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大人が読んでも楽しめるおすすめの児童書【8作品】

 

大人は誰でも子供の経験がある。

 

経験があるのだから本当はどんな大人でも、子供の気持ちがわかるはずなのに、実際は大人になるにつれて子供の頃の自分が何を感じ、何を思い、どう行動していたのかをすっかり忘れてしまう。

 

とても不思議なことではあるが、時間の経過とともに忘れていってしまうものなのだと納得するしかないのかもしれない。

 

だからこそという訳ではないが、たまには児童書を読んで昔の感覚を思い出してみるのも良いのではないかと思う。

 

そこで今回は大人が読んでも楽しめるおすすめの児童書を紹介したい。

 

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ルール

  • 実際に読んで面白かった作品だけをまとめとして紹介(ランキングではなく順番はランダム)
  • 現在個別ページがない作品もいずれ個別ページを作成し、映画、ドラマ、漫画、アニメなど、他の媒体になっているなどの詳細情報はそちらに書く
  • 基本的には良い部分をフォーカスする。気になった点は個別ページに書く。あらすじは引用させてもらう。
  • 重大なネタバレはしないが、見たくなかったり長い記事読むのが面倒だったら目次で飛んで欲しい

 

新しい作品との出会いのきっかけになれば嬉しく思う。

 

 

探偵伯爵と僕 His name is Earl #森博嗣 

あらすじ

夏休み、友だちが次々と姿を消した。懐かしく新しい、森ミステリィの快作。もう少しで夏休み。新太は公園で、真っ黒な服を着た不思議なおじさんと話をする。それが、ちょっと変わった探偵伯爵との出逢いだった。夏祭りの日、親友のハリィが行方不明になり、その数日後、また友達がさらわれた。新太にも忍び寄る犯人。残されたトランプの意味は?探偵伯爵と新太の追跡が始まる。(引用:amazon)

感想

敬愛する森作品のミステリーランド作品*1。風変わりな探偵伯爵と新太が友達の失踪事件を追う夏休みの物語。作中の最後に探偵伯爵から新太への手紙が書かれているのだが、その手紙の内容で一気に物語の印象が変わるのがすごい。見かけの文章ではなく、文字で描かれていない裏側のストーリーを想像させる技術は感心してしまう。児童書としてはかなり攻撃的で、危うさも秘めているのかもしれないが、無自覚でも深く傷ついている『僕』と、人間の醜さから目を背けるなと励ます『伯爵』の関係性は、読んだ人の読書人生に大切なものになるのではないかと思う。最後になるが副題の「His」は誰の事を指しているのかを考えるともう一段回楽しめる。流石、森先生だ。 

 

 

神様ゲーム #麻耶雄嵩 

あらすじ

神降市に勃発した連続猫殺し事件。芳雄憧れの同級生ミチルの愛猫も殺された。町が騒然とするなか、謎の転校生・鈴木太郎が犯人を瞬時に言い当てる。鈴木は自称「神様」で、世の中のことは全てお見通しだというのだ。鈴木の予言通り起こる殺人事件。芳雄は転校生を信じるべきか、疑うべきか。神様シリーズ第一作。(引用:amazon)

感想

『隻眼の少女』『メルカトル鮎シリーズ』など衝撃的な作品を世に送り出している麻耶雄嵩さんのミステリーランド作品。この作品の真相も衝撃的過ぎて、子供に読ませるのは少し…いやかなり抵抗があるが、子供も大人も楽しめるレーベルからの発売作品なので難しい所か。児童書とは思えないほど衝撃の展開からさらに怒涛の展開へ。後半の物語の展開には思わず息をのんでしまう。読者が神様である鈴木君の存在を信じるか、論理性を重んじるのかによってエンディングが変わるリドルストーリー*2の側面を持っているで、数回読み直しても楽しめるはずだ。ちなみに僕は神様を信じるエンディングを選んだ。続編にあたる短編集『さよなら神様』も確実に読みたいと思わせてくれる作品になっている。 そのうち考察でも書ければうれしい。

 

 

びっくり館の殺人 #綾辻行人 

あらすじ

リリカは何の子? 悪魔の子!?すべての世代の“童心”に贈る 謎(ミステリー)と驚き(サプライズ)のおもちゃ箱!少年の日の、極彩色の悪夢――あの密室殺人の真犯人は誰だったのか!?あやしい噂が囁かれるお屋敷町の洋館、その名もびっくり館。館に住む少年と友だちになった三知也たちは、少年の祖父が演じる異様な腹話術劇におののくが……クリスマスの夜、ついに勃発する密室の惨劇! 悪夢の果てに待ち受ける戦慄の真相とは!? ミステリーランド発、「館」シリーズ第8弾(引用:amazon)

