【速報】EURO2016フランス大会の決勝トーナメント日程と結果レポート《ユーロ2016フランス》ポルトガルが初優勝!

ユーロが面白い。

グループステージが終わり、いよいよ決勝トーナメント。今回もユーロの決勝トーナメントの結果とマッチレポートを試合日更新でお届けします。

ユーロ2016フランス大会結果とマッチレポート

その前に…気になるのがトーナメント表。


いや、偏り過ぎだろ。。せめてこの表でいえば、下4カ国の位置を逆サイドにして欲しかった。見る側としては面白いんだけど、決勝があまりに一方的な展開になるのもなんだかな~と。

決勝トーナメント一回戦

※( )はグループのアルファベットと順位
※時間は日本時間

6月25日 ●スイス 1-1(PK戦:4-5) ○ポーランド

初の決勝トーナメント進出同士の一戦。

前半はポーランドペースで進み、39分にエリア内右でグロシツキのパスを受けたブワスチコフスキがGKの股を抜くシュート先制点を奪う。ドルトムント時代に日本代表MF香川真司との好連携でおなじみだったクバ弾でポーランドが先制した。

その後もポーランドペースで進むも追加点は奪えず前半終了。

後半も序盤はポーランドがチャンスを作るも、スイスも交代カードを切って反撃を試みると、82分にリヒトシュタイナーがクロスを上げた流れから、こぼれ球をシャチリがペナルティエリア端から豪快なオーバヘッドで決めて1−1。

試合はそのまま終了し延長戦に突入。

延長戦はスイスが猛攻を仕掛けてポーランドは防戦一方となったがGKファビアンスキが好セーブで失点を許さず今大会初のPK戦へ。PKはスイス2人目のジャカが失敗したのに対し、ポーランドは5人全員が決めて5-4で制した。勝利したポーランドは、初のベスト8に進出。準々決勝ではクロアチア対ポルトガルの勝者と対戦する。

6月26日 ○ウェールズ 1-0 ●北アイルランド

両チーム初出場で決勝トーナメント進出した英国同士の対戦。

前半はウェールズがボールを支配するものの、北アイルランドも堅守でチャンスを許さず、コアレスで折り返す。

後半に入るとベイルにボールが渡る機会が増え、よりウェールズがゴールへ迫る。58分にはベイルがエリア手前右のFKを蹴るがコースがやや甘く、GKマクガバーンに弾き出された。先制点は75分、左サイドでラムジーからのパスを受けたベイルがダイレクトで鋭いクロスを入れると、ゴール前で北アイルランドDFギャレス・マコーリーがクリアしきれずにオウンゴールでウェールズに先制点。

北アイルランドも終盤パワープレーで同点ゴールを狙うも、試合はこのままタイムアップ。ウェールズが英国対決を制し、初のベスト8進出を果たした。

6月26日 ●クロアチア 0-1 ○ポルトガル

グループステージでスペインを倒して1位通過したクロアチアと、グループステージで3戦3引き分けで何とか突破したポルトガルの一戦。

前半は両チームともリスクを冒さずにチャンスのない展開が続く。ポルトガルは25に左サイドのFKからペペが頭で合わせるが、シュートはクロスバー上に外れる。クロアチアも30分にペリシッチが切り返しからシュートを放つも枠の右に逸れ、前半はこのままスコアレス。

後半に入るとクロアチアがギアを上げチャンスを作るもシュートが決まらない。ポルトガルもロングボールでカウンターを狙うも決定機はなく延長戦へ。

そして互いにこれといったチャンスがなくPK戦が見えてきた117分、ポルトガルはカウンターからナニのパスを受けたクリスティアーノ・ロナウドがシュートを放つと、GKに弾かれたボールをクアレスマが押し込んで遂に先制点を決める。クロアチアも反撃に出ようとするも時間が短く、ポルトガルが世紀の凡戦を制してベスト8に進んだ。

大会が進んできたことで体力的な問題もあるだろうが、90分で両チーム枠内シュート0という珍しい試合。クロアチアはスペインを倒したことで評価を高めていたが、勝負弱さを露呈して残念な結果に。

