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フォレストラバー

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男性にこそ読んでもらいたい!おすすめの恋愛小説【11作品】

芥川ヌキ之介(著) 本-まとめ 本-小説

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恋愛小説は女性が読む本である

 

そんな考え方は一世代前の偏見で、今では男性でも恋愛に比重が置かれた作品を普通に楽しむ時代になってきているように感じる。映画『君の名は』のように、性別に関係なく支持される恋愛作品も増えてきた。それでもやはり、女性目線で描かれた都合のいい男性が登場する物語に関しては、男性が読むには少しつらいものがある。

 

優しくて髪はサラサラ笑顔はキラキラの王子様的な男性が登場して永遠の愛を誓われても、男性の視点で読むと「とはいえお前もDMMでAV見てるだろ」とツッコみたくなるし、出会った直後に女の子に「オマエさぁ~」と偉そうにするオレ様男が登場し、数日後に子猫を助けてギャップで格好よく描かれていようとも、男性の視点でその真似をしたりすると、ギャップを見せる暇もなく女子集団から嫌われて永遠に好かれることはないだろう。つまるところ、男性が「こんな男いねぇよ」と思わずツッコんでしまう、女性がメインで楽しむ恋愛小説というものは未だに存在するという訳だ。


そこで今回は女性に対してというよりも、

 

男性が読んでも楽しめること

 

に重点を置いた恋愛小説を紹介していきたいと思う。もちろん男性だけが楽しめる作品ではなく、女性も楽しんでもらえる作品を意識したつもりなので興味があれば読んで頂きたい。たまにはこんなジャンルもいいでしょ?

 

 

ルール

  • 実際に読んで面白かった恋愛小説をランキングではなく順番はランダムで紹介する[随時更新]
  • 現在個別ページがない作品もいずれ個別ページを作成し、映画、ドラマ、漫画、アニメなど、他の媒体になっているなどの詳細情報はそちらに
  • 基本的には良い部分をフォーカスする。気になった点は個別ページに書く
  • あらすじ・ストーリーは基本amazonからの引用で読んだ時に最大に楽しめるように基本的に重大なネタバレなし
  • ダラダラと長い記事なので目次を活用してもらえるとありがたい
  • 恋愛小説といっても、恋愛要素が強いその他ジャンルの小説も含める

 

新しい作品との出会いのきっかけになれば嬉しく思う。

 

夜は短し歩けよ乙女 #森見登美彦 

あらすじ

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。 

感想 

世界観にハマれるかで好みが別れる森見作品。恋愛小説として紹介しているが、森見作品特有のファンタジー色も強いので多角的に楽しめる作品。主人公・先輩の視点と黒髪の乙女の視点から描かれるので、同じ出来事に対してそれぞれの感情を楽しめる。展開として先輩のストーカー的片思いが続いていくだけかと思いきや、黒髪の乙女の心境が少しずつ変化し、先輩が何故か格好良く見えてくるからとても愉快な気持ちで読める。にぎやかな珍事件と二人のキュートな関係性をぜひ一度読んでもらいたいものだ。

 

 

陽だまりの彼女 #越谷オサム 

あらすじ

幼馴染みと十年ぶりに再会した僕。かつて「学年有数のバカ」と呼ばれ冴えないイジメられっ子だった彼女は、モテ系の出来る女へと驚異の大変身を遂げていた。でも彼女、僕には計り知れない過去を抱えているようで──その秘密を知ったとき、恋は前代未聞のハッピーエンドへと走りはじめる! 誰かを好きになる素敵な瞬間と、同じくらいの切なさも、すべてつまった完全無欠の恋愛小説。

感想

主人公・浩介が素敵に変貌した幼馴染・真緒と再開して恋に落ちる話――なのだが、単なる恋愛小説ではないという部分も魅力的だ。2人が付き合いだして一緒にいる時間の描写が微笑ましくニヤニヤでき、それでいて後半になると真緒の秘密に関する描写が増えてくるので、不安と切なさが入り乱れるドキドキも味わえる。全体的に軽いタッチの文章だが、巧みに散りばめた伏線が見事に回収されており、肌のぬくもりを感じれたり、名前を読んで答えてくれる人が隣にいることは、それが何にも代えがたい幸せであるという事を再認識させてくれる素敵な作品。 

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阪急電車 #有川浩 

あらすじ

隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。恋の始まり、別れの兆し、途中下車―人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。ほっこり胸キュンの傑作長篇小説。

感想

ベタ甘系といわれる多くの有川作品たちは男性にとってむず痒い恋愛描写が多いかもしれないが、この作品は恋愛パートとそれ以外の要素とのバランスが絶妙なので、割とフラットな視点で恋愛小説に向き合うことが出来ると思う。恋愛に特化するのではなく、阪急電車に乗り合わせる人々のそれぞれのエピソードがあり、ストレスが溜まる話や、それを打開する展開がある中での恋愛のパートが、妙にほっこりできるので恋愛小説の初心者にこそオススメしたいソフトな恋愛小説

 

 

イカロス・レポート #竹田真太朗 

あらすじ

新宿区の大学に通う理系大学生・坂崎基樹。彼は「サイクリング同好会」に所属し、人生に波風立てる異性の影も形もない、平凡な日々を過ごしていた。そんな非モテ男が「航空機研究会」に所属する親友・萩山寅泰の「上手く飛べば、モテる」という一言で、鳥人間コンテストをめざすことに。航空機サークルの下級生・児島花澄に一目惚れした坂崎は、授業そっちのけで猛特訓を続けるが、あるトラブルが彼の心に大きな影を……。弱小航空機研究会で繰り広げられる、<恋>に不器用な理系男子たちの真っ直ぐな青春ストーリー!

