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フォレストラバー

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『チョコレート』と一緒に贈りたいチョコレートが登場する素敵な小説たち【5作品】

芥川ヌキ之介(著) 本-まとめ 本-小説

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『チョコレート』という言葉からはどんなイメージが連想されるだろうか?

 

ドーナツ、ケーキ、フォンデュ、ブラウニー、アイスなどの固有名詞。

美味しい。ベタベタな甘さ。鼻孔をくすぐる香り。深い茶色。

高級感。駄菓子屋。バレンタインで貰った時の喜びに貰えなかった悲しみ。

自由の象徴。幼き日の思い出。手をベトベトにした子供。

そしてドキドキしながら好きな人を校門で待っている恋の記憶。

逆にそんな奴らを見ているリア充○ね的感情もあるかもしれない。

 

『チョコレート』という固有名詞の魅力はもちろん、漠然とした印象とてポジティブにもネガティブにも働く。そしてさらにノスタルジックな雰囲気を漂わせる事も出来るという優れたイメージ効果を持つ言葉がチョコレートだ。ゆえに小説が描かれるときに非常に効果的に登場する時がある。

 

そこで今日はそんな『チョコレート』が出てくる小説を紹介したい。

 

 

ルールとして

  • 実際に読んで面白かった作品をまとめとして紹介(ランキングではなく順番はランダム)
  • 現在個別ページがない作品もいずれ個別ページを作成し、映画、ドラマ、漫画、アニメなど、他の媒体になっているなどの詳細情報はそちらに
  • 基本的には良い部分をフォーカスする。気になった点は個別ページに書く。あらすじは引用させてもらう。
  • 長い記事読むのが面倒だったら目次を見てほしい。


素晴らしい本と出会うために微力ながら役に立てればと思う。

 

 

 

チョコレート・アンダーグラウンド #アレックス シアラー

あらすじ

舞台はイギリス。選挙で勝利をおさめた“健全健康党”は、なんと“チョコレート禁止法”を発令した!国じゅうから甘いものが処分されていく…。そんなおかしな法律に戦いを挑むことにしたハントリーとスマッジャーは、チョコレートを密造し、“地下チョコバー”を始めることにした!チョコレートがこの世からなくなったら、あなたはどうしますか?禁チョコなんて、ダイエットのときしかしたことない!読めばきっと、チョコレートが食べたくなる…。(引用:amazon)

感想

児童書のカテゴリーと言われているが大人が読んでも面白い。チョコレートがお酒の様に扱われることで。禁酒法時代の出来事を子供向けにアレンジされた作品。世界観の構築と美味しそうなチョコレート描写が素晴らしく、無関心さや意志を持たずに流されることの危険性を子供にもわかりやすく描いている。しかし、この本におけるチョコレートは見方によってドラッグの様にも思えるし、主人公たちが作る地下チョコバーなどの話自体がレジスタンスやテロリストの様にも見えるので、子供向けで勧善懲悪の物語としては少し攻撃的に感じられる。美味しいけれど高カロリーなどのリスクを含んでいる所も実にチョコレートらしい。

 

 

 

銃とチョコレート #乙一 

あらすじ

富豪の家から宝石や金貨が盗まれる事件が次々に発生!現場に残されたカードには、怪盗「GODIVA」の文字が。国で最も声望高い、名探偵・ロイズが解決に乗り出す。ロイズに憧れる少年リンツは、怪盗の秘密に迫る古地図を入手したことから、探偵と行動をともにすることに。しかし、思いもよらぬ逆転劇が待ち受けており…!?(引用:amazon)

感想

「なごみ探偵おそ松さん・リターンズ」で話題になった乙一さんの本、こちらも児童書。チョコレートは会社や象徴として登場。素晴らしく装丁の美しい本なので本棚に入ってるだけでワクワクしてしまう。勧善懲悪をゴリ押すような内容ではなく、グレーというより白黒が混じらずに他者と接する人たちであふれている印象で、誰しもが持つ正負の感情がそのまま描かれているように感じた。世間で言われている『価値観』というものが、いかに簡単にひっくり返るのかをやんわりと伝えようとしているようにも見える。子供が読むには実は結構辛辣な内容にも思える。余談だが、挿絵の登場人物たちがめっちゃ怖い。目がめっちゃ怖い。マジで震える。

 

 

 