一方のポルトガルは中二日という状況の中、チーム一丸となってもぎ取っただけに大きな勝利。相変わらず攻撃は個人の単独を合わせたようなレベルだが、前にクリスティアーノ・ロナウドがいるのは大きい。優勝は厳しいだろうが、トーナメントの山に恵まれてるので、このまま決勝進出する可能性も十分あり得る。

6月26日 ○フランス 2-1 ●アイルランド

開催国フランスとアイルランドの一戦。

試合は開始早々の1分にポグバがペナルティーエリア内で後方からロングを倒し、アイルランドにPKが与えられると、ロビー・ブラディが決めていきなりアイルランドが先制ゴールを奪う。出鼻を挫かれたフランスも反撃に出て9分、18分にグリーズマンがヘディングで狙うもゴールならず、25分にはポグバFKで狙うもGKのセーブに遭い、そのまま前半を終える。

後のないフランスは後半グリーズマンが魅せる。まず58分にサニャのクロスから三度目の正直でヘディングシュートを決めると、その3分後にはジルーのポストプレーで抜け出しGKとの1対1を冷静に制して逆転ゴール。持ってるな〜。

同点に追いつきたいアイルランドは67分にグリーズマンを倒したダフィーがレッドカードを提示されて退場となってしまう。その後もフランスペースで進み、追加点こそ生まれなかったものの、相手にチャンスを与えずに試合終了。次はイングランド対アイスランドの勝者と対戦する。

6月27日 ○ドイツ 3-0 ●スロバキア

やはりドイツは強い。グループステージは3試合無失点だったが、得点の少なさや低調な内容に批判的な声もあったが、決勝トーナメントに入ってギアを入れてきた模様。

試合は序盤からスロバキアを試合を圧倒し、7分にはCKのクリアボールをペナルティーエリア外からボアテングがダイレクトで叩き込、あっさりと先制点を奪う。
畳み掛けるドイツは13分、クロスに反応したゴメスがシュクルテルに倒されてPKを獲得する。(ちょっと厳しすぎる気もするが…)しかし、この絶好のチャンスをエジルに決めることができない。それでも、ドイツの勢いは止まらずに高い位置から激しいプレスでスロバキアに思うようなプレーをさせず、次々にチャンスを量産する。そして43分、ドイツは左サイドを突破したドラクスラーの深い位置からの折り返しを、ニアのゴメスがこれに合わせて2-0として前半を終える。

後半スロバキアも反撃に出るがドイツを崩せずにいると、63分にCKのこぼれ球をドラクスラーが決めてダメ押しとなるゴールを決める。その後得点は生まれずドイツが3−0で勝利し、7月2日の準々決勝で、イタリア対スペインの勝者と対戦する。

次の試合どちらが相手でも非常に楽しみな一戦となる。

6月27日 ●ハンガリー 0-4 ○ベルギー

グループFを首位通過したハンガリーと、初戦でイタリアに負けてから徐々に調子を上げてきたベルギーの一戦。

試合は序盤からベルギーが試合は押しこみ、10分にデ・ブルイネのFKをファーでフリーになったアルデルヴァイレルトがヘディングで決めて先制点を奪う。その後もベルギーがハンガリーを自陣に閉じ込め、シュートの雨を降らせるも追加点を奪えず前半を終える。

後半もベルギーペースだったが、徐々にハンガリーにもチャンスが巡ってくる。しかし、何度かあったチャンスをものにできないでいると、78分にアザールが一人スルーパスからクロスを入れ、これをバチュアイが決めて待望の2点目を奪った。これでハンガリーの集中力が切れたのか、直後の79分にはアザールがペナルティエリア手前から切り込んで3点目を決める。
アディショナルタイムにはカラスコがとどめを刺して4−0で試合終了。 ベルギーは7月1日の準々決勝でウェールズと対戦する。

6月28日 ○イタリア 2-0 ●スペイン

前大会の決勝カードが決勝トーナメント一回戦で実現。

試合は意外にもイタリアが押しこむ。8分にペッレのヘディング、11分にはジャッケリーニのオーバーヘッド(ファールだったけど)と、スペインをに対して引いて守るのではなく、前に行く姿勢を見せる。そして33分、エデルのFKをデ・ヘアが前にこぼしたボールにジャッケリーニが反応し、さらにそのこぼれたボールをキエッリーニが押し込んで1-0と先制する。

