おすすめエッセイ【12作品】時が流れても色あせない名作エッセイを随時更新していきます!

エッセイは面白い。

特に文章を書くことを生業にしている小説家が書くエッセイや、お笑い芸人が書くエッセイは物事を見る視点が面白く、同じ場面に自分が遭遇したとしても見えない角度で世界を切り取れるのが素晴らしいと思う。

その独特の視点があるから、作家や芸人は他にはない面白さを世の中に発信することが出来るのだろう。

独特の視点から生まれるエッセイはやはり独特で、何度も読み返したくなるものばかりだ。

今回は、そんな作者の視点を楽しめるおすすめのエッセイを紹介していきたいと思う。

 

ルールとして

  • 実際に読んで面白かった作品をランキングで紹介する。
  • さらにランキングには入らないがオススメしたいプラス1作品も紹介する。
  • 売上げや受賞歴とは無関係で、あくまでも個人的な好き嫌いでランキングを作成している。
  • 現在個別ページがない作品もいずれ個別ページを作成し、映画、ドラマ、漫画、アニメなど、他の媒体になっているなどの詳細情報はそちらに。
  • あらすじ・ストーリーは基本amazonからの引用で読んだ時に最大に楽しめるように基本的に重大なネタバレなし。
  • ダラダラと長い記事なので目次を活用してもらえるとありがたい

 

時をかけるゆとり #朝井リョウ

就活生の群像『何者』で戦後最年少の直木賞受賞者となった著者。この初エッセイ集では、天与の観察眼を駆使し、上京の日々、バイト、夏休み、就活そして社会人生活について綴る。「ゆとり世代」が「ゆとり世代」を見た、切なさとおかしみが炸裂する23編。『学生時代にやらなくてもいい20のこと』改題。”圧倒的に無意味な読書体験”があなたを待っている!?

『学生時代にやらなくてもいい20のこと』を改題した朝井リョウのエッセイ集。人生を生きる上で何一つとして役に立たないが、とにかく、ただただ面白い作品たちがズラリと並んでいる。こんなに面白いエッセイは珍しいのではないかと感心してしまうほどただただ面白い。本人は非リア充ぶっているけれど、羨ましくって憧れる素敵な青春時代のくだらない1ページを体感できるのでどんな年代にもすすめたい作品だ。

ちなみに特にお気に入りなのは『北海道旅行(未遂)』!


走ることについて語るときに僕の語ること #村上春樹

走ることについて語りつつ、小説家としてのありよう、創作の秘密、そして「彼自身」を初めて説き明かした画期的なメモワール 1982年秋、専業作家としての生活を開始したとき、彼は心を決めて路上を走り始めた。それ以来25年にわたって世界各地で、フル・マラソンや、100キロマラソンや、トライアスロン・レースを休むことなく走り続けてきた。旅行バッグの中にはいつもランニング・シューズがあった。走ることは彼自身の生き方をどのように変え、彼の書く小説をどのように変えてきたのだろう? 日々路上に流された汗は、何をもたらしてくれのか? 村上春樹が書き下ろす、走る小説家としての、そして小説を書くランナーとしての、必読のメモワール。

村上春樹のマラソン経験を元に、老いることや走ることへの向き合い方について書いているエッセイ。走っている最中に浮かんで消えていくものは実体がないというか、フワフワしていて消えてしまうような思考が多く、それを文章として読める新鮮さを感じる。長距離を走りきるカタルシスは経験したものにしかわからないかもしれないが、中毒性があるのは間違いなく、本書を読むとその感覚を味わいたくるので走ることへのモチベーションが高まる気がする。

長距離ランナーは一度読んでおいたほうがいいエッセイだよ!


楽しむマナー #アンソロジー

人が喜ぶおごられ方から天寿を全うする方法まで、人生のあらゆる場面で出くわすマナーの難題を作家・歌手・科学者十三人がするっと解決!愛を温めたい、気まずい空気を消したい、プロフェッショナルな仕事をしたい…この一冊が、大人の悩みを解きほぐす。しんどい心のコリに効く、楽しいマナー考。

アンソロジー形式のショートショートエッセイ集で、特に小難しいテーブルマナーや冠婚葬祭について書いてあるわけではなく、様々な分野で活躍する著名人が書く自分なりのマナーがまとめられている一冊。それぞれ特長があって楽しめたが、中でも角田光代さんの文章が飛び抜けてユーモラスで楽しめる。逆に逢坂剛の批判爆発の上から目線の文章は読んでいて気分が悪くなるので読み飛ばしてもいいと思っている。

