玉ではなく袋でしょ。。。誰も真剣に考えないマイボール

先週の月曜、歓送迎会でオフィス近くのスポーツバーを利用した。店内は最大40人ほど収容可能で、私と取引先で30席ほど利用したこともあり、残りはサラリーマン2人と、麻布を庭としてるだろう3人の貴婦人たちのみとなった。店内の大型モニターにはW杯アジア最終予選のUAE戦が映し出されている。

録画だが、貴婦人たちはモニターを見ながらサッカー談義に花を咲かせている。前半に久保裕也がゴールを決めると、3人は揃って拍手。「今のシュート凄いわね~」阿川佐和子似が言えば、セクシー熟女女優の風間ゆみ似が「今のは酒井宏樹のパスもよかった」と、なかなか分かってる解説をする。すると、もう1人のメガネが「あれ?そういえば、あの人見ないわね?ほら、なんて名前だっけ、あのイケメンの…」と、私をモヤモヤさせた。アンジャッシュ児嶋のように”内田だよ!”と、言ってやりたいが、大きなお世話だ。「あーいたわね、なんかイケメンのね!」と、阿川佐和子似が分かってないけど、話を断ち切るため、テキトーに同調している。

日本代表が先制ゴールを奪った後、今度は大ピンチを迎えるが、ここはGKの川島永嗣がナイスセーブ。すると、風間ゆみ似の婦人が立ち上がり「あっぶなーい・・・」と、口に両手を当て、大袈裟なリアクションを取る(結果知ってるくせに)。気になったのはケツ。椅子に座っていたことで気付かなかったが、でっけーお尻がパンツに物凄く食い込んでいた。ここ最近熟女系も見るようになってきたが、現実が甘くないことを再確認する羽目になる。

「やっぱりドヤ顔凄い!」と、風間ゆみ似が川島をおかしな角度で褒め称える。話を盗み聞きしている限り、3人の中では風間ゆみ似が一番サッカーに対するアンテナが強そう。他の2人がモニターを見なくなっても、風間ゆみ似だけはしつこく「惜しい!」「今のはファウルでしょ!」など、松木安太郎に負けない感情解説を繰り広げている。

そして前半の半ば、タッチライン際で日本とUAEが激しくボールを奪い合い、ボールがタッチラインを割る。風間ゆみ似が「マイボール!」と、日本ボールを主張した。

その時思ったこと、それは「玉もいいかな?」という映像作品で何度も聞いた言葉に対する違和感だ。玉の用途として、球技では投げる・蹴る・突く・上げる・叩くなどであり、それを遊びや義務教育を通じて学んできた。にも関わらず「玉もいいかな?」である。

この「玉もいいかな?」は暗黙の了解で知れ渡り、このやり取りは決して映像作品の中だけではないことを多くの人が理解している。私が違和感を感じたのは、”玉も”という箇所。正確には”袋も”のはずで、さらに細かく伝えるならば「袋越しに玉を」が正解なのだが、多くの殿方は端折って中心部の”玉”限定にする。これでは「オムライス卵なしで」と、注文するのと一緒。効率化といえば聞こえはいいが、もう少し袋の存在も認めてやってほしい。

振り返ると、生涯を玉の家臣として仕える袋の存在は常に蔑ろにされている。夜のロケット発射時は固体ロケットブースターのように途中で離され、結婚式の祝辞では未だに「3つの袋」ネタで小馬鹿にされる。また、ブリーフなどタイトなアンダーウェアで一日中過ごすと、夕方にはなんとも言えない酸味を放ち「うっ。。」という対象になってしまうのも残念でならない。

しかし、こちらの心配をよそに袋はクールで、自身の不当な評価を気にしない。そして今日も優しく玉を包んでいる。縁の下の力持ちとして、アンダーウェアが外れた後の最後の砦として。袋が主役になる日はきっとこない。これからも「玉もいいかな?」というリクエストばかりで、その度に袋が「もうパンパンじゃ~ん」と舐められる(二つの意味で)。それでも文句一つ言わずにいる袋こそ、真のSAMURAIではないだろうか。袋こそケン・ワタナベ。

主役と信じて疑ってこなかった玉や竹刀。実はその影に袋の存在があることを、僕達私達は決して忘れてはならない。そんなことを考えていたら、伏兵今野泰幸がゴール。ゴール後はモモンガのようにピッチを羽ばたいていた。