以降もペースを握ったイタリアは45分にジャッケリーニが切り込みながらシュートを放つも、デ・ヘアのセーブに阻まれる。前半を終えてイタリアペースでデ・ヘアのファインセーブがなければ前半で勝負が決まっていただろう。

スペインは後半開始からノリートに代えてアドゥリスを投入し、モラタを左サイドへ移して反撃の機会を伺う。それでもDFのBBC(バルザーリ、ボヌッチ、キエッリーニ)+Gkブッフォンのユベントス守備を崩すには至らず、逆にイタリアのカウンターが冴え渡る展開。スペインはボール支配率こそ高かったものの、完全に“持たされてる”感が強く、決定的チャンスを作ることはできない。終了間際にはようやくピケに決定機が訪れるも、浮き球をミートできずブッフォンに止められ、凌いだイタリアがアディショナルタイムにペッレが追加点を決めて2−0。注目の一戦は意外にもイタリアの完勝で終わった。

4年前のリベンジに成功したイタリアは次は世界王者ドイツと対戦。これも事実上の決勝戦と言われており非常に楽しみ。

イタリアの勝因は限られた戦力とストロングポイント(ユベントスの選手)を上手く使いこなしているアントニオ・コンテ監督の名将っぷり。前線にスターはいないが、サボる選手もいないのでここ最近見たことないほど、チームとしてまとまっている。

一方のスペインはグループステージのトルコ戦では世界最高のサッカーを見せてくれたが、イタリアのようにCBにもプレスをかけてくるチームに対して打開策が見つからなかった印象。

6月28日 ●イングランド 1-2 ○アイスランド

試合は開始早々の3分にスタリッジがGKと交錯してPKを獲得すると、中盤の選手になったルーニーが冷静に決めてイングランドが幸先良く先制点を奪う。しかしアイスランドも直後に右サイドからのロングスローをアルナソンが流し、飛び込んだシグルズソンが押し込んで1-1の同点に追いつく。

勢いに乗ったアイスランドは18分、バイタルエリアでの細かいパス交換からシグソールソンがゴール右隅にシュートを決めて逆転する。追う立場になったイングランドもシュートを放つが得点は奪えずに前半を終える。

イングランドは後半開始からダイアーに代えてヘビースモーカーのウィルシャーを投入。そらに60分にはPKを獲得したスターリングに代えてバーディー、87分にはルーニーに代えて18歳ラッシュフォードと打開を図るもアイスランドの懸命の守備の前に同点弾を決めることができず、そのまま試合終了。

アイスランドは大会初出場&初勝ち点&初勝利&決勝トーナメント進出とシンデレラストーリーが続いている。次は開催国フランスとの一戦。もう何があっても驚きはない。

敗れたイングランドは世代交代が進んでいただけに、もう少し上位進出をしておきたかったところ。ルーニーの中盤はどうなんだろうか?悪くはないけど、やっぱり前線で見てみたい気もする。ヴィッセル神戸にいた時の大久保嘉人を見ているようだ。

準々決勝

7月1日 ●ポーランド 1-1(PK戦:3-5) ○ポルトガル

共に決勝トーナメント一回戦で120分間戦って勝ち上がったチーム同士の一戦。注目は当然ポーランドのレヴァンドフスキ、ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドというワールドクラスのストライカー。

試合は開始早々の2分、ポーランドが左サイドを崩し、グロシツキがグラウンダーのクロスを上げると中央でレヴァンドフスキが合わせて先制する。開始早々&ようやくエースにゴールが生まれたことでポーランドペースで試合は進む。対するポルトガルはなかなかよい流れが生まれず攻撃も単発的。しかし33分、レナト・サンチェスがペナルティエリア右のスペースに流れたナニとのワンツーから左足でシュートを決めて試合を振り出しに戻して前半を終える。

後半に入ると共に決定機を作ることができずに1−1の延長戦に突入する。両チーム共前の試合に続いてということで、さすがに活発さはなくなり30分間の延長戦でも勝負はつかず、決着はPK戦へもつれ込むことになった。

PK戦は共にプレッシャーを物ともせずに次々に決めていくが、ポーランドの4人目ブワシュチコフスキがゴール右に放ったシュートはGKに止めらる。一方のポルトガルは5人全員がしっかりと決めてベスト4進出を決めた。