ホント、角田光代さんの作品を読みたくなるんだよね


ナナメの夕暮れ #若林正恭

オードリー若林、待望の新エッセイ集!『完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込』から3年。雑誌「ダ・ヴィンチ」での連載に、大幅に書き下ろしエッセイを加えた、「自分探し」完結編!ゴルフに興じるおっさんなどクソだと決めつけていた。恥ずかしくてスタバで「グランデ」が頼めない。そんな自意識に振り回されて「生きてて全然楽しめない地獄」にいた若林だが、四十を手前にして変化が訪れる――。ゴルフが楽しくなり、気の合う異性と出会い、あまり悩まなくなる。だがそれは、モチベーションの低下にもつながっていて……「おじさん」になった若林が、自分と、社会と向き合い、辿り着いた先は。キューバへの旅行エッセイ『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』では第三回斎藤茂太賞を受賞。「生き辛い」と感じている全ての人に送ります。

オードリーの若林さんが自分と向き合い続けたエッセイ集。大爆笑できる本ではないのだが、隠していてもにじみ出る若林さんの人間的な優しさが素晴らしい文章がまとめられている。若林さんの内面と、その内面を通して見た世界に対する考察は素晴らしいものがあり、芸人らしい例えの表現も随所にみられて楽しめる。僕はオードリーのラジオが世界で一番面白いと思っているので、とにかく若林さんには健康に気を付けて生きていってほしい。

ただ前作の『社会人大学人見知り学部 卒業見込』から読んでもらった方が、若林さんの心境の変化を見て取れるのでそちらから読むことを薦めたい


適当日記 #高田純次

世界一日記が似合わない男が、還暦を機に“書かされた”最初で最後の日記。テレビで見るよりさらに適当な日常が、今ここで明らかになる。

エッセイというか日記というか適当な文章というか、とにかく笑える高田純次の魅力が詰まっている暴力的に面白い作品。僕はこの作品を病院の待合室で読んでいたのだが、笑いを堪えるのが大変で通院のツラさが半減された。タイトルに偽りはなく、本当に適当に書かれた日記で、自分の悩みや、社会の不平等さとか、もうどうでもよくなるような素敵な作品となっている。ただ、何一つ得るものはないので、暇な時か息抜きとして読むべきだと思う。

人生であと一冊しか本が読めなかったらコレを読むかもしれない(笑)


拝啓、本が売れません #額賀澪

売れる本を作る方法を探し求めて見つけた答えとは…『松本清張賞』『小学館文庫小説賞』をダブル受賞してデビューした新人小説家がみた出版不況の現実。文藝春秋より刊行予定の新作先取り掲載。

作者である額賀澪(ぬかがみお)さんが、現在の出版業界において本がいかに売れずに苦戦しているのか、またそれを覆すための努力がどのようになされているかをまとめた取材体験エッセイ本。本人の作品の販促活動としての側面もあるので、読みえてるとデザインされた装丁もまじまじと見てしまう、笑。”本という媒体”で”本という媒体”の行く末を心配している様子が描かれるのはなんだか新鮮で新しい感覚で読めて勉強になるので、本好きの方におすすめしたい作品だ。

図書館で読書することに罪悪感を感じる本です


しをんのしおり #三浦しをん

「漫画の王国」に生れた小説家の乙女な日常生活。バンドを追っかけ上方へ、愉快な仲間と朝まで語り、わきあがる妄想の楽園に遊ぶ…色恋だけじゃ、ものたりない!なぜだかおかしな日常はドラマチックに展開―日本の政局も、家族の事件も、人気のTVドラマも、考え始めたらいつのまにかヒートアップ!「読んで楽しく希望が持てる」、笑い出したら止まらない、抱腹微苦笑ミラクルエッセイ。

三浦しをんさんが真骨頂である妄想や日常の出来事を語っているエッセイ集。じっくり飲みながら話を聞きたくなるような面白い内容で、著者の性格も垣間見えるファンには堪らないであろう作品。しをんさんはBLネタをちょこちょこ放り込んでくるので、そこに耐性のない僕からすると読み進めるのが辛いページもあるが、その他の部分では、一見破天荒なことを言っているようで、感覚的に理解できてしまう不思議な文章は読者を楽しい気持ちにさせてくれること請け合いだ。

三浦しをんさんのエッセイが一番人柄を感じるかもしれない


白蛇教異端審問 #桐野夏生

直木賞受賞直後の多忙な日々を綴った日記や書評、映画評、いわれなき中傷に対して真摯に真っ向から反論する表題作となった長篇エッセイに加え五篇のショート・ストーリーも収録。デビュー以来十年の軌跡をまとめ、小説では味わえないストレートな「桐野夏生」の魅力がぎっしりと詰まった著者初のエッセイ集。

ダークな作品を描く桐野さんらしい”色”の出ているエッセイ集。正直、毒っ気が強すぎて辟易してしまう部分も多かったのだが、『OUT』や『玉蘭』の世界を書いた人物は、どんな頭の中をしているんだろうという興味を満たしてくれる一冊だった。特にお腹を抱えて笑うような部分はないので、ファンの方にはオススメできるかな?という作品だニョロ。あ、そうそう、このエッセイを読むと東野圭吾さんの印象が良くなりますニョロ。

桐野さんのファン以外にはあまりオススメしません(笑)


