタート。

有川浩がベタ甘系の恋愛小説家として名をはせるようになったキッカケのシリーズ1作目。検閲を正当化する「メディア良化法」が施行された仮想の世界で、検閲と戦う図書隊の活躍と主人公・笠原郁と上官・堂上篤の間で繰り広げられる恋愛模様が楽しめる。作品テーマも意外と深く、有川さんの創作物に対するメッセージ性も感じられる作品だ

【図書館内乱】

図書館内乱 図書館戦争シリーズ (2) (角川文庫)

図書隊の中でも最も危険な任務を負う防衛隊員として、日々訓練に励む郁は、中澤毬江という耳の不自由な女の子と出会う。毬江は小さいころから面倒を見てもらっていた図書隊の教官・小牧に、密かな想いを寄せていた。そんな時、検閲機関である良化隊が、郁が勤務する図書館を襲撃、いわれのない罪で小牧を連行していく―かくして郁と図書隊の小牧奪還作戦が発動した!?書き下ろしも収録の本と恋のエンタテインメント第2弾。

簡単に踊らされる世論のアホさ加減に辟易するシリーズ2作目。毬江に対する小牧の王子様的対応がとても格好良くて魅力的なのはもちろんだが、ラストでは学生の頃に自分を助けてくれた王子様の正体が、堂上教官であることを知った郁が動揺している姿が楽しめるニヤニヤな一冊

【図書館危機】

図書館危機 図書館戦争シリーズ (3) (角川文庫)

思いもよらぬ形で憧れの“王子様”の正体を知ってしまった郁は完全にぎこちない態度。そんな中、ある人気俳優のインタビューが、図書隊そして世間を巻き込む大問題に発展。加えて、地方の美術展で最優秀作品となった“自由”をテーマにした絵画が検閲・没収の危機に。郁の所属する特殊部隊も警護作戦に参加することになったが!?表現の自由をめぐる攻防がますますヒートアップ、ついでも恋も…!?危機また危機のシリーズ第3弾。

いよいよ「表現の自由」に対する戦いの比重が重くなっていくシリーズ3作目。徐々に変化していく郁と堂上の距離感を読んでいるとむず痒いのにワクワクニヤニヤしてしまう。女子は精神的な嫌がらせをするからキツイ的な事が書かれているが、男女問わず傷つけられた人間の痛みを想像出来ない浅はかな思考回路しか持てない人間は一定数いる。

【図書館革命】

図書館革命 図書館戦争シリーズ (4) (角川文庫)

原発テロが発生した。それを受け、著作の内容がテロに酷似しているとされた人気作家・当麻蔵人に、身柄確保をもくろむ良化隊の影が迫る。当麻を護るため、様々な策が講じられるが状況は悪化。郁たち図書隊は一発逆転の秘策を打つことに。しかし、その最中に堂上は重傷を負ってしまう。動謡する郁。そんな彼女に、堂上は任務の遂行を託すのだった―「お前はやれる」。表現の自由、そして恋の結末は!?感動の本編最終巻。

緊迫感と満足感で満たされる別冊を除いたシリーズ最終巻。恋愛要素だけではなく「表現の自由」に対する戦いはシリアスで見ごたえがあり、特に堂上と郁の終盤のやりとりは涙が自然と流れてしまうような名場面なのでぜひ読んでもらいたいところだ。ラストシーンでの二人の自然な会話が時間の流れを感じさせてくれて嬉しいような淋しいような感覚を味わえる。

【別冊 図書館戦争I】

別冊図書館戦争 1―図書館戦争シリーズ(5) (角川文庫 あ)

晴れて彼氏彼女の関係となった堂上と郁。しかし、その不器用さと経験値の低さが邪魔をして、キスから先になかなか進めない。あぁ、純粋培養純情乙女・茨城県産26歳、図書隊員笠原郁の迷える恋はどこへ行く―!?恋する男女のもどかしい距離感、そして、次々と勃発する、複雑な事情を秘めた事件の数々。「図書館革命」後の図書隊の日常を、爽やかに、あまーく描く、恋愛成分全開のシリーズ番外編第1弾。本日も、ベタ甘警報発令中。

表現の自由云々は置いておいて郁と堂上の恋人成長期間を中心にした別冊の1作目。本編4冊を読んで、二人の恋愛をもどかしく感じていた読者に対してのサービス作品。個人的には郁のスポーツブラのくだりが面白い。男は女性の下着なんてさほど気にしないけど、そこをアタフタ気にしてる女の子は何となく愛らしく見えたりするものだ。返り血笑顔でアマゾネス!

