【サッカー日本代表】2018FIFAワールドカップロシア アジア最終予選の結果とレポート《最新メンバー》サウジアラビア戦は決定機なく敗戦…残念な結果で最終戦を終える【Road to Russia】

2017年9月6日更新:サウジアラビア戦の結果追加

2018年FIFAワールドカップロシアのアジア最終予選が9月1日から始まる。

 

6大会連続でのワールドカップ出場を目指す日本はグループBに入り、オーストラリア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、イラク、タイと同組。一年に渡る戦いを追っていきたい。

最新メンバー(2017年9月6日時点)

8月31日、9月6日に行われるワールドカップ(W杯)アジア最終予選のオーストラリア戦(埼玉スタジアム2002)、サウジアラビア戦(キングアブドゥラー スポーツシティスタジアム)の日本代表メンバー27名を発表。

GK

1.川島永嗣 (FCメス)
12.東口順昭 (ガンバ大阪)
23.中村航輔 (柏レイソル)

DF

3.昌子源 (鹿島アントラーズ)
5.長友佑都 (インテル)
6.植田直通 (鹿島アントラーズ)
19.酒井宏樹 (マルセイユ)
20.槙野智章 (浦和レッズ)
21.酒井高徳 (ハンブルガーSV)
22.吉田麻也 (サウサンプトン)

MF

2.井手口陽介 (ガンバ大阪)
7.柴崎岳 (ヘタフェ)
13.小林祐希 (ヘーレンフェーン)
16.山口蛍 (セレッソ大阪)
17.高萩洋次郎 (FC東京)

FW

4.本田圭佑 (パチューカ)
8.原口元気 (ヘルタ)
9.岡崎慎司 (レスター)
10.乾貴士(エイバル)
11.久保裕也 (ヘント)
14.武藤嘉紀 (マインツ)
15.杉本健勇 (セレッソ大阪)
18.浅野琢磨 (シュツットガルト)

※怪我のため香川真司、長谷部誠は代表離脱

9月1日:香川真司が日本代表から離脱…肩の状態に不安、クラブで調整へ
9月2日:日本代表、主将・長谷部がケガのため離脱…25名でサウジアラビアへ
9月5日:サウジ戦は大迫と三浦がメンバー外

順位表(グループB)

※2017年9月6日時点

日本が属するグループBのみ更新。

順位チーム名試合数勝ち点得点失点得失点差
1日本102062217710
2サウジアラビア101961317107
3オーストラリア101954116115
4UAE10134151013-3
5イラク10113251112-1
6タイ101028624-18

最終予選日程

試合日以降に更新していきます。

2016年9月1日(木) ●日本 1-2 ○UAE

ロシア・ワールドカップ・アジア最終予選の初戦の相手は2015年のアジア・カップでPK戦の末に敗れたUAE(アラブ首長国連邦)。

日本代表は試合前にのスタメンは直前の合宿で負傷した柏木陽介に代わり、初出場の大島僚太が長谷部誠とダブルボランチを組む。その他はザックジャパンから変わらず。

GK:西川周作
DF:酒井宏樹、吉田麻也、森重真人、酒井高徳
MF:長谷部誠、大島僚太、香川真司、本田圭佑、清武弘嗣
FW:岡崎慎司

長谷部はこの試合が代表通算100試合目。

試合は序盤から日本がボールを支配する展開が続くと10分、清武のFKにファーサイドで本田が頭で合わせて幸先良く先制点を奪う。本田は二次予選から7試合連続のゴール。しかし19分、UAEのハリルにゴール右上へフリーキックを決められて追いつかれる。その後一進一退の攻防が続くもゴールは生まれず前半を1-1で折り返す。

後半は開始早々に、初出場の大島が強烈なミドルを放つなど日本ペースで進むかと思われたが、53分にその大島が与えたPKをハリルに決められて逆転を許してしまう。

負けられない日本は失点後に清武に変えて宇佐美貴史、岡崎に変えて浅野拓磨を投入するもゴールは奪えない。76分には右サイドからのクロスを本田が頭で折り返し、フリーの浅野が合わせるが、GKエイサに間一髪防がれる。しかし、スローで見るとラインを割っているように見えるが…

