全部夏のせいだ・・・
というほど刺激的な夏を送ってこなかった我が人生において、今も印象強く残っているのが高2年の夏。それは初恋、友情、部活、勉強などの甘っちょろい思い出ではなく限りなくブラック寄りのグレーな思い出だ。グレートではなくグレー。つまりギリギリ。いや、アウトか。
それはトミーとの思い出。
トミーって誰?という方向けにトミーの説明を簡単に。
トミーのWikipedia
- 親の自営が順調だったので、高2の夏までボンボンの坊っちゃんをエンジョイ
- 金持ちの息子特有の嫌な性格、ウザいキャラクターの持ち主
- とはいえ定期的に遊んでいた
- 自身の部屋をエロビデオの視聴部屋として同級生に提供(イカ臭い)
- 順調だった親の自営が傾き、高2の夏休み直後に一家で夜逃げ
- 夜逃げする前に貸したエロビデオは返却されず
- その後久しぶりに再会を果たすと、夜逃げしたのに上から目線
- お台場で「芸能人になりたい」発言。目標は織田裕二
- 夏に終りがあるように、遊ぶ関係も終わる
- 10年以上ぶりにFacebookで発見したが、出身地を現住所にして過去を消す
- メッセージを送ってみると「元気だよ!そっちは!?」と返答あり
- 久しぶりの再会をしたいとは思わない。
こんな奴。今回お伝えするのは「芸能人になりたい」発言をしたお台場での出来事ではなく、その前に起こったハプニング。
トミーEpisode0
久々の再会を果たす数日前、トミーと電話で話す機会があり、会った時にみんなで何をしたいのか聞いてみた。
トミー
トミー
オーケイ。今回の主役は君だ。トミーの好きな場所、食べたい物を食べればいい。てか、どうせマクドナルドだろ?食べ方が汚いので毎回テカテカな唇にイラッとしていたが、離れるとそれも懐かしい。
そして他愛のない話をして10分程経過した頃、トミーから信じられないリクエストが飛び出した。
トミー
?
ストリップ?
この状況で?
トミーは続けて
トミー
。。。
確かにトミーが夜逃げする以前、「夏になったらストリップ劇場でも行く?」という話はちょいちょい出ていた。しかし、それは話のネタであり、本気で考えていた者は一人もいなかったと思う。そしてなによりトミーの状況を考えると、このタイミングでのストリップ劇場はない。
ただ、トミーは違った。
トミー
いや、この機会逃したら行ける機会ないんじゃないかなって‥
恐らくトミー家に残されたお銭は僅かだろう。そんなトミーがなけなしのマニーでパニーニしたがっている。ゲームソフトや携帯電話の新機種ではなく生パイに。ロード・トゥ・パイ。
こいつはどうしようもない。親の大ピンチを逆手に取り「行くなら今がラストチャンスかもよ?」とこちらにもプレッシャーを掛けている。バカなやつだとは結構前から知っていたが、ここまで大バカ野郎だったなんて・・・。
ということで行くことに。
ウザさ変わらず
再会当日。
電話で話してから数日経過しており「やっぱりストリップ行く気ないわ…」と、トミーが言ってくる気がした。一家の大ピンチにパイを見る気分でもなかろう。それならそれでいい。そんなことを考えていたら、遠くからトミーが手を降って現れた。その姿は凱旋帰国したスタープレーヤーのよう。
トミー
いつも通りに上から目線で話しかけてきた。親の自営は傾いたが、強気な態度は傾かず。大したメンタルである。
しかし、マクドナルドに入ると、少しずつ中二病の症状が現れる。
トミー
急に“俺は狙われてる”アピールを始めたのだ。骨折した人が翌日ヒーロー気取りをするように、自分の弱みを強みに変えて格好つけ始めた。
トミー
被っていた帽子をさらに深くかぶり、見えるは団子っ鼻とポテトの油でテカテカになった唇のみ。本当に借金取りが追っているなら今すぐに「ここにいる!」とアシストしたい。
トミー
そんなトミーの一声で、ようやく本日のメインイベント会場へ向かうことになった。
主役を奪う
現場へ着くと、人相の悪いスタッフに入場料4,000円を払って会場に入る。
劇場の重い扉を開けると、中から大ボリュームの音、目がチカチカするミラーボールという当時でも「古いな」という演出。前方には高級感のないカーテン。