アメリカ居すわり一人旅 #群ようこ

「アメリカに行けば何かがある」と、夢と貯金のすべてを賭けて一人渡米した群さんの、愉快なアメリカ観察記。旺盛な好奇心と元気さにひきかえ、語学力と忍耐力がほとんどないので、入国審査に始まり、宿泊、食事問題など、次々と日常トラブルが起きてしまう。が、特殊なアルバイトが見つかって、ありがたいお金と友情を手にすることが出来たのであるが…。観光や買い物に走らずに、あるがままの生活をそのままアメリカで過ごしてきた、無印エッセイアメリカ編。

群さんが描くアメリカ生活のエッセイでヘラヘラ笑いながら読めちゃう名作。アメリカでも良い人や、嫌な奴や、助けられたりつけ放されたり、新しい環境で人と馴染みつつも、結局「人」は「人」でしかなく、日本とさほど変わらないのかもしれないと思わせてくれるのが素晴らしい。他人から見た自分の心情の変化と、自分自身の心情にはここまで差があるのかと笑ってしまうので、そのギャップも楽しんでもらえたらと思う。

30年近く前のエッセイなのに色あせずに面白いのが何よりも驚異的


もものかんづめ #さくら ももこ

「こんなにおもしろい本があったのか!」と小学生からお年寄りまでを笑いの渦に巻き込んだ爆笑エッセイの金字塔!!著者が日常で体験した出来事に父ヒロシや母・姉など、いまやお馴染みの家族も登場し、愉快で楽しい笑いが満載の一冊です。「巻末お楽しみ対談」ではもう一度、全身が笑いのツボと化します。描き下ろしカラーイラストつき。

言わずと知れたさくらももこの伝説的エッセイ集。こちらもかなり昔の作品なのに全く劣化しない面白さがある。読んでも生きる上で役に立つことはほとんどないのだが、シンプルに文章に面白さの塊がゴロゴロと転がっているので、それをひたすらに楽しみつくすことがこの本の楽しみ方だと思う。作者の実祖父の葬式を描いた賛否両論の『メルヘン翁』だが、僕は名作だと思っている。

ご存じだとは思うが『さるのこしかけ』『たいのおかしら』という三部作で、残りの2作品も見劣りしない面白さなのでぜひ


そういうふうにできている #さくら ももこ

この腹の中に、何かがいるのである。大便以外の何かがいる…!テスターによるショーゲキの妊娠発覚、どん底でバカバカしいギャグを考えてた悪阻期、悪魔の封印石のような強情な便との壮絶な戦い、と、期待にたがわぬスッタモンダの十月十日。そして、とうとう生まれたよ。あたしゃ、おかあさんになっちゃったよ。そう、まる子も人間、人間も宇宙の生命体、そういうふうにできている、のです。

さくらももこさんのエッセイは全て読んでいるが、その中でも僕が一番好きな作品なので連続紹介。面白かったしタメにもなったし、エッセイとしても出産体験談としても読める名作エッセイだ。妊娠発覚から賀来千香子さんとの交流やマタニティブルーの大変さなどが、さくらももこさんの視点で見るとこんなにも愛くるしい日常になるのかと思って感動してしまった。この世界に一つの生命が誕生していくようすというのは、つまり、そういうふうにできているのだ。

色々な作品をありがとう。ご冥福をお祈りいたします

 

工学部・水柿助教授の日常 #森博嗣

水柿小次郎三十三歳。後に小説家となるが、いまはN大学工学部助教授。専門は建築学科の建築材料。よく独身と間違われるが、二歳年下のミステリィ好きの奥さんがいる。彼はいつしか自分の周囲のささやかな不思議を妻に披露するようになっていた。きょうもまた、あれが消え、これが不可解、そいつは変だ、誰か何とかしろ!と謎は謎を呼んで…。

天才・森博嗣さんが小説と銘打って書いた”読む人をある程度意識した雑記”のようなエッセイ。個人的には”森博嗣の小説”の大ファンだが、この作品はIQの高い中学生の文章を読んでいるような感じがするので、すごく気に入っているわけではない。それでも、締めの言葉に思わずニヤリとしてしまったり、奥様との信頼関係を読むとついつい嬉しくなってしまうのは、やはり作品と作者を同一視しているからなのだろうか。天才の日常はなぜかかわいらしく、落ち着きながらも楽しげに過ぎていくものだ。

エッセイと物語の中間の作品だと思っているのだが、どうでしょう??


最後に

小説家が攻撃的で刺激的な内容の作品を書いていたからといって、小説家個人が攻撃的で刺激的な人間であるわけではない。

それは理解しているつもりでも、僕たち読者は、つい作品と小説家を同一視してしまうところがある。

 

僕にとってエッセイとは、同一視してしまう作品と小説家の間に入り込んでくれるものだ。

「作品ではこう書いているが、自分の本心はこう思っている」

といった作者個人の顔が見えることで、作品と小説家を正常な距離感に戻してくれるものなのだ。

 

面白いだけではなく、小説を読みやすくしてくれる素敵な読み物であるエッセイを僕はこれからも読み続けていきたいと思う。