それにしてもポルトガル。グループステージ合わせて5試合連続90分間勝利なしという珍しい勝ち上がりをしている。エースのクリスティアーノ・ロナウドはレアル・マドリードで見せるプレーに比べてよいパフォーマンスを見せているとは思わないが、存在感は大きい。そしてぺぺの奮闘と、前と後ろにレアル・マドリードの選手がいるというのはチームとして頼もしい限り。このままどこまで進むのか興味深い。

一方のポーランドはレヴァンドフスキに大会初ゴールが生まれたが、ペースを握った前半のうちに追加点を奪えなかったのが痛かった。

7月2日 ○ウェールズ 3-1 ●ベルギー

徐々に調子を上げてきたベルギーとベイルやラムジーを中心に今大会乗ってるウェールズの一戦。

試合は開始早々からベルギーが主導権を握り、カラスコ、ムニエ、アザールと次々にゴールを襲う。その勢いのまま13分、アザールのパスをナインゴランが強烈なシュートを突き刺し、あっさりと先制点を奪う。しかし、先制点を奪ってからの試合運びが上手くないベルギーはウェールズに反撃を許す。30分、ウェールズは右からのCKにアシュリー・ウィリアムズが強烈なヘッドを叩き込んで1-1と同点に追いつき前半を終える。

後半もう一度突き放したいベルギーはカラスコに代えてフェライニを投入しゴールに迫る。開始早々にルカクのヘッド、50分にもアザールがカットインからシュートを放つも、いずれも枠を捉えることはできない。そんなベルギーを尻目にウェールズが逆転ゴールを奪う。55分、縦パスに反応したラムジーからの折り返しをゴール前で受けたロブソン・カヌが反転から左足で確実に決めて逆転する。その後ベルギーはフェライニを活かしたポストプレーでチャンスを伺うもゴールは奪うことはできない。そして85分、ガンターの右からのクロスにヴォークスがヘディングを決めて3-1とし勝利を決定づけた。

快進撃を続けるウェールズは準決勝でポルトガルと対戦。今大会4アシストのラムジーが累積警告で出場できないのは痛いが、勢いはポルトガルより上。まさかまさかの展開も十分あり得る。

7月3日 ○ドイツ 1-1(PK戦:6-5)  ●イタリア

事実上の決勝戦と言われた大注目の一戦。イタリアはデ・ロッシが負傷、モッタが累積警告で代わりにストゥラーロがボランチに入る。ドイツはイタリアに合わせてなのか3バックでスタート。

試合は守備が強力なチーム同士チャンスの少ない試合となる。ドイツはエジルが全くボールに絡めず単発的な攻撃が続き、イタリアはドイツ守備陣を脅かす攻撃をすることはできずに時間が進む。前半最大のチャンスはイタリアで終了間際、左サイドを抜け出したジャッケリーニのクロスが流れたところをストゥラーロがシュートを狙うもボアテングに当たってそれる。

後半に入ると前半消えていたエジルにようやくボールが渡るようになりドイツペースで進む。そして65分、左サイドでキープしたマリオ・ゴメスからのパスを受けたヘクトルがクロスを上げるとボヌッチに当たったボールをエジルが押し込んで先制ゴールを奪う。

勢いに乗るドイツは68分、エジルの裏へのパスに反応したマリオ・ゴメスがトラップからヒールでシュートするもブッフォンが反応して阻む。その後も一方的なドイツペースで進みイタリアにチャンスはなかったものの、77分、ペナルティーエリア内でボアテングの手にボールが当たりPKを獲得。この絶好の機会をボヌッチが確実に決めてイタリアが追いつく。

その後はイタリアが鋭いカウンターを仕掛け、ドイツはまたもエジルが消えてしまうが90分では勝敗つかずに試合は延長戦に突入する。

延長戦は互いに疲労の色が濃くなり得点の気配がないまま終わりPK戦へ。PK戦は互いの守護神の存在からか両者外しまくり5人終えて2−2。6人目以降は共に決め続けたもののイタリアは9人目のダルミアンが止められて失敗し、ドイツはヘクトルが決めて決着した。ドイツは準決勝でフランスと対戦する。

ドイツは予想以上にイタリアを警戒していたので、自慢の攻撃が目立ったのは先制点前後のみ。これが狙いなのかなんなのか分からないから不気味。

一方敗れたイタリアはユベントスの選手で組んだ守備は相変わらず安定していたが、攻撃陣がドイツを崩すまでは至らず。それでもドイツを追い込んだのは確かで、コンテ監督の名将っぷりが際立った大会となった。

