『ナイススティック』以上の褒め言葉を知らない

久々にコンビニでナイススティックを見た。

10代~20代前半の頃はよく食べていたが、ここ数年は口にしてない。そもそもコンビニではめっきり見かけなくなった。コンビニに置かれない理由を推測すると、ナイススティックの長さによるところが大きい。ナイススティックの長さを考えると、陳列するなら縦ではなく横向きになり、当然他のパンよりも幅を取ってしまう。すると、他パンを置くスペースを1~2つ無くなることになる。

スーパーであれば大きなカゴや陳列棚の一番下など、長めのパンを置くスペースがあるが、コンビニにそんなスペースなどない。まして流行りや新作の移り変わりが激しいパン界に於いて、ナイススティックはあまりに歳を取りすぎた。

古参乙

そんな声が聞こえてきそうだが、少し待って欲しい。そして殿達に問いたい。貴殿は自身の竹刀、剣、ホース、如意棒を、女性に『ナイススティック』と褒められたことがあるだろうか?私はない。いや、もしかしたら全員ないのではないだろうか。

今の時代、如意棒を大きくする仙豆は比較的簡単に手に入れられ、若頭に至ってはダブルヘッダーどころかトリプルヘッダーも可能なモンスターさえいる。しかし、それと『ナイススティック』は決してイコールしない。

山崎パンのナイススティックがナイススティックである所以。それは恐らく適度な中毒性。甘すぎず脂っこ過ぎず。サイズも食べる前に感じる「少し長いな~」が、食べていくと丁度いい長さであることが分かる。故にナイススティック。

貴殿ご愛用の刀は、サイズや硬度を変えることで悦へ導くスティックであると豪語しているが、必要なのはサイズや硬さなのだろうか?ナイススティックを見てほしい。硬さはふにゃふにゃで、買い物袋から取り出すと、ぺっちゃんこになっていることもある。それでもナイススティックに変わりない。程よい甘さ、適度なボリューム、食べ終わった後に感じる「もう一本…」という哀愁。ナイスなスティックはナイススティックだけ。

季節は移ろい、春のパンまつりが始まった。今年貰えるのは白いスクエアボウルのお皿で、盛り付けの幅も広がりそうだ。一方でこのボウルにナイススティックはどう使うのだろうか?使うならば、幾つかにちぎり、ボウルに置く形となるだろう。

「え?長さがなくなったら、ナイススティックじゃなくなるのでは・・・?」大丈夫。ナイススティックがナイスじゃなかったことなんてない。だからこそ長年ナイスな存在でいられるスティック、それがナイススティック。

ここまでナイススティックを説明してきたが、「いや、俺はナイススティックに負けてねーよ!」と感じる殿方もいることだろう。それは重々承知している。では、次の対戦後に相手に聞いてみてもらいたい。ストレートに「今日はどうだった?」と。きっと相手の口から「ナイススティックよりよかった」なんて言葉は出てこないだろう。

そして、世の中にあるナイスなスティックは、ナイススティックのみということを思い知ることになる。

余談だが、本当に「今日はナイススティックみたいだった」なんて言われたら、貴殿は硬度改善に向けて動くべし。春のパンまつりに参加している場合ではないことを付け加えておく。