終盤に大島に変えて原口を投入するもゴールは奪えずに敗戦。最悪のスタートを切ってしまった。嫌なデータとして、過去5大会のワールドカップ最終予選初戦に敗れたチームは一度も本大会に出場できていない。幸先良くスタートを切るはずが、一気に追い込まれてしまった。


レポート

前半、酒井高徳のクロスに本田が頭で合わせ、GKが弾いたボールを香川が押し込めれば、浅野のゴールが認められれば、という幾つかのタラレバはあるものの、負けは負け。次のタイ戦に向けて切り替えていくしかない。

気になったのはハリルホジッチの采配。ゴールを固める相手に浅野の投入は疑問だったし、ボランチに原口を使うのも疑問。試合終盤に見せた諦めのような顔には不安しかない。まだ一試合だが、進退問題含めてサッカー協会は考えるべきではないだろうか?

期待している選手としては、今回選ばれてない横浜F・マリノスの齋藤学のような選手。今の代表にいないドリブラーの力が必要だ。


2016年9月6日(火) ●タイ 0-2 ○日本

まさかの敗戦を喫したUAE戦から先発メンバーを3人変更。大島僚太⇒山口蛍、清武弘嗣⇒原口元気、岡崎慎司⇒浅野拓磨が先発で出場した。

GK:西川周作
DF:酒井宏樹、吉田麻也、森重真人、酒井高徳
MF:長谷部誠、山口蛍、香川真司、本田圭佑、原口元気
FW:浅野拓磨

試合は序盤から日本はボールを支配し優勢に進める。12分には香川のFKに本田がファーで合わせるが、これはタイDFがクリア。その後も押し込み18分、右サイドの酒井宏樹が上げたクロスに、中央で原口が頭で合わせで先制ゴールを奪う。原口がハリルホジッチの期待にゴールで答えてみせた。

さらに24分、ロングボールに反応した浅野が抜け出し、ペナルティエリア左からクロスを送るも、これは本田が合わせられない。さらに前半終了間際には、酒井宏樹のクロスに本田が頭で合わせるも、これはGKがファインセーブで凌ぎ前半を終える。

後半も圧倒的に日本ペースで進むも、フィニッシュの場面で冷静さを欠き枠内に飛ばないシーンが続く。それでも75分、長谷部の縦パスにDFと競り合いながら抜け出した浅野が右足で決めて待望の追加点を奪い2-0とする。

余裕が出来た日本はその後武藤嘉紀、小林悠、宇佐美貴史を送り込む。1点でも奪い返したいタイは、89分にプラッキトが2枚目のイエローカードを受けて万事休す。試合はそのまま2-0で終了し、日本が最終予選初勝利を収めた。


レポート

良かった点は勝点3を奪えたこと、原口が左サイドで良い動きを見せたことだろう。本田もゴールこそなかったが、初戦よりも中に入ってくる回数と外に開いているバランスが改善されていた。浅野の出来は決して良くなかったが、今は結果を出すことで自信を付ける時期なので、得点を奪えたのは大きい。

一方の課題だが、相変わらずの低パフォーマンスな香川、締まらない守備といったところか。香川に関しては、今のパフォーマンスでトップ下に配置するのはリスクが大きい。昨日も最後までピッチに残っていたが、真っ先に変えて欲しい選手だった。ドルトムントで見せるようなプレーに期待して既に5年以上経過するが、時々ゴールは奪うもののこれといった改善を感じない。CBの吉田麻也と森重真人も不安定過ぎるので、スペインで奮闘している鈴木大輔を一度招集して欲しいところ。