7月4日 ○フランス 5-2 ●アイスランド

順調に勝ち進んでる開催国フランスと、人口が埼玉県の所沢市同様(約33万人)ながらここまで奇跡的な勝ち上がりをしてきたアイスランドとの一戦。

試合は勢いに乗るアイスランドが立ち上がり攻勢に出て、3分にはギルフィ・シグルズソンがこの試合のファーストシュートを打つ。しかし、自力に勝るフランス攻撃陣が直ぐに爆発する。まずが12分、マテュイディの縦パスに反応したジルーが左足で決めてあっさりと先制ゴールを奪う。さらに20分、グリーズマンのCKにポグバが頭で合わせて追加点。ポグバは今大会初ゴール。

その後アイスランドも反撃に出るも43分、グリーズマンの横パスを受けたパイェがペナルティーエリアの外から左足で決めて3−0。まだ終らない。アディショナルタイムにはDF裏にスピードを活かして抜け出したグリーズマンが、ハルドーソンをあざ笑うループシュートを決めて4−0。前半で試合を決める。

後半に入ると維持を見せたいアイスランドが56分、右サイドG・シグルズソンのクロスに、ニアに飛び込んだシグトルソンが合わせて1点を返す。しかし、直後の59分、フランスはパイェのFKにジルーが打点の高さを活かしたヘディングシュートを決めて5-1。その後は大きな展開はなかったものの、84分にスクラソンのクロスからビャルナソンがゴールを決められるものの、大量5ゴールを奪ってベスト4へ。7日の準決勝で世界王者ドイツと対戦する。

フランスは後半の2失点に関しては余計だが、前半に見せた攻撃は見事だった。前試合の後半からジルーとグリーズマンの位置関係を横(2トップ)から縦(ジルー1トップ、グリーズマントップ下)に変更してようやく形を見つけた様子。次は世界王者ドイツで、ベスト4に残っているチームの中では一番強いのは間違いない。ホスト国として優勝するために乗り越えなければならない山は高いが、今の調子を維持すれば決して勝てない相手ではない。

そして負けてしまったが、今大会のアイスランドは見事。こういうダークホースの存在が大会を面白くしてくれるんだなと改めて思った。

準決勝

7月7日 ○ポルトガル 2-0 ●ウェールズ

ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドとウェールズ代表FWギャレス・ベイルというレアル・マドリード在籍のエース対決に注目が集まった一戦。

ポルトガルは今大会グループステージを3戦3分け、決勝トーナメントからは延長戦、PK戦と消耗しながらギリギリの戦いを制してベスト4に進んだ。一方のウェールズは初出場ながらベイルという圧倒的な個を活かし、準々決勝でFIFAランク2位のベルギーから大金星を挙げてのベスト4。勢いはウェールズにあるように感じた。

ポルトガルはMFウィリアム・カルヴァーリョが出場停止で、DFペペが練習中に太ももを怪我した影響で欠場となり、代わりにMFダニーロ・ペレイラとDFブルーノ・アルヴェス。一方のウェールズもMFアーロン・ラムジーとDFベン・デイヴィスの主力2人が出場停止で欠場。代わりにMFアンディ・キングとDFジェームズ・コリンズが先発出場。

試合は前半互いに個人の突破が目立つ展開に。ポルトガルはクリスティアーノ・ロナウドが徹底的にマークされ、よい形でボールを受けることができない。ナニやレナト・サンチェスがサイドに流れて突破を試みるも中央をしっかりカバーしているウェールズの守備は崩せず。一方のウェールズはベイルが個人突破や遠目からのシュートで孤軍奮闘するも決定的シーンを作るには至らず。時間だけが進み、互いに決定機を作ることができずに前半を終える。

迎えた後半、直ぐに試合は動く。まずは50分、CKを獲得したポルトガルはショートコーナーからラファエウ・ゲレイロがクロスを入れると、ファーサイドでクリスティアーノ・ロナウドが打点の高いヘディングシュートを決めて先制する。