チョコレートの町 #飛鳥井 千砂 

あらすじ

不動産会社の支店で店長の遼は、故郷にある店舗に一時的に赴任することとなった。シャッターの下りた商店街、傍若無人な昔の同級生、どこか馴染めない家族…。一刻も早く元の店に戻りたい遼だが、友人の結婚問題や、父親の退職などを経て、徐々に気持ちが変わってゆく。―俺、ここに帰ってきたいのか?「故郷」を持つすべての人の胸に、チクリとした痛みと温かな想いを呼び起こす物語。(引用:amazon)

感想

タイニー・タイニー・ハッピー』『学校のセンセイ』など、優しくも胸をつく物語を描く飛鳥井作品。チョコレートは主人公の育った町の匂い(マイナスイメージ)として登場する。個人的に飛鳥井作品はとても肌に合うのでオススメしたい。嫌いだった故郷と成長していく自分の物語。僕は実家と近い範囲で生活しているためにここまで『田舎』というものを意識したことはないが、地元特有の人と人の距離のようなものは確かに存在しているのかもしれない。地元の人間関係が煩わしいと感じている人にはオススメだ。魅力的な登場人物として、元カノにガチンとカマした沙知という人間が素敵だ。そしてバリトン吉村さんが物語を絶妙に落ち着かせているようで良かった。山崎ナオコーラさんの『カツラ美容室別室』に出てくるカツラさんに雰囲気が似ている気がする。

 

 

 

アーモンド入りチョコレートのワルツ #森 絵都 

あらすじ

ピアノ教室に突然現れた奇妙なフランス人のおじさんをめぐる表題作の他、少年たちだけで過ごす海辺の別荘でのひと夏を封じ込めた「子供は眠る」、行事を抜け出して潜り込んだ旧校舎で偶然出会った不眠症の少年と虚言癖のある少女との淡い恋を綴った「彼女のアリア」。シューマン、バッハ、そしてサティ。誰もが胸の奥に隠しもつ、やさしい心をきゅんとさせる三つの物語を、ピアノの調べに乗せておくるとっておきの短編集。(引用:amazon)

感想

 『DIVE!』のような熱い話だけでなく、優しい物語も(むしろ?)素晴らしい森絵都作品。この短編集もミントチョコレートのように心の中がスッとしていく作品ばかりだ。中学生が主人公の短編集で、彼らの年代しか持てない時間が終わってしまう切なさが描かれているが、森絵都さんの筆力の素晴らしさで後味は決して悪くない。表題作である「アーモンド入りチョコレートのワルツ」でサティが登場することで教室の世界が不思議に変わっていくように、誰かの世界がクルクル変わっていく場面に巡り合いたいと思う。個人的に「彼女のアリア」がオススメなので読んでほしい。角田光代さんの解説も素晴らしい。

 

 

 

毒入りチョコレート事件 #アントニイ・バークリー 

あらすじ

ロジャー・シェリンガムが創設した「犯罪研究会」の面面は、迷宮入り寸前の難事件に挑むことになった。被害者は、毒がしこまれた、新製品という触れ込みのチョコレートを試食した夫妻。夫は一命を取り留めたが、夫人は死亡する。だが、チョコレートは夫妻ではなく他人へ送られたものだった。事件の真相や如何に?会員たちは独自に調査を重ね、各自の推理を披露していく―。(引用:amazon)

感想

米澤穂信の『氷菓』『愚者のエンドロール』にて登場している作品として話題になった多重解決もの。チョコレートは犯行道具として登場する。作品自体は1970年代の作品なので若干の読みにくさはあるものの、推理合戦系の基礎となるべき本なので、勉強にもなり何より出来がいいので楽しめる。推理の中にメンバーの性格や個性も反映されていて面白く、実際物語の中でその指摘もあり、作品として読者の目線も強く意識された傑作だ。どのような結末になるか全く予想できない傑作なのでぜひ読んでもらいたい。僕はこの挑戦的な結末がこの物語における最高の結末だと思える派だ。愛する人を完全犯罪で殺害することもある意味では完全恋愛と呼べるのかもしれない。あと個人的には登場人物のブラッドレーとその推理法が好きだ。出来れば見習いたい。

 

 

 

最後に

以上となる。今回は有名どころの5作品を並べてみたが、今後も見つけて読んだ際に面白ければ追加していけたらと思う。

 

チョコレート自体はバレンタイン戦線の企業の利益や、リア充の自己顕示欲を満たす為の茶色い塊という認識ではあるが、物語に登場することでこれだけ様々な表情を見せる素晴らしい存在になるのかと思うとバカに出来ない。あと単純にチョコ欲しい。心の叫びだ。