2016年10月6日(木) ○日本 2-1 ●イラク

緊張感漂う日本代表の三戦目の相手はイラク。

GK:西川周作
DF:酒井宏樹、吉田麻也、森重真人、酒井高徳
MF:長谷部誠、柏木陽介、本田圭佑、清武弘嗣
FW:原口元気、岡崎慎司

システムはいつも通り4-2-3-1で二列目は右に本田圭佑、左に原口元気、トップ下には清武弘嗣を抜擢。

試合はいきなり相手コーナーキックからあわや失点のシーンを作られる。その後清武を中心にしたダイレクトパスでペースを握ると25分、本田が溜めて追い越してきた清武のクロスに原口が上手く合わせて先制ゴール。原口はタイ戦に続いて二戦連発。そのまま前半を1点リードで折り返す。

後半はイラクも反撃に転じ60分、左サイドのFKからアブドゥルアミールにヘディングを決められ追いつかれてしまう。またしてもセットプレーからの失点‥

追いつかれた日本は66分に柏木に代え山口蛍、75分には岡崎から浅野拓磨に変えて打開を試みるも決定機は少なく時間だけが進む。80分には原口のクロスに本田が頭で合わせるもポストに当たり、嫌な空気が流れ始める。81分にはその本田に代えて小林悠を投入し、吉田麻也も前線に上げるパワープレーへ。

そしてアディショナルタイム。清武のFKがこぼれたところに山口が走り込み、ダイレクトでシュートを放つと、これがゴールに突き刺さり遂に勝ち越しゴールを奪うことに成功。山口にとっては26歳のバースデーゴールというおまけ付き。

そのまま逃げ切った日本代表が連勝で勝ち点を6にした。


レポート

ヒヤヒヤもののゲームでした。何とか勝利したものの、ホームであること、相手がイラクであることを考えると、前半で勝負を決めたかったところ。また、セットプレーからの失点が続いているのも気になる。

光明は清武弘嗣と原口元気のパフォーマンス。清武は周囲の選手を使いながらリズムを生み出す選手で、適正ポジションはやはり中央だなと。先制点のパスアンドゴーの動きは非常に素晴らしかった。

原口はゴールだけでなく終盤になっても落ちないスタミナとキレで左サイドを制圧。今後余程のことがない限り、左は原口が務めることになるだろう。決勝ゴールを奪った山口蛍も含め、少しずつロンドン五輪世代が中心選手になってきたのはポジティブに捉えたい。

一方、岡崎に代わって投入された浅野はやはり1トップ向きの選手ではなく、まだ技術レベルが厳しい。使うなら右サイドでスピードを活かす使い方をすべき。

そしてパワープレー。今後も今日のような展開が待っていることを考えると、やはり長身フォワードをいれるべきではないだろうか。


2016年10月11日(火) △オーストラリア 1-1 △日本

グループリーグ最大のライバルオーストラリアとの一戦。前の試合で劇的な勝利を収めた勢いを活かしたい。

GK:西川周作
DF:酒井高徳、吉田麻也、森重真人、槙野智章
MF:山口蛍、長谷部誠、香川真司、小林悠、原口元気
FW:本田圭佑

システムはいつも通り4-2-3-1。イラク戦で決勝ゴールの山口蛍が長谷部とダブルボランチ、二列目は右から小林悠、香川真司、原口元気、1トップの位置に本田圭佑。

試合開始5分、ハーフウェーライン付近で相手のパスミスを原口がカットし、長谷部へ。長谷部は本田に縦パスを送り、受けた本田がスルーパスを送り、抜け出した原口が冷静に左足でゴールを奪う。

先制点以降はオーストラリアがポゼッションを高めるも、この日の日本は鋭い出足で決定機を与えない。日本は絶好調の原口によくボールが回り、左サイドからチャンスを伺う。29分には原口の突破から中央でボールを受けた本田に決定機が訪れるもコースが甘くGKの正面へ。試合はそのまま前半を終える。

後半は反撃に出たいオーストラリアが攻勢に出て51分、左からのクロスが流れたところを原口がユリッチを倒してしまいPKの判定。このPKをジェディナクに中央へ決められ追いつかれる。