【別冊 図書館戦争II】

別冊図書館戦争II (図書館戦争シリーズ 6) (角川文庫)

“タイムマシンがあったらいつに戻りたい?”という話題で盛り上がる休憩中の堂上班。黙々と仕事をしている副隊長の緒形に、郁が無邪気に訊くと、緒形は手を休め、遠くを見つめるように静かに答えた―「…大学の頃、かな」。未来が真っ白だった無垢な時代。年をとるごとに鮮やかさを増す、愛しき日々。平凡な大学生であった緒形は、なぜ本を守る図書隊員となったのか!?過去と未来の恋を鮮やかに描く、シリーズ番外編第2弾。

別冊の1作目と同じテンションで読み始めると、思いのほか暗い内容にショックを受ける別冊2作目。主人公の二人よりも素直になった柴崎がとても可愛らしいのでそこを見て欲しい。短くまとめられた言葉から強い愛情と覚悟が感じられる「終わった恋に望むとすれば――君に幸あれ。ただそれだけを。」という名言は素晴らしかった。素敵な作品のラストなので満足感と共に寂しさを感じてしまう一冊となっている。

【レインツリーの国】

レインツリーの国 (新潮文庫)

きっかけは「忘れられない本」。そこから始まったメールの交換。共通の趣味を持つ二人が接近するのに、それほど時間はかからなかった。まして、ネット内時間は流れが速い。僕は、あっという間に、どうしても彼女に会いたいと思うようになっていた。だが、彼女はどうしても会えないと言う。かたくなに会うのを拒む彼女には、そう主張せざるを得ない、ある理由があった―。

『図書館内乱』で小牧が毬江に薦めたという小説を有川さんが本当に書いちゃったという本。内容は聴覚障害を持った女性と関西弁男の恋が描かれていて、少し触れにくい「差別用語」などのテーマがデコレーションなしの剥き出しで描かれている所が個人的には好印象な作品。言葉は感情や状況を他人に伝える為に存在しているのに、その言葉自体が独り歩きして人を傷つける事がある大切なのは「言葉」自体ではなくそれを使う人間の「真摯」さである事を改めて教えてくれる素敵なスピンオフ

第3位|阪急電車

阪急電車

隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。恋の始まり、別れの兆し、途中下車―人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。ほっこり胸キュンの傑作長篇小説。

阪急電車の上品なイメージを生かしつつほっこりさせてくれる名作連作短編集。電車の中で起きる奇跡のような素敵な出会いが、登場人物たちの心を少しだけ前向きにさせてくれるので、少し凹んでいる時や心が負けそうなときに読めばそっと背中を押してくれるような作品だ。作中では純白のドレスで結婚式に乗り込む翔子の存在と、全てを受け入れて凛としているおばあちゃんの存在が物語に緊迫感と品格を与えてくれていると思うので注目して読んでもらいたい。とにかく多幸感に浸れる作品なので、家の本棚に置いてあると勇気が湧いてくる一冊だと思う

第2位|旅猫リポート

旅猫リポート (講談社文庫)

野良猫のナナは、瀕死の自分を助けてくれたサトルと暮らし始めた。それから五年が経ち、ある事情からサトルはナナを手離すことに。『僕の猫をもらってくれませんか?』一人と一匹は銀色のワゴンで“最後の旅”に出る。懐かしい人々や美しい風景に出会ううちに明かされる、サトルの秘密とは。永遠の絆を描くロードノベル。

サトルが飼っている愛猫・ナナの一人称で語られる感動の物語。自分の死期を悟ったサトルは大切なナナの貰い手を探して一緒に旅をする。読み始めてすぐに「ああ、この本は泣くだろうな」と感じたが、やはりド直球に泣いてしまった。しかも泣きすぎて頭痛が起こるような号泣だ。フィクションだからこそ100%の信頼を持ってサトルとナナに感情移入できるので、サトルが亡くなった後も「僕はずっとサトルの猫だ」と言い続けているナナに好意を寄せてしまうし、サトルと関わった人たちが再度交流することで心の葛藤を乗り越える姿も好感を持ってしまった。有川浩はこういう作品をもっともっとたくさん書けばいいのになぁ。

第1位|明日の子供たち

明日の子供たち (幻冬舎文庫)

三田村慎平・やる気は人一倍の新任職員。和泉和恵・愛想はないが涙もろい3年目。猪俣吉行・理論派の熱血ベテラン。谷村奏子・聞き分けのよい“問題のない子供”16歳。平田久志・大人より大人びている17歳。想いがつらなり響く時、昨日と違う明日が待っている!児童養護施設を舞台に繰り広げられるドラマティック長篇。

有川浩の作品の中で最も素晴らしい傑作は、この作品だと断言したい。児童養護施設の現状を”悲しみに溢れたかわいそうな物語”にするのではなく、あくまでも現実にフォーカスして実情を小説形式で伝えてくれる名作だ。児童養護施設のへの支援とはブームの様に起こった自己満足のタイガーマスクの模倣ではなく、相手の身になって本当に必要な支援をするべきなのだろう。差別とは一部の人間が持っている歪んだ感情ではなく、誰しもが持っている優越感と哀れみの感情からも生まれることを僕たちは知っていなければならない。『明日の子供たち』とは、つまり『成長した大人たち』でもあるのだ。

最後に

有川浩の作品の間口の広さは異常だ。

老若男女問わず、様々な人が楽しめるエンターテイメント性の高い作品を多く世に送り出している。有川浩のおかげで小説が好きになった人もたくさんいると思う。それは素晴らしいことだ。

これからも変わらないリーダビリティの高さを維持しつつ、数多くの小説をこの世界に生み出して貰いたい。これからも応援しております!