これでクリスティアーノ・ロナウドはユーロの通算得点を9に伸ばし、歴代トップタイとなる。勢いが増したポルトガルはその3分後、またもクリスティアーノ・ロナウドにボールが渡りペナルティーエリア外からシュートを放つと、ゴール前にいたナニがコースを変えてゴールし2−0。一気に引き離す。

あとがなくなったウェールズは前への意識を高めるも、ポルトガルからゴールを奪うことができずにそのまま試合は2−0で終了。10日に行われる決勝に駒を進めた。

試合の見どころはそこまで多くなかったが、こういう試合で結果を出すクリスティアーノ・ロナウドはさすが。決勝でも期待したい。

7月8日 ●ドイツ 0-2 ○フランス

2014年のワールドカップを制した世界王者のドイツと開催国のフランスが決勝進出を懸けた一戦。ドイツは準々決勝でPK戦の末にイタリアとの激闘を制したものの、その試合でサミ・ケディラとマリオ・ゴメスが負傷し、DFの要マッツ・フンメルスは累積警告を受けた。フンメルスの代わりにはベネディクト・ヘーヴェデスが入り、イタリア戦同様にケディラの代わりにバスティアン・シュヴァインシュタイガー、マリオ・ゴメスのポジション(1トップ)にミュラーが入り、エムレ・ジャンがミュラーのポジションに入った。一方のフランスは準々決勝アイスランド戦のスタメンからメンバー変更なし。

試合はアイスランド戦の勢いそのままにフランスが先にチャンスを迎え7分、マテュイディのパスを受けたグリーズマンが切り込んで右足のシュート。これはマヌエル・ノイアーの好セーブに阻まれる。一方のドイツも徐々に盛り返し14分、左サイドからの折り返しにジャンがシュートを放つが、今度はフランス代表のGKウーゴ・ロリスがナイスセーブを見せる。26分にはシュヴァインシュタイガーがエリア手前左からシュートを放つが、これもGKロリスの好セーブに阻まれた。

このまま前半終了かと思われたアディショナル、フランスがCKを獲得すると、パトリス・エブラが頭で合わせた際にシュヴァインシュタイガーがハンドを取られる。イタリア戦に似た判定でドイツはまたもPKを献上してしまう。

このチャンスに今大会絶好調のグリーズマンが冷静にノイアーの逆を突いてゴールを決めて前半を折り返す。

後半何としても追いつきたいドイツにトラブル。61分、守備の要であるジェローム・ボアテングが負傷し、シュコドラン・ムスタフィとの交代を余儀なくされる。

出場停止のフンメルスと要のボアテングが不在で後がないドイツは67分にジャンに代えてバイエルン・ミュンヘン同様に燻り続けるマリオ・ゲッツェを投入する。

しかし72分、フランスは相手エリア内でボールを奪ったポグバが左サイドで細かいテクニックで相手を翻弄しクロスを入れると、飛び出したノイアーがクリアしきれず、こぼれたボールにグリーズマンがいち早く反応して押し込み2−0。
どうでもいいけどグリーズマンのゴールパフォーマンスが少しイラッとする笑。

焦るドイツは74分にジョシュア・キミッヒが右サイドから切り込んで左足でシュートするも、惜しくも左ポストをかすめた。76分にはユリアン・ドラクスラーがFKで強烈なシュートを放つもこちらも僅かに枠を外れる。残り10分を切るとさすがにミスも出てきてチャンスはなく、そのままタイムアップ。フランスが2-0で世界王者を破り、4大会ぶりの決勝進出を果たした。自国優勝に王手をかけたフランスは11日(日本時間)に行われる決勝でポルトガル代表と対戦する。

ドイツは不運(PK&ボアテングの負傷)が重なりベスト4で散った。自力は大会ナンバーワンなので、このまま低迷期に入るとは思わない。しかし、CFにクローゼ以降これといった選手が出てきてないのが気になる。また、戦術の幅を広げる活躍をしていたフィリップ・ラームの存在が大きかったことが改めて浮き彫りになってしまった。

一方決勝に進出したフランスはグリーズマンが絶好調。批判的な声もあるポグバもボールを持てば移籍金の高さを証明するような高い次元のプレーを見せているし、ジルーの献身性は攻撃を支えている。GKロリスも好セーブを見せ、チームとして隙がなく、このまま優勝しそうな雰囲気だ。しかし、サッカーは何が起こるか分からないスポーツで、相手に世界最高峰の点取り屋がいることを考えると一概に有利とはいえない。決勝が楽しみ。