その後もオーストラリアペースで進み進み、60分には日本の天敵ティム・ケーヒルが登場。反撃に出たい日本も79分、右サイドから酒井がクロスを上げると、中央で小林悠がヘディングシュートを放つ。しかし、GKマシュー・ライアンが右手一本のスーパーセーブを見せ、勝ち越しゴールを奪うことはできない。

その後小林悠⇒清武弘嗣、本田圭佑⇒浅野拓磨、終了間際には原口元気⇒丸山祐市と交代選手を出場させるも、交代が遅く効果はなし。試合はそのまま終了し、1-1で試合を終えた。


レポート

負けなかったことは評価したいが、前半のパフォーマンスがよかっただけにもったいない。MVPはイラク戦に続いて原口元気。PK献上のファールをしたものの、日本のチャンスは全て原口経由だったことから、この2試合で左サイドのポジションを確固たるものにした。

本田圭佑の1トップもサイドよりハマっていたように感じる。今回は岡崎の負傷ということで出場したが、今後も可能性あるだろう。また、山口蛍の危機察知能力は強豪相手だと本当に効いていて、ボランチのレギュラー争いを大きくリード。

この試合もそうだが、ハリルは交代カードを切るのが遅すぎる。後半途中で2列目から前がガス欠していたので、もう少し早めに前線の選手を替えるべき。11月のサウジアラビア戦は2位以上をキープするためには勝ち点3が必要になってくるので、次回こそ大迫勇也を招集してほしいところ。


2016年11月15日(火) ○日本 2-1 ●サウジアラビア

引き分けだとW杯出場が難しくなる一戦。この大事なサウジアラビア戦にハリルホジッチ監督はオマーン戦で結果を残した清武と大迫をそのままに、齋藤学に変えて原口、本田のポジションには久保を抜擢し、二枚看板の本田と香川が揃って先発落ちとなった。

GK:西川周作
DF:酒井宏樹、吉田麻也、森重真人、長友佑都
MF:長谷部誠、山口蛍、清武弘嗣
FW:原口元気、久保裕也、大迫勇也

試合は序盤からオマーン戦で好プレーを見せた大迫のポストプレー、清武のゲームメイクで日本がゲームを優位に進める。そして45分、右サイドから久保が上げたクロスのこぼれを清武がシュートすると、これが相手の手に当たりPKの判定。このチャンスを清武が左隅に決めて先制点を奪い前半を折り返す。

ハリルホジッチ監督は後半開始から久保に変えて本田を投入。後半はサウジアラビアもボール支配率を高めるも、日本も懸命に跳ね返して決定的ピンチは与えない。65分には相手と接触して怪我の心配される清武に代えて香川を投入する。清武がいなくなったことでさらにチャンスが少なくなったものの80分、左サイドを本田と長友で崩し、長友のクロスを中央で原口が合わせて待望の追加点を奪う。

90分にサウジアラビアに得点を許し、その後の時間ヒヤヒヤするも逃げ切り見事に勝ち点3を獲得。これで勝ち点を10に伸ばし、サウジアラビアと同勝ち点に並んで予選の半分を終えることになった。

なお、オーストラリアは4連敗で最下位のタイと対戦。開始9分にミル・ジェディナクがPKを決めて先制したが、20分にティーラシン・デーンダーのゴールでタイに同点とされ、1-1で折り返す。後半に入り、57分に同じくティーラシン・デーンダーにPKを決められて逆転を許したが、65分に再びジェディナクがPKを成功させて同点。そのまま試合は2-2で終了し、豪州は痛恨の引き分けで勝ち点1の獲得にとどまった。


レポート

終盤の失点は余計だが、勝利できたことで一安心。原口は相変わらずハードワークを続け、清武と大迫のコンビは相手に脅威を与え続けてくれた。久々に代表戦に出場した長友も攻守に渡って積極的にプレーするなど、非常にポジティブな要素が多い一戦だった。

