【伊豆旅行】遠い昔の儚いエロ

日中の日差しが少しずつ強くなってきて、今年も暑い夏がやってくることを否でも応でも感じさせてくれる。

私はこの時期になると10年前の夏を思い出す。
それは私、明智君(※1)、土井君(※2)、駒井君(仮名)で伊豆旅行へ行った時の思い出だ。

伊豆旅行回想記

当時私達は非モテ街道を一直線に進んでいて、誰も女性の噂を一つも持ってなく、集まれば「彼女ほしい」なんて戯言を言い合っていた。そんな非モテにとって夏は胸が熱くなる季節でもある。

真っ白なビーチ、押し寄せる波、浜辺でビーチバレー、夜の花火、私達の花火。。。バカな私達を後押しするように、当時旅行のガイドブックと一緒に購入したエロ本には「静岡の夜が熱い!」なんて記事を見ちゃったもんだから、私達は浮かれた。

非モテは今年までー。

準備は抜かりなかった。マルイで最新の水着を買い、旅行二週間前には近所のプールでコパトーンを塗りたくり肌も伊豆仕様にモデルチェンジ、宿は明智君が海から歩いて200mほどのペンションを予約と、完璧だった。

初日

渋滞に巻き込まれるのは嫌ということで私達は駒井君の車で深夜出発をした。途中サービスエリアで休憩を挟み、運転を交代してゆっくり目的地へ向かう。

そして早朝の5時過ぎに白浜の海水浴場へ到着。朝なのでサーファーしかいないが、場所を確保するにはむしろ少ないほうがいい。最高だ。

時間にしてまだ5時半。とりあえず、、私達は海で遊んだ。30分もしないうちに飽きてボディーボードをレンタルする。これがまた面白かった。

ふと周りを見渡すと、チラホラ海水浴場目的の人が少しずつ増えていった。時間にして朝の7時過ぎだろうか。

「一回休憩しようか?」
誰かが言ったその言葉に皆が賛同し、全員でパラソルの下へと戻ることに。

そして気づいたことが一つ。深夜出発した影響でまともに寝てなく、眠気が襲ってきた。特に運転時間の長かった駒井君の疲労は相当なようで、寝転んで5分もしないうちにイビキが聞こえてきた。

「朝ご飯でも食うか?」と土井くんが提案すると、ちょうど真っ黒に日焼けしたお兄ちゃんが近づいてきて、メニューを差し出し「いかがですかー?と」。私達は駒井君の分含めて4名分のカレーを頼んだ。浜辺には1時間前よりも人人人。

「お待たせしました〜」

元気よく日焼けしたお兄ちゃんがカレーを4人分持ってきてくれ、駒井君を一旦起こして皆でカレーを食した。「あっ!意外に美味しいね!」「俺もう少し辛口でもいいわ笑」そんなやり取りをしてカレーを食べた。

そして食後にもう一度ボディーボードを楽しむが、ボードをお腹に付けすぎていたのか、皆お腹がヒリヒリしていた。

「じゃあ、泳ごう!」もうボードは要らない。私達にとっては一番大切なのは目の前の海じゃないか。9時過ぎる頃には波も高くなってきて、私達は波を楽しんだ。

ウッホーイ!!
キタキタキタキタ!!
やべーあれ高いぜ!!
(ざっぱーん!!)

楽しかった。が、20分ぐらいしたところで疲れが隠せなくなってきた。誰かが「一旦ペンション戻る?」と口にする。反論はない。もう限界だ。

ペンションへ

ペンションに入ると4人部屋でベッドも4つ。「俺ここ!」と勝手にそれぞれのベッドが決まる。そして10分もしないうちに「す~す~」と駒井君が寝始めた。

「早っ笑」「俺らも少し休もうか?」「そうだね」

ーそしてー

気付いたら19時前になっていた。「あれ?」「すげー寝ちゃったじゃん笑」やはり疲れが効いていたのだ。まあ、仕方ない。夜はもう一つ楽しみがあり、これも明智君が予約してくれた地元の海産物を使用したイタリアンへ行くこと。

私達は再度起き上がり、ヘロヘロ状態でイタリアンへ向かった。しかし、皆疲れていた。コース料理なので、前菜から始まり食べたら次のが出てくるまで待つ間。終始虚ろな表情を浮かべていた。料理は美味しいのに。楽しい旅行なのに。疲れには勝てなかったのだ。

お店を後にした私達はコンビニで飲み物を幾つか買い、ペンションに戻った。そして風呂へ入って寝た。時間にして21時前後。

二日目

あれだけ準備していたのに、日焼けで痛かった。皆もそうらしく、まだ疲れが抜けてなそう。そして明智君がこう発した。

「ステンドグラス美術館に行こう!」
なぜかパンフレットを差し出してきた。どうやらペンションの方に割引券を貰ったようで、いざという時の為にとっておいたらしい。

stainedglass-museum.com

しかし、ステンドグラス美術館へ行く=白浜海水浴場を後にするということなる。ただ、ヒリヒリした痛みには敵わず「そうだね」と満場一致となった。

伊豆高原ステンドグラス美術館

伊豆高原ステンドグラス美術館はパンフレットで見るよりも豪華な作りだった。私達は非日常感溢れる美術館の作品に酔っていた。

鑑賞した後はスイーツ。ショートケーキと紅茶のセットがおすすめですと提案され、女子会っぽい組み合わせでケーキと紅茶を楽しんだ。

その後各自お土産を購入して「帰るか?」なり、家路に着いた。

・・・・・

長々となってしまったが気付いて頂けたと思う。そう、私達は夜のハプニング目当てで伊豆へ来たのに、結局OLのような旅行を楽しんでしまったのだ。

浜辺のビーチバレー、オイル塗りサービス、水着ズレちゃったいえいえ見てませんよ、波に揺られてぶつかっちゃいました(おっぱいの感触ありがとう!)、夜何してますか?よければ一緒に飲みませんか?、花火やるんで一緒にやりませんか?、そっちの打ち上げ花火じゃなーい♡。。。これら全て妄想でオワタ。

結局私達は非モテらしく伊豆旅行を楽しんだに過ぎなかったのだ。。。

数日後

旅行中何枚か写真を撮ったので現像しにいくと、知らない写真が結構紛れていた。使っていいよと伝えていたので文句はないが、どうもおかしい。

土井君撮ってる風で横の美人がメイン、浜を撮ってる風で寝て日焼けしているギャルの谷間メイン、外人二人組のケツアップ、イタリアンで楽しい食事風景と思いきやウェイターの笑顔、、、。

犯人は明智君だった。数日後「色々撮っておいたけど写真どう?」と連絡がきた。
「ああ色々撮れてるよ。パイもケツも。」
「焼きまわしお願いしゃーすm(__)m」

こうして私達は完全なる敗者としてあの夏を終えた。

あれから10年が経つ。今年もどこかで非モテが勘違いした夏を送ることだろう。

※1…明智君

 

※2…土井君