感想

サイクリング同好会に属する坂崎が航空機研究会に入って恋をし、鳥人間コンテストで飛ぶまでの物語が描かれている。10代くらいをターゲットにした小説かもしれないのでオッサンとしては読むときに少し気恥しいが、空を飛ぶことに対する責任や、空を飛ぶことをあきらめることに対する未練などは恋愛を抜きにしても素敵なことが書いてある。坂崎の空へのモチベーションはヒロインの児島さんへの恋心なので、直接の描写はないが、実際の鳥人間コンテストのように大会のTV中継で盛大に愛の告白をするのでニヤニヤしてしまう。 

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カフーを待ちわびて #原田マハ 

あらすじ

もし絵馬の言葉が本当なら、私をあなたのお嫁さんにしてください―。きっかけは絵馬に書いた願い事だった。「嫁に来ないか。」と書いた明青のもとに、神様が本当に花嫁をつれてきたのだ―。沖縄の小さな島でくりひろげられる、やさしくて、あたたかくて、ちょっぴりせつない恋の話。選考委員から「自然とやさしい気持ちになれる作品」と絶賛された第1回『日本ラブストーリー大賞』大賞受賞作品。

感想

男の欲望が詰まったような話に見えて、作者が女性なのでなんとなく素直に読める素晴らしいバランスの作品。題名を初めて見たときはブラジルのサッカー選手のカフーの事だと思っていたのが懐かしいが、タイトルの「カフー」は沖縄の言葉で「果報」のこと。それは主人公・明青にとっての「幸せ」であり、つまりメインヒロインの「幸」のこととも言いかえられる。作品に漂っている沖縄の独特の雰囲気が読み手に心地よく、明青の人柄も魅力的なので、最後のページの向こう側にある困難と幸せの予感が、余韻ある終わり方を演出している。続きが読みたくなる1冊だ。

 

 

金曜のバカ #越谷オサム 

あらすじ

天然女子高生と気弱なストーカーが繰り返す、週に一度の奇天烈な逢瀬の行き着く先は―?(「金曜のバカ」)「また、星が降る夜に逢えたらいいね」―流星雨の夜に出会った少女が残した言葉が、今胸によみがえる。(「星とミルクティー」)不器用だけど一途な思いを抱えた“バカ”たちが繰り広げる、愛と青春の日々。何かを好きになった時のときめきと胸の高鳴りに満ちた、ほっこりキュートな傑作短編集。

感想

短編集なので、収録されている作品のすべてが男性にもオススメしたい訳ではないのだが、全体を通してあまり恋愛色が強すぎないところがオススメしたい部分かもしれない。そんな中でも『星とミルクティー』は男性が女性に求めるであろうロマンチックが盛り込まれているように思う。また『僕の愉しみ彼女のたしなみ』では、これから歩みだそうとするカップルが、一歩を踏み出して自分を相手にさらけ出そうとする嬉し恥ずかしい恋愛の話なのでそういうのが好きな人にはオススメしたい。

 

 

きみはポラリス #三浦しをん 

あらすじ

どうして恋に落ちたとき、人はそれを恋だと分かるのだろう。三角関係、同性愛、片想い、禁断の愛……言葉でいくら定義しても、この地球上にどれひとつとして同じ関係性はない。けれど、人は生まれながらにして、恋を恋だと知っている──。誰かをとても大切に思うとき放たれる、ただひとつの特別な光。カタチに囚われずその光を見出し、感情の宇宙を限りなく広げる、最強の恋愛小説集。

感想

恋愛という言葉よりも愛情という言葉がピッタリくる三浦しをんの最強恋愛小説。一部は連作になっているが基本は短編集になっており、単純に人を愛するという事にこれほどまで多彩な可能性があるのかと考えさせられる一冊。主人公達にとって何より大切な光り輝くポラリス(北極星)が描かれているが、シンプルな愛ではなく、癖のある出来事と寄り添う愛情が連続しているので、とても心を掴まれる。個人的には『わたしたちがした事』という作品が好き。

 

 

恋文の技術 #森見登美彦 

あらすじ

一筆啓上。文通万歳!――人生の荒海に漕ぎ出す勇気をもてず、波打ち際で右往左往する大学院生・守田一郎。教授の差し金で、京都の大学から能登半島の海辺にある実験所に飛ばされた守田は、「文通武者修行」と称して、京都にいる仲間や先輩、妹たちに次から次へと手紙を書きまくる。手紙のなかで、恋の相談に乗り、喧嘩をし、説教を垂れる日々。しかし、いちばん手紙を書きたい相手にはなかなか書けずにいるのだった。