感想

三作続けてミステリーランド作品だが、こちらは綾辻行人『十角館の殺人』を始めとする館シリーズの一冊でもある。薄暗くジメッとした館シリーズとは少し変わってその雰囲気だけ楽しめるライト版といったところか?しかし小説の内容自体は他の館シリーズ並(いやそれ以上?)にとてつもなく猟奇じみてる笑。特に途中で展開される腹話術の場面は狂気の一言に尽きる。さらに真相が判明した後に感じる二度目の狂気によって、読者と「僕」が如何に異常な状況下に置かれていたのかがわかる。館シリーズを順番に読んでいくと『暗黒館の殺人』の次の順番なので、鬼クソ長くてクラクラする暗黒館よりは異常性が抑えられているとも思う。出会うタイミングを選ぶ作品だと思う。

 

 

チョコレート・アンダーグラウンド #アレックス シアラー 

あらすじ

舞台はイギリス。選挙で勝利をおさめた“健全健康党”は、なんと“チョコレート禁止法”を発令した!国じゅうから甘いものが処分されていく…。そんなおかしな法律に戦いを挑むことにしたハントリーとスマッジャーは、チョコレートを密造し、“地下チョコバー”を始めることにした!チョコレートがこの世からなくなったら、あなたはどうしますか?禁チョコなんて、ダイエットのときしかしたことない!読めばきっと、チョコレートが食べたくなる…。(引用:amazon)

感想

チョコレート小説の紹介記事でも紹介したが『チョコレート・アンダーグラウンド』も面白味のある児童書だ。禁酒法時代の出来事をチョコレートに変換して子供向けにアレンジしてある作品で、美味しそうなチョコレートがたくさん出てくる。他人の意見にただ流されることの危険性を教訓として子供伝えているのだが、同時にこの本におけるチョコレートの存在はドラッグの様にも思え、話自体がレジスタンスやテロリストの様にも見える。子供向けで勧善懲悪の物語としては少しリスクの高いビターな作風といえる。ちなみに子供たちが作る密造した地下チョコバーの雰囲気は結構格好いい。

 

 

銃とチョコレート #乙一 

あらすじ

少年リンツの住む国で富豪の家から金貨や宝石が盗まれる事件が多発。現場に残されているカードに書かれていた“GODIVA”の文字は泥棒の名前として国民に定着した。その怪盗ゴディバに挑戦する探偵ロイズは子どもたちのヒーローだ。ある日リンツは、父の形見の聖書の中から古びた手書きの地図を見つける。その後、新聞記者見習いマルコリーニから、「“GODIVA”カードの裏には風車小屋の絵がえがかれている。」という極秘情報を教えてもらったリンツは、自分が持っている地図が怪盗ゴディバ事件の鍵をにぎるものだと確信する。地図の裏にも風車小屋が描かれていたのだ。リンツは「怪盗の情報に懸賞金!」を出すという探偵ロイズに知らせるべく手紙を出したが…。(引用:amazon)

感想

この作品もチョコレート小説の紹介記事でも紹介させてもらった。児童書ではあるが、かなり内容は厳しく攻めており、人も普通に死ぬ。勧善懲悪を薦めるような内容ではないので、読者が自らの感覚で登場人物を判断する必要がある。そういった意味では甘えさせてくれない本といえる。探偵ロイズやガキ大将ドゥバイヨル、助手のブラウニーもそうだが、価値観や先入観というものがいかに簡単にひっくり返るのかをやんわりと伝えようとしているようにも見える作品。子供に読ませるなら、ただ読ませるだけではなく、読み終わった後にしっかりと話し合いの場を設けることを勧めたい。あと挿絵の登場人物たちの怖さは絶対に一度見た方がいい。マジ超怖い。

 

 

バッテリー #あさのあつこ 

あらすじ

「そうだ、本気になれよ。本気で向かってこい。―関係ないこと全部捨てて、おれの球だけを見ろよ」中学入学を目前に控えた春休み、岡山県境の地方都市、新田に引っ越してきた原田巧。天才ピッチャーとしての才能に絶大な自信を持ち、それゆえ時に冷酷なまでに他者を切り捨てる巧の前に、同級生の永倉豪が現れ、彼とバッテリーを組むことを熱望する。巧に対し、豪はミットを構え本気の野球を申し出るが―。『これは本当に児童書なのか!?』ジャンルを越え、大人も子どもも夢中にさせたあの話題作が、ついに待望の文庫化。(引用:amazon)