実はこの試合、先発をいつものメンバーに戻すのではないかと危惧していた。1トップに岡崎、トップ下に香川、右に本田という布陣だ。しかし、ハリルホジッチはロンドン世代に託した。ザッケローニやジーコと同等の監督かと思っていたが、多少は融通がきく監督なのかな?と分かったことが何よりの収穫。

これで最終予選前半が終わった。現在2位。後半は中東のアウェイ3戦でどの程度勝ち点を稼げるかが鍵となる。次戦は来年3月となるので、それまでに新しい選手や内田篤人の復帰なども考られるので、ハリルホジッチがどう組み合わせていくか非常に気になる。

前半戦のMVPは間違いなく原口元気。90分間上下動の動きを厭わず、4戦連発でゴールを決めるなど文句なし。今の活躍を見ていると、アトレティコ・マドリードでもプレーできるのでは?と勝手ながら思ってしまった。それほどまでに現在の原口はある程度のパフォーマンスが計算できる選手になってくれた。後半も前半同様に走ってくれることに期待したい。


2017年3月23日(木) ●UAE 0-2 ○日本

2018 FIFAワールドカップ ロシア アジア最終予選第6節。遂に後半戦がスタート。UAE戦に臨む日本代表はシステムを4-3-3にし、インサイドハーフにはJリーグで活躍中で久々招集の今野泰幸を抜擢。

GK:川島永嗣
DF:酒井宏樹、吉田麻也、森重真人、長友佑都
MF:山口蛍、今野泰幸、香川真司
FW:久保裕也、大迫勇也、原口元気

最終予選の行方を占う一戦。日本は序盤から大迫のポストプレーでチャンスを作っていく。すると13分、右サイドのタッチライン際でボールを受けた酒井宏樹がペナルティーエリアへ走り込む久保にスルーパスを通す、このボールに反応した久保が角度のない位置からシュートを決めて日本が先制ゴールを奪う。

先制した日本だが、UAEもオマルを中心に反撃に転じる。20分、森重に競り勝ったイスマイル・アルハンマディがドリブルでゴール前まで持ち込むと、右サイドでフリーになっていたアリ・マブフートへパス。しかし、この大ピンチに、久々に先発復帰した川島ファインセーブ。その後は両チームとも決定機作れずに前半を終了。

後半入るといきなりUAEに決定機。48分、左サイドのクロスからゴール前でフリーになっていたアルハンマディが合わせるもミートせず。この試合二度目の大ピンチを免れた日本は51分、貴重な追加点を奪う。右サイドでボールを拾った久保が左足で中へクロスを送ると、逆サイドに走り込んだ今野が冷静にトラップ&シュートを蹴り込み、日本が待望の追加点。

これで完全に勢いを失ったUAEを尻目に日本ペースが続く。60分には長友のクロスから大迫が頭で合わせるが、これは相手GKハリド・エイサが防ぐ。

余裕の出てきた日本は71分に香川⇒倉田秋。77分には、この試合1ゴール1アシストの久保に代えて本田圭佑を投入する。82分には相手と競り合った後に大迫が負傷し、岡崎慎司が慌ててピッチに入る。

88分には中央に切れ込んだ原口からのパスを受けた岡崎が決定機を迎えるが、ここは力んで外してしまう。試合はその後動かずに日本が2-0でUAEを下した。


レポート

MVPは久々に代表復帰してゴールまで奪った今野泰幸だろう。ハードワークは勿論、中盤の至るところに顔を出し、相手が嫌がるプレーを見せ続けたのはさすが。試合中、怪我で離脱した長谷部誠の不在を感じるシーンはなかった。

1ゴール1アシストの久保裕也の活躍も見逃せない。後半途中でガス欠気味だったが、気の利いたポジションとキック精度の高さを活かして結果を残す。ハリルホジッチのファーストチョイスになったことは間違いない。