決勝

7月11日 ○ポルトガル 1-0 ●フランス

開幕戦の劇的な勝利から順調に勝ち進んできた開催国フランスと、ギリギリの戦いを乗り越えてきたポルトガルの決勝戦。

試合は予想通りにフランスペースで進む。スタジアムの大声援に後押しされた選手は攻守の切り替えが早くポルトガルに何もさせない。7分には大会得点王濃厚のグリーズマンが早速シュートを放つと、10分にはパイェのパスにまたもグリーズマンがヘディングで合わせるも、GKルイ・パトリシオのファインセーブに阻まれる。

一方の苦しい立ち上がりのポルトガルは、追い打ちかけるようにクリスティアーノ・ロナウドがパイェとの接触でひざを痛めてしまう。一旦ピッチを離れてテーピングをして様子をみたが、23分に自ら交代を要求。ポルトガルは早々とエースでキャプテンを失うことになった。

その後もフランスペースで進み34分、エリア内左でパスを受けたこの試合絶好調のシソコがターンで相手DFをかわし右足シュートを放つ。ここはGKルイ・パトリシオに阻まれるがフランスの時間に変わりはなく、その後も左右から揺さぶりをかける。しかし、序盤のハイペースの影響か、徐々にペースダウンし始めた。ポルトガルもリスクを侵すことなく、そのまま前半をスコアレスで折り返す。

後半に入って58分、フランスはパイェに代えてコマンを投入する。そして66分、その代わって入ったコマンのクロスにグリーズマンがヘディングで合わせるも枠に飛ばすことはできない。これは決めておきたかった。一方我慢続きのポルトガルはサイドに開くナニが何とか突破しようとするも単独で決定機を作るまでは至らず。

終盤に入るとフランスが試合を決めに再度攻勢に出るも、ムサ・シソコのミドルは止められる。アディショナルタイムには途中出場のジニャックがゴール左でペペをかわしてシュートを放つもこちらはポストに嫌われてゴールならず。結局90分でゴールが生まれることはなく、試合は延長戦に突入する。

延長に入ると間延びしたフランスのバイタルを徐々にポルトガルが使えるようになり、攻める時間が増えてくる。そして延長後半、フランスゴール前で競り合いの際にエデルのハンドがフランスのコシールニーのハンドとジャッジされ、ポルトガルにいい位置でFKを与えてしまう。このFKをラファエウ・ゲレイロが左足で狙うと、クロスバーに当たり、先制点のチャンスを逃してしまう。しかし直後、DFと競り合いながらゴール中央にボールを運んだエデルが右足でシュートのゴール左下に突き刺さりポルトガルが先制ゴールを奪う。

あとがないフランスはシソコを下げてマーシャルを投入して同点ゴールを目指す。ポルトガルは負傷退場したクリスティアーノ・ロナウドが監督以上に監督らしくピッチの選手に激を飛ばす。こんな熱くなってるクリスティアーノ・ロナウドを見るのは初めて。

フランスは最後までゴールを目指したがポルトガルから得点を奪うことはできずに試合終了のホイッスル。ポルトガルがEURO初優勝を果たした。

ポルトガルが今大会見せた戦いは決して美しいサッカーをしたわけではなく、90分勝利も一つしかない。優勝を手にしたのはぺぺを中心とした粘り強い守備、クリスティアーノ・ロナウドの存在、他の選手が見せたここぞの決定力、勝利を手繰り寄せる運のよさ。こうした様々な要素が重なっての優勝だと思う。

納得いかない人もいるだろうが、グループステージで1勝もできなかったチームが優勝するからサッカーは最高に面白い。

一方敗れてしまったフランスはゲーム運びが幼かったような気がする。攻勢に出ていた前半のうちに決められなかったのが後に響いた形となってしまった。得点王のグリーズマンはチャンピオンズリーグ決勝に続いての準優勝で多少メンタルが心配される。

そしてマンチェスター・ユナイテッドへ移籍が濃厚のポール・ポグバ。途中で交代した?という程の存在感のなさに少しがっかり。。

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【速報】EURO2016フランス大会のグループステージ日程と結果レポート《ユーロ2016フランス》