周囲を見渡すと客層のほとんどは年金生活らしき老人ばかりで、僕らは明らかに浮いていた。
1人目のキャストが登場すると会場が湧く。トミーも楽しそう。とても親の自営が傾いて夜逃げした一家の長男とは思えないノリだ。気づけば深く被っていた帽子は取り、しっかりとステージ上を見ている。
トミー
。。。盛り上がるトミーを見て、親御さんのことを考えてしまった。親御さんの願いはただ一つ。それは、久々の再会を楽しんできて欲しい。その思いだけで息子を送ったはず。お銭に余裕もないだろう。それでも息子のため資金を絞り出してくれたはず。しかし、息子は今ストリップ劇場で歓喜の雄叫び。こんなんじゃ経営も乳も傾きまっせ。
さて、ストリップ劇場だが、個人的にはナシ。質が低すぎて、食べログなら☆1つ。演出も音楽も全てが、安っすいお遊戯のようなデキ。やる気0だけど、日銭稼ぎで仕方なく脱いでる人が分かりやすく、プロ意識に欠けていたようも見える。
こんな営業でよく続いているなぁと関心したが、爺さん達は妙に楽しそう。時折手を伸ばしてキャストのパイをミーモーするなど、会場は完全に地獄絵図だが。
トミーは変わらず楽しんでいる。キャストに手を振る、合いの手を入れるなど、親の自営が傾いて夜逃げしてなければ、週3、4ペースで訪問しそうな勢いだ。
30分程経過した頃、ショーも一段落したので「そろそろ出る?」とトミーに聞いてみた。
トミー
トミーがそう言うと、右側に列ができ始めている。この列の正体が知りたくなったのだろうか。
トミー
そう言い残してトミーが列に並ぶ。少しすると前方のカーテンが閉められる。休憩だろうか?すると右側に並んでいた列が少し進み、一人ずつステージ横のカーテン奥に入っていく。
なるほど…
ハーフタイムショーはキャストのサービス。こちらから見えないカーテンの向こうで事を済ましているのだろう。
時間にして1人捌くのに2、3分。少しずつ列が進み、カーテンの奥から出てきた人にトミーが何かを聞いている。口の動きからすると
トミー
で間違いない。お銭にも限りがあるからね。
ようやくトミーの順番になり、意気揚々とカーテンの奥に吸い込まれていく。まあ、思い出に好きにしろ。そんな気持ちで見ていたら、突如会場に大きな音が鳴り響く。
ビーっ!ビーっ!ビーっ!
すると、前方のカーテンが少しずつ開いてくる。
!?
どうやら次のステージが始まるようだ。
あれ?トミーは?
まだカーテン奥からトミーが出てこない。
カーテンはどんどん開いていく。
会場にいる全員が固唾を呑んで行方を見守る。
そして、カーテンが全て開く。
「あ!!」
そこには1人、、いや1つの大きな尻が見える!トミーの前にはさっきまで無愛想に踊っていた外人のキャストだ。向きとしては会場内にケツを見せ、ライトセーバーを外人キャスト側に。
ケツは会場、ライトセーバーは外人。
ケツは会場、ライトセーバーは外人。
ほっともっとの不気味なオーダー確認のように、会場全員が何度か確認したことだろう。
・・・えっ!?笑
どこからともなく「お前のケツ見に来たんじゃねえよ(笑)」という爺さんの愛ある野次。
まさかここでトミーのケツを見ることになるとは…。恥ずかしそうにステージ上から降りてきたトミーと一緒に会場の外へ出る。
歩きながら感想を聞くと、また勘違い発言が飛び出す。
トミー
と、精一杯の強がりを見せた。
まあ、仕方ない。親の自営が傾いた結果夜逃げをして心を痛め、名前も知らない外人の高速ハンドピストンでライトセーバーを痛めた挙句、ケツを爺さん達に見せるという羞恥プレイも味わったのだ。つまらないプライドぐらいは許してやろう。
ここからお台場へと向かう。
この日以降一度だけ集まったが、トミーの態度に嫌気が差し、以降会ってない。決して仲間外れにしたとかではなく、一人一人が自然にトミーとの関係に終止符を打った。
あれ以降ストリップ劇場に足を運んでない。
いや、この機会逃したら行ける機会ないんじゃないかなって‥
このままなら、トミーのこの発言は当たることになる。
それ自体は構わないけど、最後に見たのがトミーのケツというのは納得いかないけどね。