また、ゴールこそなかったが、1トップを務めた大迫勇也の出来も素晴らしかった。後方からの雑なボールでもしっかり収められるは大きな武器。今後余程のことがない限り日本の前線を引っ張っていく存在となるだろう。負傷退場したが軽傷のようでホッとしてる。

その他良かったのはキャプテンを務めた吉田麻也。プレミアで試合に出ている経験が自信を与えてるのか、プレーに貫禄が出始めている。右サイドバックの酒井宏樹も攻守に効いていた。

次はホームでのタイ戦。得失点差のこともあるのでゴールラッシュを望みたい。


2017年3月28日(火) ○日本 4-0 ●タイ

2018 FIFAワールドカップロシア アジア最終予選第7節が28日に行われ、日本代表はホームでタイと対戦。

先発メンバーはUAE戦からは2名が変更となり、ケガで離脱した今野泰幸⇒酒井高徳、大迫勇也⇒岡崎慎司が先発に名を連ね、他はUAE戦同様のメンバー。

GK:川島永嗣
DF:酒井宏樹、吉田麻也、森重真人、長友佑都
MF:山口蛍、酒井高徳、香川真司
FW:久保裕也、岡崎慎司、原口元気

序盤からペースを握る日本は前半9分、久保の右クロスを香川が中央で受け、冷静にキックフェイントでDFを外してゴールを奪って幸先良く先制ゴールを奪う。香川は最終予選7試合目にしてようやく初ゴール。勢いに乗る日本は18分、またも久保の右クロスに今度は岡崎がニアで頭で合わせて追加点。岡崎は史上3人目となる代表通算50ゴールを達成。

その後はタイも反撃に出るが何とか前半を無失点で折り返す。

後半に入ってもタイのペースが続くが57分、ペナルティエリア手前でボールを受けた久保がペナルティアーク内から左足でゴール右上隅に決まり、3点目を挙げる。

余裕が生まれた日本は66分、原口に代えて本田圭佑、74分には香川に代えて清武弘嗣を投入する。すると83分、清武のコーナーキックに吉田麻也が高い打点のヘディングを決めて4点目。直後に久保に代えて宇佐美貴史を投入。85分には長友がPKを献上するも、ここは川島が相手のシュートを読み失点を許さず、試合はこのまま4-0で日本が勝利を収めた。


レポート

MVPは1ゴール2アシストの久保裕也。UAE戦同様にキックの上手さ正確さが光った。UAE、タイとの2試合の活躍で右サイドの最有力となったことは間違いないだろう。

一方で内容に目を向けると、4-0というほどの快勝ではなく、前後半を通じてタイ相手に多くのピンチを招いたことはいただけない。特に2-0となって以降はミスが多くなり、タイに主導権を渡してしまった。

そして本田圭佑。懸命にプレーしているのは分かるが、無理してまで本田を使う意味はあるのだろうか?宇佐美が投入されてからは、いつも通り本田と宇佐美が中に絞り過ぎ、中央に人が集まる悪癖も露呈された。

試合後、本田と話し込んでいたハリルホジッチは何を伝えたのだろう?次回も「我々のトップスコアラーだから」という理由だけで招集するのは控えて頂きたい。タイ戦の投入時、既に3-0と勝負は決していたので、フル代表経験少ない選手にチャンスを与えるべきだったはず。

本田のためにも「クラブで試合に出てない選手は呼ばない」これを実行してほしい。


2017年6月13日(火) △イラク 1-1 △日本

引き分け以上で6大会連続のワールドカップ出場に王手がかかるイラク戦。システムを4-2-1-3に戻し、ダブルボランチは遠藤航と井手口陽介。トップ下には原口元気、右に本田圭佑、左に久保裕也というメンバー。

