近所で開催される夏祭りの看板を見た。そうか。
いつからだろう?お祭りと聞いてもワクワクしなくなったのは。
子供の頃は確実にあった。当時住んでいた街の商店街は春から秋にかけて二ヶ月に一度のペースで祭りが開かれ、毎回盛り上がっていた。
商店街の人同士も仲がよく、祭りの後には朝まで集会場で飲んでいたとも聞く。さらに商店街の班長さんはイベント好きのオッサンで、祭りの他にもバス旅行の企画も積極的に行い、子供から大人まで皆が商店街での暮らしを楽しんでいた。
しかし、仲を深め過ぎたのが原因か、とある事件が起こってしまう。
今日はそんな話を。
和菓子屋から笑顔が消えた日
私が住んでいた商店街には2つの和菓子屋があった。
・干菓子店⇒加藤さん(仮名).家族構成:旦那、奥さん、息子
・生菓子店⇒佐藤さん(仮名).家族構成:旦那、奥さん、娘
良きライバルとして商店街を盛り上げていて、祭りやイベント時には両店共に必ず顔を出していた。共に人柄もよく、休日には子供達に混ざって近所の公園で遊びに付き合ってくれ、周囲の評価はすこぶる高かった。しかし…
不倫
事件は加藤さんの旦那さんが佐藤さんの奥さんと不倫したこと。後から聞いた話では、商店街のバスイベント「桃狩りツアー」で急激に加藤♂と佐藤♀の距離が近くなってしまったらしい。
これには企画した班長さんも完全に想定外だろう。
まさか加藤♂が佐藤♀の桃まで狩っていたなんて。。。
狭い商店街だ。噂は直ぐに広まり、居づらくなった加藤さん家の奥さんは息子を連れて実家に避難。お店はシャッターが閉じられ「しばらく休みます」と。
一方奥さんに浮気をされた佐藤さん♂は動かなかった。しかし、店先に立つ佐藤さん♂の表情は悲しげで、平和な日々が終わりを迎えていることは子供でも理解できた。
約一ヶ月後、加藤さんの奥さんが子供を連れて戻ってくる。ただ、お店から以前のような明るさは当然ない。
こうして和菓子屋の両店から笑顔が消えてしまった。互いのあんこを変えてみたという話なら笑って済ませただろう。しかし、実際にはあんこではなくチン&マン。干菓子の旦那が生菓子の奥さんに手を出してしまった溝は簡単には埋められない。
その後
事件発生から数ヶ月。表向きには“いつも通り”の両店に戻る。本当に少しずつだが裏切られた側(加藤さんの奥さん、佐藤さんの旦那さん)も明るい表情を見せるようになった。
しかし、事情を知っている商店街付近の住民はどことなくよそよそしい。また、商店街の祭りやイベント事には両店ともに不参加で、その度に「今回も出ないんだ」と小言を言われてた。
でも、悪いのは当事者。仕方がない。
僅かの気の緩みのアンコ交換が。。。
無駄な憶測
あれから20年以上過ぎても、私はあるトラウマを抱えている。それは今でも和菓子や和菓子屋さんを見ると当時の事件を思い出してしまうこと。そして無駄な憶測を浮かべて苦しむこと。
・加藤さんの旦那さんが作る和菓子はアート的な側面もあったので、もしかしたら佐藤さんの奥さんもアートの一部だったのではないか?
・今思えば佐藤さんの和菓子屋のレジ横に一口サイズの饅頭が「こちらもどうぞ!」の張り紙と一緒に販売していて、加藤さんの旦那さんは「こちらもどうぞ!」を間違えたのではないか?
・加藤さんの旦那さんはあんこも別のお店の女もこねてあんあん人生じゃねえかコノヤロー!
・ 佐藤さんの奥さんは桃狩りツアー中に松茸狩り
・何度も商店街で行われたカラオケ大会の後に加藤♂のマイクは佐藤♀が独り占め。
こんな無駄なことを思ってしまう。アホやね。
もうその商店街には住んでないし、今2つの和菓子屋がどうなっているのかさえ分からない。それでも、狭い商店街で饅頭だけでなくマン充もさせていた両和菓子屋さん。。。やるねぇ。
追記
気になったので食べログで調べてみたらまだ二店ともやってる!
評価は加藤さん3.06、佐藤さんなし。微妙…