感想

上記のあらすじではわかりにくいが、能登半島に飛ばされた主人公の守田が淋しさを紛らわすために知り合いに送りまくった手紙がひたすら書かれている本。だがそれが面白い。手紙なので守田の主観で好き勝手に書けるため、自分をいいように書く守田に思わずニヤリと笑ってしまうが、作者である森見先生も登場したり、ジワリと心にしみわたる部分もあり、手紙特有の文字から感じられる感情が心地よい。個人的には、見どころのある少年に対する手紙はすべて素敵な手紙に感じた。後半は『恋文の技術』というタイトルの通り、想い人である伊吹さんへの恋文をどのようにして書いていくのかにフォーカスしているので、ニヤニヤしながら独特の言い回しを楽しめる。そしておっぱいは悪くない。光あれ。

 

 

初恋温泉 #吉田修一 

あらすじ

初恋の女性と結婚した男。がむしゃらに働いて成功するが、夫婦で温泉に出かける前日、妻から離婚を切り出される。幸せにするために頑張ってきたのに、なぜ―表題作ほか、不倫を重ねる元同級生や、親に内緒で初めて外泊する高校生カップルなど、温泉を訪れる五組の男女の心情を細やかにすくいあげる。日常を離れた場所で気づく、本当の気持ち。切なく、あたたかく、ほろ苦い恋愛小説集。

感想

恋愛小説と一括りにまとめてしまうのが勿体ないような深みのある恋愛小説集。切ない表題作『初恋温泉』は結婚している人にとっては普段から気を付けようと身が引き締まるような作品。他にも『白雪温泉』のように暖かい物語や『純情温泉』のようにピュアで先に起こるであろう恋愛の困難がまだ見えていない若者を描いている作品もある。人間の感情は移ろいやすく、時間と共に変化していくが、その変化を温泉を通して優しく厳しく描いていくのは流石、吉田修一さんだなと改めて感じられる。勝手な印象だが、やや男性側に厳しい内容に感じているので注意して読むべし。

 

 

銀河不動産の超越 #森博嗣 

あらすじ

気力と体力不足の高橋が、やっと職を得たのは下町の「銀河不動産」。頑張らずに生きる―そんな省エネ青年を訪れる、奇妙な要望をもったお客たち。彼らに物件を紹介するうちに、彼自身が不思議な家の住人となっていた…?「幸せを築こうとする努力」が奏でる、やさしくあたたかい森ミステリィ組曲。

感想

厳密に言えば恋愛小説ではないのかもしれないが、作品に登場する主人公・高橋と結婚相手である登美子の関係性がとても素敵なので、恋愛小説としての側面からどうしても紹介したかった。特にお互いにすれ違うような感情の変化もないのだが、男性目線から読むと、こんな子がいたらいいなぁ…。と羨むような気持ちで読んでしまう作品。全編を通じ、やさしくてふわっとしている蒸しパンのような空気で、幸せになるためのタイミングや努力は自然な形でやってくる事を伝えてくれているような気がする。何よりも登美子さんが可愛らしくて堪らない。耳元で「赤ちゃんが欲しいです」とかもうなんというか言われてみたいぜコンチクショウって感じ。 

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センセイの鞄 #川上弘美 

あらすじ

ひとり通いの居酒屋で37歳のツキコさんがたまさか隣あったご老体は、学生時代の国語の恩師だった。カウンターでぽつりぽつりと交わす世間話から始まったセンセイとの日々は、露店めぐりやお花見、ときにささいな喧嘩もはさみながら、ゆたかに四季をめぐる。年齢のはなれた男女の、飄々として、やがて切々と慈しみあう恋情を描き、あらゆる世代をとりこにした谷崎賞受賞の名作。

感想

傑作。若い年代の激情に流されるような恋愛ではなく、深くしみわたるような時間の流れが過不足なく絶妙なバランスで描かれる恋愛小説。公平で実直で不器用だけどオチャメなセンセイといい子なツキコさんの二人の時間を追っていくと、自分の人生に残された時間と隣にいる人をとにかく大切にしようとする気持ちになってくる優しい本。何度再読してもツキコさんがセンセイの本名を聞くところで涙が流れてしまう。センセイの鞄のカラッポの分だけ空いたツキコさんの心の空白に胸が痛むが、そのカラッポには多くのものが確かに詰まっていたと信じたい。ちなみに『パレード』という題名の続編?…というより二人が過ごした日々を描いた小編作品もあるので気に入った方は是非。

 

最後に

女性のみが好んで読む恋愛小説とはまた違った味わいがある作品たちを選んでみたつもりだが、いかがだっただろうか?――なんて書いてみたものの、実際には男性や女性といった性別に関わらず、楽しめる作品が並んでいるように思う。元も子もなくて申し訳ないが笑。

 

僕はベタベタに甘い恋愛小説の中にも好きな作品がある。明るい恋愛も、心が沈むような恋愛を描いた作品にも好きなものはある。

 

結局のところ優れた恋愛小説とは、性別などは無関係で“作品に恋をしてしまう”、そんな作品たちの事をいうのかもしれない