GK:川島永嗣
DF:酒井宏樹、吉田麻也、昌子源、長友佑都
MF:遠藤航、井手口陽介、原口元気
FW:本田圭佑、大迫勇也、久保裕也

立ち上がり慎重進むと思われたが開始8分、コーナーキックを本田圭佑が上げると大迫勇也がニアで合わせて幸先よく先制ゴールを奪う。大迫は嬉しい最終予選初ゴール。

その後は35度を超える暑さの影響か両チームとも運動力は少なく決定機は生まれない。そのまま前半を終える。

後半に入るとピッチのいたるところで選手が倒れ込むシーンが目立つようになる。それでも65分には原口のパスに抜け出した酒井宏樹のクロスを最後は大迫が詰めるも相手GKに防がれて追加点を奪うことはできない。その直後に原口に代えて倉田が入るが、久保も酒井宏樹も足を気にする様子を見せる。

その直後の72分、イラクのアラー・アブドゥルザフラが強引なドリブル突破でエリアに入ると、日本DF陣の連携ミスでボールがこぼれ、最後はカミルに押し込まれて同点ゴールを奪われる。

反撃に出たい日本だが酒井宏樹が限界になり酒井高徳が代わりにピッチに入る。足を気にする久保はまともにプレーすることができず、得点の気配は一切しなくなるが、イラクも同様に足を気にする選手が増え、互いに決定機を迎えることなく試合はそのまま1-1でタイムアップ。

日本は勝ち点を17に伸ばしてW杯出場に王手をかけたが、2位サウジアラビア、3位オーストラリアとの勝ち点差はわずかに1。最終戦までもつれそうな気配も漂ってきた。

次戦は8月31日にホームでオーストラリア代表と対戦する。


レポート

中盤の組み合わせは驚いたが、遠藤航のカバーリング能力、井手口陽介の前へのディフェンスは好材料。前線は久保が不慣れな左サイド、原口のトップ下という謎采配だったが、原口の運動量を中央で使いたかったのだろうか。

途中から乾の出場を願っていたが、ここまで負傷者が出てくるとジョーカー的に使える選手がいないのが残念。ただ、35度超えの暑さ&1300メートルの高地という条件を考えればドローでも満足すべきだろうなとも思う。

残り2戦。3位に落ちてプレーオフではシャレにならないので、次のホームでオーストラリアを叩いて本大会出場を決めてほしい。


2017年8月31日(木) ○日本 2-0 ●オーストラリア

勝てば文句なしに6大会連続のワールドカップ出場が決まるオーストラリア戦。システムを4-1-2-3で、アンカーに復帰した長谷部誠、その前を山口蛍と井手口陽介を並べ、前線には乾貴士と浅野拓磨を抜擢。

GK:川島永嗣
DF:酒井宏樹、吉田麻也、昌子源、長友佑都
MF:長谷部誠、山口蛍、井手口陽介
FW:乾貴士、大迫勇也、浅野拓磨

序盤は静かな立ち上がり。日本はサイドに起点を作ってチャンスを伺うも、前線とサイドバックの連携がいまいちで決定機を作り出せない。一方のオーストラリアもリスクをとることなく時間が進む。

そのままスコアレスで折り返すと思われた41分、左サイドでボールを持った長友がカットインから中央にクロスを送ると、この試合いいところがなかった浅野がダイレクトで合わせて待望の先制ゴールを奪う。

浅野は最終予選2得点目。前半は日本リードで折り返す。

後半に入りると同点に追いつきたいオーストラリアが61分にユーリッチ、70分には天敵ケーヒルを投入する。日本も75分、乾に代わって原口がピッチに立つと流れは再び日本に。77分、原口がドリブルで左サイドを突破しクロスを送りると、ファーで井手口がシュートを放つも相手DFにクリアされ追加点ならず。しかし82分、相手の連携ミスから原口がボールを奪って井手口に繋げると、井手口は中に切り込んで強烈なミドルシュートを決める。井手口は代表3試合目で貴重な代表初ゴール。