感想

児童書といえばこの人、あさのあつこさん。全六巻で巧と豪の人間関係を描く作品だが、実は個人的にあまり好きな作品ではない。というのもどうしても巧と豪がラブラブな感じ(BL的と呼ばれる例のアレ)がちょっと読んでてウッとなってしまうからだ。そのBL的要素が匂っているので、僕の感覚からすると青春児童書として受け付けがたいが、作者のあさのあつこさんは、「私は(友情と恋愛の)区別ができないからこそ濃密で独特な感情というものを書いていきたい」とのコメントを寄せている。うむ。そういう考え方もあるか。この年代の少年たちの間柄は言葉にするのは本当に難しく、性別に囚われず、そのふわっとした関係性をそのまま届けてくれている作品なのでそこに魅力があるのだと思う。

 

 

魔女の宅急便 #角野栄子 

あらすじ

お母さんは魔女、お父さんは普通の人、そのあいだに生まれた一人娘のキキ。魔女の世界には、十三歳になるとひとり立ちをする決まりがありました。満月の夜、黒猫のジジを相棒にほうきで空に飛びたったキキは、不安と期待に胸ふくらませ、コリコという海辺の町で「魔女の宅急便」屋さんを開きます。落ち込んだり励まされたりしながら、町にとけこみ、健やかに成長していく少女の様子を描いた不朽の名作、待望の文庫化。(引用:amazon)

感想

児童書としてはもちろん、大人が読むと親目線から楽しめる全六巻の良作。ジブリ作品の原作としての方が有名か?期待を裏切らずに癒される本で。特に1巻に関してはジブリ映画の影響力は強く、キキとジジのセリフはもれなく声優さんの声に変換されるから読んでいて楽しい。僕なんか年齢的には父親目線で読んでしまい、娘がほしいなぁとしみじみしてしまうが少女目線ではキキに感情移入が出来るはず。巻が進むにつれ、町の人間に愛され必要とされていくが、同時に心の成長と共に傷つき悩み、乗り越える姿を応援したくなる。キキの成長の話ではあるがトンボとの恋愛話でもあるので、父親目線で読んでいると複雑な気持ちになるので注意笑。

 

 

一瞬の風になれ(全三巻) #佐藤多佳子 

あらすじ

あさのあつこの『バッテリー』、森絵都の『DIVE!』と並び称される、極上の青春スポーツ小説。主人公である新二の周りには、2人の天才がいる。サッカー選手の兄・健一と、短距離走者の親友・連だ。新二は兄への複雑な想いからサッカーを諦めるが、連の美しい走りに導かれ、スプリンターの道を歩むことになる。夢は、ひとつ。どこまでも速くなること。信じ合える仲間、強力なライバル、気になる異性。神奈川県の高校陸上部を舞台に、新二の新たな挑戦が始まった――。(引用:amazon)

感想

最高の青春小説。最高のスポーツ小説。そして最高の児童文学だと思っている作品。副題である「イチニツイテ」「ヨーイ」「ドン」の通り、三冊すべてを読んで初めて一つの作品になるので読むならすべて読むことを勧めたい。これくらい登場人物たちのバックボーンをしっかりと描いてくれる作品も珍しいと感じるほど登場人物たちの背景が濃く描かれている。主人公の新二が焦る気持ちを抑えながら力を貯え爆発させるまでが描かれれいくが、この作品が魅力的なのは結果を追求する陸上競技の中で、努力をする「過程」と、結果を受け止めた後の「行動」の中にこそ、この年代の少年たちにとって価値のある物があるのだと伝えてくれているところだ。個人競技よりも4継(リレーの事)の方が燃えるという感覚も含め、登場人物たちを皆好意的に読める事も素晴らしい。ドラマは残念だったようだが。

 

 

最後に

年齢を重ねた僕たちが、童心を取り戻すことはおそらくもうないのだろう。


しかし、自分の置かれている立場やしがらみを忘れ、一瞬でも子供時代の自分を思い出すことは出来る。忙しい日々を少しだけ忘れ、児童書に登場する主人公たちに昔の自分を重ねて懐かしむ時間を少しだけ味わってみるのも良いのではないだろうか。

 

きっと、素敵な時間があなたを待っていることだろう。

*1:引用:Wiki:かつて子どもだったあなたと少年少女のため――がコンセプト。講談社文芸図書第三出版部(通称文三)の名物編集者であった宇山日出臣による企画。

*2:引用Wiki:リドル・ストーリー (riddle story) とは、物語の形式の1つ。物語中に示された謎に明確な答えを与えないまま終了することを主題としたストーリーである。