ロシアW杯アジア最終予選のイラク戦。開始8分で大迫が最終予選初ゴールを奪うも後半に追いつかれて1−1のドローに終わった。35度を超える暑さ、1300メートルの高地という環境を考えれば負けなかったことを良しとすべきか。
結果以上に気になったのはシステムと前線の配置だ。3月のUAE戦から従来の4-2-3-1→4-1-2-3に変更していたが、イラク戦は4-2-3-1へ戻した。前線の組み合わせはトップ下に原口(初ポジ)、右に本田、左に久保(初ポジ)、1トップに大迫勇也という迷配置。
ゲームメーカータイプは本田のみで、ボランチにもパサータイプではなく守備を意識した組み合わせ(遠藤&井手口)を選択した結果、ビルドアップに苦労していた。試合後にハリルホジッチは「勝てなくて残念」と答えたが、システムや当てはめた選手を見ると【ドロー致し方なし】とも言える戦いを選んでしまったのだ。
ドローという結果そのものは仕方ないし、あれだけバテバテの選手達を見て「もっと走れよ!!」という気持ちもない。気になるのはハリルホジッチの迷采配。なぜ、システムを元に戻したのだろうか?
システム変更の経緯
3月のUAE戦、大事な一戦を前に長谷部が負傷離脱
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長谷部の代役には、Jリーグで高パフォーマンスを見せていた今野
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今野と山口のダブルボランチ?
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ハリル
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ハリル
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結果・・・今野はゴールまで奪う活躍!
ではないかと思う。長谷部が離脱してなかったら、UAE戦は長谷部と山口のコンビでシステム変更もなかったはずだ。ハリルホジッチの奇策が成功したかに見えたが、そのUAE戦で今野が負傷する。
数日後に行われたタイ戦はシステムをそのままに、今度は酒井高徳を抜擢する。酒井高徳が所属先のハンブルガーSVでボランチとして試合に出ていたこともあり、今野同様にハマると踏んだのだろう。但し、こちらは今野ほどのインパクトは残せなかった。
そして先日行われた親善試合のシリア戦。怪我明けの今野を招集し、UAE戦同様の人選をする(アンカーに山口、インサイドハーフに香川と今野)。しかし、試合開始早々に香川が負傷退場したこともあるが、全く良い流れを作ることはできずに前半を終える。そして後半頭から本田を出場させ、途中でインサイドハーフに変更する。
するとチグハグしていた攻撃がスムーズになり、前半よりも多くのチャンスが生まれる。
ハリル
試合はドローに終わったが、本田の中盤起用は大きな収穫だった。実は中盤起用に関して、本田自らハリルホジッチに提言したことであることが分かった。
右サイドを久保に奪われたこともあるが、後ろと前線をリンクさせる仕事に戻るべきと考えたのだろう。トップ下やサイドをこなすには明らかにスピード不足だが、献身性や周囲を活かす性格を考え、中盤に君臨するなら本田には最適。しかし、イラク戦は今まで通り右サイド…。
ここにハリルホジッチの後ろ向きな気持ちを感じてしまう。かすみ果穂の引退スペシャルを観すぎて頭が回らなくなってしまったのだろうか?もし、これで
ハリル
と諦めたら、それはとても残念なことだ。
中盤の人選を豊富に
4-1-2-3システムは悪くない。多少の修正で改善するだろう。まず、「1」の部分にあたるアンカーの人選を見直すべき。3試合全て山口に任せていたが、山口は前への守備やオフ・ザ・ボールや囮の動きが特徴で、ダブルボランチの一角で活きる選手だ。同じことはイラク戦に先発した井手口にもいえる。
アンカーに必要なのは中央の底でどっしり構えられる選手。バルセロナのブスケッツ、レアルのカゼミーロを見れば分かるが、強いチームのアンカーは前に急がない。日本でそれができる選手は、フランクフルトでリベロとしてもプレーしている長谷部、浦和レッズの阿部と遠藤だろう。
そしてインサイドハーフ。ボランチを任せるには少し守備が不安で、トップ下を任せるには突破力とエリアに入る動きが少ない選手。要は“ハリル好みではないボランチ”。テネリフェで奮闘する柴崎岳、ヘーレンフェーンの小林祐希、川崎フロンターレの大島僚太、浦和レッズの柏木陽介などが適任。勿論、シリア戦で途中からプレーした本田や、既にプレーしている香川や今野も。
試合前日にハリルホジッチは恐ろしい発言をしている。
ハリル
いや、選んだのお前やん。というツッコミがここまでしっくりくることも珍しい程の珍言だ。こうしたことがないようにトップ下をなくし、インサイドハーフへの変更を望む。
それでもまだハリルホジッチが
ハリル
しか言わないのであれば、これ以上現体制での成長は見込めないような気がしてならない。