余裕が出てきた日本は87分に大迫→岡崎、89分に浅野→久保投入。その後スコアは動かず2-0で勝利し、6大会連続6度目のワールドカップ出場が決定した。

次戦は現地時間5日の20時30分(日本時間 6日2時30分)から、敵地でサウジアラビア代表と対戦する。


レポート

まずはW杯出場が決まってホッとした。初戦負けたことで一気に厳しくなったが、何とか巻き返せたことは評価したい。また、W杯を決める試合で浅野、井手口のリオ五輪組が決めてくれたことも先々を考えてもポジティブに捉えたい。井手口は見るたびに成長しているので、来年の本大会でさらなる活躍に期待できる。

次のサウジアラビア戦は、オーストラリア戦で出番のなかった選手や組み合わせを試せる絶好の機会なので、柴崎岳や杉本健勇のプレーを見てみたい。


2017年9月5日(火) ○サウジアラビア 1-0 ●日本

ワールドカップ出場を決めたが、決して消化試合ではないサウジアラビア戦。GKとDFラインはオーストラリア戦同様で、中盤はアンカーに山口蛍、その前に井手口陽介と柴崎岳、3トップは右に本田圭佑、左に原口元気、センターは岡崎慎司が入った。

GK:川島永嗣
DF:酒井宏樹、吉田麻也、昌子源、長友佑都
MF:山口蛍、井手口陽介、柴崎岳
FW:本田圭佑、岡崎慎司、原口元気

気温30度を超える暑さの影響か、両チーム決定機なく時間が進む。久々に代表のピッチに立った柴崎は周囲といまいち噛み合わず、本田に関しては攻守ともに精細を欠く。左ウイングに入った原口が健闘していたものの決定的シーンを作ることなく前半を終える。

日本は後半頭から本田に代えて浅野を投入するが流れは変わらない。何度か原口がチャンスを迎えるも決めきれずにいると、63分にサウジアラビアのF・ムワラドにゴールを決められ先制点を許す。反撃に出たい日本も岡崎に代えて代表デビューの杉本、柴崎に代えて久保を投入するも効果はなく、そのまま試合終了。1-0で勝利したサウジアラビアが3大会ぶりのワールドカップ出場を決める。敗れた日本はグループ1位突破を決めたものの、今後に不安を残す最終戦となってしまった。


レポート

期待していた柴崎岳は久々の代表、暑さ、近くにいた本田のポジショニングの悪さなど、サウジ戦だけで評価を決めるのは難しいが、ポジティブな結果を残すことができなかった。その本田を最初から[45分限定]で起用した謎采配も気になる。香川もそうだが、事前にスタッフを現地に派遣させて状態を確認しているにも関わらず、呼んでから「やっぱりダメ」というのは疑問だ。

試合自体は暑さ、アウェイ、既にW杯行きを決めてるなどの条件も重なり、これといったチャンスのないクソ試合を見せられた。途中出場した杉本健勇には是非もう一度チャンスを与えてほしいところ。

W杯本番まで9ヶ月を切っているので、ブラジルの二の舞いを避ける強化に期待したい。

アジア最終予選まとめ

初戦のUAE戦を落として以降、常に”この試合落としたらマズい”という状況で、グループ1位通過を果たしたことは素晴らしい。

また、4試合連続ゴールを決めた原口、安定したポストプレーの大迫、リオ五輪世代の久保や浅野、中盤に井手口など、少しずつ世代交代が始まっていることを感じさせてくれたのも好印象。

予選のMVPは全試合に出場したDFの吉田麻也。

安定した守備で予選突破に大きく貢献する他、長谷部誠不在時はゲームキャプテンを務めるなど、少しずつ風格も出てきた。

本番はどうなるか?

サウジアラビア戦見ても分かるように、今のままでは本大会で強豪国を倒せる気はしない。出番の少ない選手、未招集の選手など、プラスアルファになりそうな選手を出来るだけ早い段階でチームに融合する必要がある。

ベースはオーストラリア戦の戦いになりそうなので、前線のワイドはスタミナ、守備意識、スピードに加えて勝負を決める決定力もほしい。

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